※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【大阪府公立入試・社会】2026年 時事問題予想。「万博・渋沢」一辺倒は危険だ。データが示す「真の本命」リスト
序論:その「予想」は、教科書に戻れているか?
2026年3月の入試を前に、世間では「大阪・関西万博」や、新紙幣の顔である「渋沢栄一」が出題されるという予測が飛び交っている。 書店に並ぶ対策本も、ネット上の予想記事も、判で押したようにその2つを煽り立てる。
だが、当ラボの分析官として提言する。 その2つを「ニュースクイズ」のように暗記しても、得点には結びつかない。
大阪府公立入試の過去問を解剖すると、そこにはニュースをそのまま問うのではなく、「ニュースを教科書の単元に翻訳して問う」という厳格な作法が存在するからだ。 本稿では、感情や願望(ノイズ)を排除し、データに基づいた「2026年の戦略的優先順位」を提示する。
1. 証明:大阪府公立入試「前年の法則」
大阪府の時事問題は「最新ニュース当て」ではない。 「前年のビッグニュース」を、教科書の重要単元へ翻訳して問うのがトレンドだ。 実際、直近3年の入試は以下の構造で成り立っている。
■ 2025年入試(2025年3月実施)
- メインテーマ: 日本の産業構造と金融リテラシー
- 背景にある前年ニュース(2024年): 半導体工場の稼働、新NISAの開始
- 実際の出題: ニュース用語ではなく、「半導体産業の出荷額データ」や、「株式会社の配当の仕組み」として出題された。
■ 2024年入試(2024年3月実施)
- メインテーマ: 国際社会と連帯
- 背景にある前年ニュース(2023年): G7広島サミット
- 実際の出題: サミットの日程ではなく、参加国(G7)の産業や、招待された新興国(ブラジル・インド)の地理として出題された。
■ 2023年入試(2023年3月実施)
- メインテーマ: 経済変動と政策
- 背景にある前年ニュース(2022年): 世界的なインフレと円安
- 実際の出題: 円相場そのものではなく、インフレ対策としての「日本銀行の金融政策(売りオペ)」の理論が問われた。
重要なのは、テーマ設定は「前年」の出来事だが、設問で使われる統計データは数年前のものでもよいという点である。 大阪府教委は「ニュースの用語」を聞きたいのではない。ニュースが浮き彫りにした課題を、教科書の知識(地理・歴史・公民)で説明できるかを試しているのだ。
2. トリアージ:「万博・渋沢」の戦略的扱い
この法則に基づき、過熱する「万博・渋沢予想」を冷静に評価(トリアージ)する。
① 万博は「パビリオン」ではなく「仕組み」で出る
2026年3月の入試時点で、万博はまだ「開催前〜開催中」の話題であり、評価が定まっていない。 したがって、パビリオンの内容やキャラクター名を問うような出題は考えにくい。 もし出題されるとすれば、以下のように「教科書単元への翻訳」が行われるはずだ。
- 環境への翻訳: SDGs、持続可能な社会、プラスチック資源循環。
- 地理への翻訳: 開催地「夢洲」に関連した、埋立地の地形図読み取りや、ゴミ処理の歴史。
- 財政への翻訳: 開催費用に関連した、地方財政(歳入・歳出)の仕組み。
② 渋沢栄一は「優先度を下げる」のが合理的
多くの受験生が新紙幣(渋沢栄一)を本命視しているが、実は渋沢栄一を構成する重要要素は、2025年入試ですでに扱われている。
- 要素1(産業): 2025年の大問3(5)で、渋沢が設立に関わった「富岡製糸場」が出題された。
- 要素2(金融): 2025年の大問4(3)で、渋沢の代名詞である「株式会社」と「配当」の仕組みが問われた。
名前こそ書かせていないが、要素(産業・金融)が直近で消化された以上、2026年で再び「渋沢栄一」をメインテーマに据える可能性は低くなる。 対策としては、「渋沢一本」に賭けるのではなく、別テーマを主軸に置き、渋沢は“ついでに拾える範囲”へ格下げするのがリスク管理として正解だ。
3. 予測:2026年度入試「真の」予想リスト
「万博(未来)」は仕組みで理解。「渋沢(過去)」は深追いしない。 ならば主軸にすべきは、「2024年〜2025年のニュースでありながら、まだ手つかずの空白地帯」だ。
【Sランク:未使用の「前年の顔」】
① 物流2024年問題(労働・運輸) 2024年4月に施行された「働き方改革関連法」。このネタは2025年入試の作成時期には間に合わなかった可能性が高く、今回が「初出し」の絶好機である。
- 【公民】労働と権利: 労働基準法、労働時間の規制、ワーク・ライフ・バランス。
- 【地理】日本の交通網: トラック輸送への依存度(輸送分担率)、モーダルシフト(環境に優しい鉄道・船への転換)。
② 津田梅子(新紙幣の「残り札」) 渋沢の要素が使われた今、残る新紙幣の顔、特に「津田梅子」が歴史と公民のクロスオーバーとして浮上する。
- 【歴史】明治の外交と教育: 岩倉使節団(1871年)への参加、女子英学塾(津田塾大学)の創設。
- 【公民】ジェンダー平等: 男女共同参画社会基本法、SDGs(ジェンダー平等の実現)。
【Aランク:地理×時事の複合】
③ 佐渡島の金山 世界遺産登録(2024年7月) 大阪府入試は世界遺産ネタを好む傾向がある(2024年に百舌鳥・古市古墳群が出題済み)。佐渡はまだ「未使用」だ。
- 【歴史】江戸の財政: 幕領(天領)としての重要性、金銀の輸出(長崎貿易)。
- 【地理】北陸・中部の気候: 日本海側の気候(冬の季節風・降水量)。
④ 能登半島地震と防災(2024年1月) 発災から時間が経過し、復興や防災が教科書レベルで問える時期に入った。
- 【地理】地形と災害: リアス海岸の地形図読み取り、液状化現象。
- 【公民】地方自治: 災害時の自治体の役割、ボランティア(共助)。
4. 結論:ニュースを見るな、教科書を見ろ
入試で勝つのは、テレビのニュースを丸暗記した人間ではない。 ニュースをきっかけにして、「まだ問われていない重要単元(労働基準法、岩倉使節団、日本海側の気候)」を教科書で確認した人間だ。
世間の「万博・渋沢」というノイズに惑わされず、この「戦略リスト」にある単元を確実に潰してほしい。それが、合格への最短ルートである。
▼【参考】千葉県公立入試の分析はこちら
当研究所の「1年ズレの法則」は、大阪だけでなく千葉県入試でも実証されている。 検索1位を獲得した千葉県版の予想リストと見比べることで、公立入試に共通する「作問のクセ」がより深く理解できるだろう。
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