【福岡県公立入試・理科】難問は捨てろ。「教科書原理主義」を貫く植物単元の完全攻略

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

序論:福岡理科に「裏技」は通用しない

福岡県公立入試の理科、とくに生物分野(植物)で多くの受験生が抱く誤解がある。「難しい応用問題を解けるほど点が伸びる」という幻想だ。断言する。福岡において、その努力は徒労になりやすい。

福岡の植物は、奇問・珍問で差をつける県ではない。代わりに、教科書に載っている実験の手順と作法を、泥臭いほど丁寧に問う。 つまり勝負は「発想」ではなく、教科書の「再現」で決まる。


【証拠データ】11年間の「実験偏愛」全記録

我々『受検アナリティクス』が分析した2014年から2024年までの出題リストを見てほしい。 福岡県がいかに「教科書の実験」を愛しているかが一目瞭然だ。

▼ 福岡県公立入試・理科(植物)出題リスト (※2021年、2017年は植物単元の出題なし。)

年度 テーマ(題材) 設問の決定的特徴
2024 【光合成】 タンポポの葉 明暗・脱色 / 対照実験の条件 / 石灰水
2023 【蒸散】 アジサイの葉 ワセリン / 蒸散量計算 / 根毛の役割
2022 【分類】 アブラナ vs マツ 被子・裸子 / 花粉管 / 果実と種子
2020 【光合成】 斑入り葉 光の有無 / 葉緑体の有無 / デンプン反応
2019 【光合成】 オオカナダモ BTB溶液 / 気体収支 / 二酸化炭素
2018 【蒸散】 アジサイ ワセリン / 蒸散量計算 / 道管の染色
2016 【生殖】 エンドウの花 解剖 / ルーペ操作 / 受精プロセス
2015 【蒸散】 ツユクサ 気孔観察 / 顕微鏡操作 / 平行脈図示
2014 【光合成】 斑入り葉 転流 / エタノール脱色 / 師管

この一覧が示す結論は単純だ。 福岡は「植物の知識」を聞いているのではない。教科書実験を、正しい手順で再現できるかを試している。


鉄則Ⅰ:二大巨頭「光合成」と「蒸散」を制圧せよ

11回中7回(約6割)がこの2テーマで占められている。まずはここを盤石にする。

1. 光合成(葉の実験:明暗・斑入り・脱色)

アルミ箔で遮光し、光の有無を比較する。斑入り葉で、葉緑体(緑の部分)の有無を比較する。脱色(エタノール)を挟み、ヨウ素液でデンプン生成を判定する。 ここで問われるのは暗記ではない。「光」と「葉緑体」の2条件を組み合わせて、結果を整理できるかである。

2. 光合成(BTB溶液:気体収支)

「光合成する → 二酸化炭素が減る → 溶液がアルカリ性になる → 青色になる」。 この因果を“即答回路”にしておく。

3. 蒸散(ワセリン:計算)

葉の表・裏・茎、どこから水が失われたかを「減少量」で処理する。 ここは思考問題ではなく、式を立てる算数問題である。

4. 蒸散(気孔:観察)

表皮をはがして顕微鏡で観察し、気孔のはたらきを答える。 ついでに、顕微鏡操作やスケッチ(図示)が絡む。


鉄則Ⅱ:「理科の作法(マナー)」を記述できるようにせよ

福岡で点が落ちるのは、知識がないからではない。手順の意味を日本語で書けないからである。 以下は“定型文”として仕上げる。

  • Q. なぜ葉を熱湯につけるのか?
    • A. 葉を柔らかくし、酵素の働き(活動)を止めるため。
  • Q. なぜ温めたエタノールにつけるのか?
    • A. 葉の緑色(葉緑素)を脱色し、ヨウ素液の色の変化を見やすくするため。
  • Q. なぜ水面に油を垂らすのか?
    • A. 水面からの蒸発を防ぎ、減少量が蒸散によるものだと確定するため。
  • Q. ルーペはどう使うか?
    • A. ルーペを目に近づけて持ち、観察するもの(対象物)を動かしてピントを合わせる。

鉄則Ⅲ:蒸散計算は「A-B法」で機械的に処理する

蒸散の計算は、毎回悩む必要がない。手順を固定する。

  1. 何もしない試験管を A
  2. 表に塗る試験管を B
  3. 裏に塗る試験管を C
  • Aの減少量 = (表+裏+茎)
  • Bの減少量 = (裏+茎) ※表が塞がれた
  • Cの減少量 = (表+茎) ※裏が塞がれた

したがって、求めたい値は引き算だけで出る。

  • 表からの蒸散 = A - B
  • 裏からの蒸散 = A - C
  • 茎からの蒸散 = A - (表+裏)

これで終わりである。


結論:教科書を「取扱説明書」として読め

福岡県公立入試の理科(植物)攻略に、分厚い難関私立用の問題集は不要だ。 必要なのは、学校の教科書にある「実験のページ」である。

そこに書かれた「手順」「注意点」「考察」を、そのまま再現できるように仕上げる。 入試本番、君に必要なのは閃きではない。「ああ、これは教科書のあの実験だ」と思い出す、正確な記憶(検索能力)である。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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