【広島県公立入試・数学】関数は「傾向が定まらない」のではない。「本質」を突いているだけだ。──14年データが暴く「全モデル共通」の攻略OS

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

序論:広島県入試の「関数ルーレット」

公立入試の関数問題は、特定の関数(主に二次関数)を前提にした「型の暗記」が通用しやすい分野である。多くの都道府県では、二次関数が不動のメインテーマとして鎮座しているからだ。

だが、広島県はこの「型」を成立させない。

過去14年の記録を分析すると、二次関数に寄り切ることなく、反比例や一次関数(比例を含む)へと、その出題モデルを頻繁に切り替えていることが判明した。

一見すると、傾向が乱高下しているように見える。

しかし、ここで言う「傾向の乱れ」は本質ではない。本質は14年間一貫している。

広島県が問うているのは、関数の種類ではなく、「座標上で図形を処理し、条件を方程式に落とす能力」である。

【証拠データ】14年間の「関数ルーレット」全記録

まずは、我々が抽出した2012年から2025年までの全出題リストを見てほしい。

「二次関数ばかりやっておけばいい」という甘い予測がいかに危険か、数字が如実に物語っている。

■ 過去14年間の出題内訳

  • 二次関数 ($y=ax^2$): 6回
  • 反比例 ($y=\frac{a}{x}$): 4回
  • 一次関数(比例含む): 4回

■ 年度別詳細リスト

  • 2025年: 二次関数(等積変形・四角形の面積)
  • 2024年: 反比例(面積比 3:4・座標決定)
  • 2023年: 一次関数(平行線と線分比)
  • 2022年: 二次関数(正方形の成立条件)
  • 2021年: 反比例(線分の長さ・係数決定)
  • 2020年: 二次関数(中点座標・面積)
  • 2019年: 比例・一次関数(変域・直線の式)
  • 2018年: 二次関数(等積変形 $CD=AB$)
  • 2017年: 反比例(長方形・平行四辺形)
  • 2016年: 二次関数($y$の変域・平行)
  • 2015年: 一次関数(三角形の面積比)
  • 2014年: 反比例(対角線の中点一致)
  • 2013年: 二次関数(面積からの係数決定)
  • 2012年: 一次関数(面積の二等分)

構造分析Ⅰ:形式の変化は「目くらまし」である

このリストを見て「対策が絞れない」と動揺するならば、それは出題者の術中にハマっている。

なぜ広島県は、これほどまでに関数の種類を変えるのか?

それは、受験生が陥りがちな「パターン学習(解法の丸暗記)」を無効化するためである。

例えば、「放物線なら、この公式が使える」といった特定の関数に依存したテクニックは、広島県では通用しない。2024年のように突如「反比例」が出た瞬間、放物線専用の武器しか持たない生徒は手も足も出なくなる。

しかし、出題内容(中身)を冷静に解析すれば、やるべきことは14年間変わっていない。

モデルは違えど、求められているのは常に「座標上の図形処理(面積・長さ・比)」なのである。

構造分析Ⅱ:唯一の攻略OS「文字置き(Substitution)」

では、この「関数ルーレット」をどう攻略するか。

唯一の解は、関数の種類に依存しない「座標定義力(文字置き)」をマスターすることである。これさえあれば、関数が何であろうと恐れる必要はない。

【広島県型・攻略アルゴリズム】

※これだけ覚えろ:

「求める点の $x$ 座標を $t$ と置き、すべてを $t$ の方程式へ持ち込め。」

具体的な手順は以下の3ステップに集約される。

  1. Step 1: 求める点(または動点)の $x$ 座標を $t$ と置く。
  2. Step 2: $y$ 座標を、その年の「関数の式」に代入して表す。
    • 二次関数なら $(t, at^2)$
    • 反比例なら $(t, \frac{a}{t})$
    • 一次関数なら $(t, at+b)$
  3. Step 3: 問題文の条件(面積、長さ、中点など)を、$t$ を使った方程式にして解く。

このアルゴリズムは、2024年の反比例だろうが、2025年の二次関数だろうが、完全に同じ手順で実行できる。2019年のように「比例」が出た場合も、それは一次関数の特殊系(切片が0)として同様に処理すればよい。

広島県が求めているのは、「二次関数の知識」ではない。「どんな関数が来ても、それを数式としてハンドリングできる抽象的な思考力」なのだ。

結論:広島県こそ「真の実力」を試すリングである

「今年は二次関数が出るか? 反比例か?」と予想することに意味はない。

それは「相手が右から殴ってくるか左から殴ってくるか」を予想するようなものだ。どちらが来ても対応できる「ガードとフットワーク(=座標定義力)」を磨くのが、プロの指導である。

広島県の受験生が持つべき武器はただ一つ。

「座標を $t$ と置く勇気」

これさえあれば、一見複雑な広島県の入試問題は、「傾向が定まらない難問」から、「毎回同じ解法を繰り返す同型問題」へと変わるだろう。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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