【解剖】沖縄県公立入試数学の確率は「賭け」ではない。「国語」と「作業」で完遂する14年間の勝利アルゴリズム

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

序論:入試会場で「祈る」な

確率は、数学の中で唯一「未来」を扱う単元だ。

そのためか、多くの受験生が「運」や「ひらめき」に頼ろうとする。問題を前にして、頭の中でサイコロを転がし始めるのだ。

断言する。その瞬間に不合格が決まる。

沖縄県公立入試の確率は、過去14年間(2012-2025)、一貫して「ルールの読解」と「全パターンの管理」を求めている。

そこにあるのはギャンブル要素ではない。淡々と条件を整理し、樹形図で回収するだけの「集金作業」である。

まずは、我々が抽出した14年分の出題リストを見てほしい。沖縄県が何を試そうとしているのか、その傾向は明白だ。

【証拠データ】14年間の「確率」全リスト

沖縄県の確率は、「さいころ・カード・玉」といった道具を使い分けながらも、問うている能力は「ルールに従って操作できるか」の一点に尽きる。

ただし、数年に一度混入する「座標系(グラフ)」には特段の注意が必要だ。

  • 2025年: [プレゼント交換] 4人が自分のプレゼント以外を受け取る(完全順列)
  • 2024年: [さいころ] 出た目の積の条件($n \geqq 55$, 3の倍数)
  • 2023年: [点P移動] 赤玉・白玉による数直線上での移動
  • 2022年: [カード] 2枚引いて2桁の整数を作る(戻さない)
  • 2021年: [座標・図形] さいころの目を座標とし、直線上にある確率や三角形を作る
  • 2020年: [カード] 1枚引いて戻す(反復試行)
  • 2019年: [ルール操作] さいころの目で碁石を取る
  • 2018年: [点P移動] 偶奇による数直線上での移動
  • 2017年: [玉] 1個引いて戻す
  • 2016年: [座標] 2回引いて点を作り、色が同じで奇数になる確率
  • 2015年: [座標・距離] 2つの袋から球を出し、原点との距離が5以上になる確率 +1
  • 2014年: [点P移動] 正五角形の頂点上を、サイコロの目で移動
  • 2013年: [コイン・操作] 3回投げて、表裏の結果で白黒の石を並べる +1
  • 2012年: [カード] 5枚から2枚引き、2桁の整数を作る(戻さない)

このデータから導き出される、沖縄県攻略のための「3つのアルゴリズム」を提示する。

アルゴリズムⅠ:「点P移動」は逆算で待ち伏せろ

沖縄県で頻出かつ、差がつくのが「点Pの移動」だ(2023, 2018, 2015, 2014年など)。

正方形や数直線上を、サイコロや玉の結果で進む「すごろく形式」である。

失敗する生徒は、「1が出たらここ、2が出たらここ…」と点Pを追いかけ回す。

成功する生徒は、サイコロを振る前に「ゴールの条件」を確定させて待ち伏せる

【沖縄型・すごろく攻略手順】

  1. ゴールを確定する:問題文を読み、「点PがBに止まる」などの勝利条件を確認する。
  2. 当たり目を逆算リスト化する:「Bに止まるためには、合計で何マス進めばいいか?」を計算する。(例:正五角形なら 1, 6, 11… / 数直線なら +2, -2…)
  3. その目になる組だけを回収する:和が「1」や「6」になるサイコロのペアを樹形図で探す。

動く点Pを追うな。「網(あたりの目)」を張って待ち伏せるのだ。これができれば、2015年の正五角形も、2023年の数直線も、単なる足し算の問題に成り下がる。

アルゴリズムⅡ:「戻す」か「戻さない」か。1文字の違いが致死量になる

確率問題において、最も警戒すべき「罠(トラップ)」は、カードや玉を引くときのルール設定にある。

沖縄県は、この設定を年によって巧妙に使い分けてくる。

  • Case A:戻す(Replacement)2020年、2017年などで出題。1枚引いて記録し、箱に戻してから次を引く。分母は $5 \times 5 = 25$ 通り。同じカード $(1, 1)$ もあり得る。
  • Case B:戻さない(Without Replacement)2022年、2012年などで出題。1枚引き、戻さずに(または同時に)次を引く。分母は $5 \times 4 = 20$ 通り。同じカードは出ない。

問題文を読んだ瞬間、「戻す」のか「同時に引く(戻さない)」のか、その単語に物理的に丸をつけること。

この確認を怠った場合、その後の計算がどれだけ正確でも、全て徒労に終わる。

アルゴリズムⅢ:「樹形図」こそが最強の武器

「計算で解こうとするな」

これが当研究所の結論だ。

高校数学の公式(CやP)を使いたがる生徒がいるが、沖縄県の入試問題は「場合の数」が極めて少ない。

2025年の「プレゼント交換」や、2019年の「碁石操作」、そして2021年の「座標上の三角形」を見てほしい。これらは公式に当てはめるよりも、樹形図や表ですべて書き出した方が圧倒的に速く、かつ正確だ。

書き出してもせいぜい20〜36通り。書くのにかかる時間は1分もかからない。

その1分を惜しんで頭の中で計算し、ケアレスミスで5点を失うことほど愚かなことはない。

「迷ったら全部書く」。この泥臭い戦術こそが、最強の防衛策である。

結論:確率は「国語」であり「作業」である

沖縄県の確率は、数学的なひらめきを求めていない。

2025年の最新問題(プレゼント交換)であっても、それは変わらない。「自分以外のプレゼントを受け取る」という条件を読み取り、全パターンを書き出して数えるだけの「作業」である。

  1. 移動問題は、ゴール(当たりの数)を先にリスト化する。
  2. 条件(戻す/戻さない)に線を引く。
  3. 樹形図で全事象を可視化する。

この3つの手順を守るだけで、確率は「賭け(ギャンブル)」から、確実に得点を積み上げる「集金作業」へと変わる。

入試当日、サイコロの目に一喜一憂するライバルを横目に、淡々と作業を遂行せよ。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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