【2026神奈川県公立入試講評】国語は「耐久戦」で確定。AI・芸術論を読み切る“知的スタミナ”が合否を分けた。

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

昨日(2月17日)、2026年度神奈川県公立高校入試が実施された。 結論から述べる。神奈川の国語は、今年も「高負荷な読解試験(耐久戦)」として設計されていた。

ポイントは「文学的に味わうか」ではない。時間・集中力・照合回数を含めた処理設計に、最後まで耐えられるかどうかである。特に、前半に重たい長文を置き、後半で古文と複数資料を処理させる流れは、受験生の時間配分を確実に削る。

本稿では、2026年の構造を2025年と比較し、神奈川国語の要求能力を「実務の言葉」で整理する。

目次

1. 構造:2年連続で同型。前半で処理量を使わせる

まず確認すべきは、大問の並びが2年連続で同型である点だ。 問二(小説)→問三(論説)→問四(古文)という順序で、負荷の高い長文を前半に固める。そのうえで、後半に古文と問五(複数資料)を置き、集中力が落ちた状態で照合を要求する。

この型に対し、「国語は読めば何とかなる」という姿勢で挑むと、後半で時間が崩れる。必要なのは、読む力そのものではなく、負荷を見越した処理手順である。

2. 今年の中身:テーマが「AI」と「芸術論」。抽象語に耐える力が要る

2026年は、題材の時点で受験生を選別している。

問三(論説)は、吉岡洋『AIを美学する』。 本文には「ドレイファス」「身体への埋め込み」「記号操作」など、抽象度の高い語が並ぶ 。ここで必要なのは“雰囲気読み”ではない。筆者の主張の骨組みを外さずに追う力である。

問二(小説)は、永井紗耶子『秘仏の扉』。 写真師とフェノロサの対話を軸に、「写真は美術か記録か」「IDEA(妙想)とは何か」という議論が走る 。感情語を拾うだけの読み方では足りない。論点(対立軸)を追跡し、登場人物の立場の差を整理する必要がある。

ここまで来ると、問われているのは「心情読解」ではなく、抽象テーマを読み切る知的スタミナである。

3. 問五の正体:検索・照合・構造化(=情報の編集作業)

神奈川国語の勝負所は、今年も問五である。 2026年は「作品制作における模倣」をテーマに、複数の文章と、内容整理のための図(メモ・まとめ)が提示されている。

ここで要求されるのは、次の3点だ。

  1. 検索: 必要な一文を本文から素早く見つける
  2. 照合: 文章1と文章2、さらに図(まとめ)を行き来し、矛盾なく対応させる
  3. 構造化: 文章を“図の形”に落とす。さらに指定語句(枠・表面的)を使って30〜40字に圧縮する

つまり問五は、国語というより「情報を編集して納品する作業」に近い。読解力そのものより、処理手順の正確さで差がつく。

4. 古文は「癒やし」ではない。後半処理としての集中力が問われる

問四は『宇治拾遺物語』で、題材自体は標準的な説話である 。 しかし配置が後半である以上、ここは「簡単だから得点源」ではない。前半の高負荷長文を処理した後でも、注釈と本文を往復しながら大意を崩さない集中力が残っているか。神奈川が測っているのはそこだ。

結論:必要なのは「検索技術」と「教養」である

2026年の神奈川国語で高得点を取るために必要なのは、情緒的な読書体験ではない。

  • 硬質な語彙力: 抽象語を“意味の部品”として素早く処理する力
  • 現代的教養: AI・芸術論のようなテーマを、論点として追い切る力
  • 検索と構造化: 複数資料を行き来し、図と要約に落とす事務処理能力

受験生諸君。君たちが今日解いたのは、物語ではない。 膨大な情報の中から必要事項を検索し、照合し、構造に落とし込む「情報編集作業」である。神奈川国語は、その耐久力で合否を分けに来た。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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