※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。
【北海道公立入試・数学】大問3(関数)は「物理」ではない。「追いつく」を「差の等式」へ翻訳するプロトコル
序論:数学と理科の境界線
2025年度の大問3は、電車と自転車が並走し、追い越す場面を扱う。
見た目は文章題だが、その正体は「現象を等式へ翻訳できるか」を問うテストである。
多くの受験生がここで躓くのは、計算力の不足ではない。
「追い越される」という物理的な出来事を、数学の言葉(方程式)に変換できていないからだ。
本稿では、この翻訳の手順=プロトコルを固定する。
1. 「追い越す」の定義を、数式に耐える形へ落とす
問題文には「図2のように、自転車が電車に追い越される」とある 。
ここを雰囲気で読んではいけない。数学的に定義する。
「完全に追い越した瞬間」とは、電車の“先頭”ではなく、“最後尾”が自転車の位置に一致した瞬間である。電車の全長は48mと与えられている 。
したがって、その瞬間には以下の関係が成り立つ。
電車の進んだ道のり = 自転車の進んだ道のり + 電車の全長(48m)
これは、位置(道のり)のグラフで言えば、「2つのグラフの“縦の距離の差”が48になる瞬間」と定義できる。
2. 翻訳ルール:現象は「差の等式」に変換せよ
ここから先は作業である。
混乱を防ぐため、変数を時間を $t$(秒)、道のりを $y$(m)で統一する。
- 電車の道のり: $y = \frac{1}{2}t^2$ (加速運動)
- 自転車の道のり: $y = 10t$ (等速直線運動)
翻訳ルールは一行で済む。
$$(電車の道のり) – (自転車の道のり) = 48$$
よって、立てるべき方程式はこれだ。
$$\frac{1}{2}t^2 – 10t = 48$$
これを解く。両辺を2倍して整理すると、
$$t^2 – 20t – 96 = 0$$
因数分解すると、
$$(t – 24)(t + 4) = 0$$
時間は正( $t>0$ )なので、 $t=24$ (秒後)で確定である 。
結論:現象をグラフで語れ
「追いつく」「追い越す」「出会う」。
これらはすべて、グラフ上では「交点」または「差が一定値になる瞬間」として表現できる。
北海道の活用系問題(大問3)は、物理公式の暗記など要求していない。要求しているのは、現象を見て次の一行に落とす能力である。
$$(速い方) – (遅い方) = 必要な差(全長や初期差)$$
この翻訳ができた瞬間、文章題はただの二次方程式に変わる。
【総括】北海道・大問3(関数)完全攻略パッケージ
本シリーズ(全3回)で解説した通り、北海道公立入試の関数問題は、一見複雑に見えるが、解法パターンは極めて限定的である。
- ノイズ除去 (記事①)画面の枠や会話文に惑わされるな。「数式」と「条件」だけをスキャンせよ。
- 座標幾何(時間停止) (記事②)動く点を追うな。座標を $(t, at^2)$ と置いて時間を止め、長さを測れ。
- 現象翻訳 (記事③)物理現象を難しく考えるな。全てはグラフ上の 「差」 や 「交点」 の方程式である。
この3つの武器(プロトコル)を持っていれば、どのような新傾向問題が出ても、君だけは涼しい顔で正解に辿り着けるはずだ。

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