【山形県公立高校入試】数学の正体は計算力ではない。「関数・作図・確率」を攻略する3つの鉄則

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

目次

1. 序論:なぜ「関数」と「作図」で差がつくのか

山形県公立高校入試において、数学の点数が伸び悩む受験生には共通点がある。彼らは「計算ミスをした」「時間が足りなかった」と嘆くが、それは誤診である。

点数が取れない本当の原因は、計算力ではない。山形県特有の「関数・作図・確率」の出題パターンに対応できていないことにある。

  • 関数: 式を立てようとして自滅する。
  • 作図: 勘で線を引いて間違える。
  • 確率: 説明不足で減点される。

山形県教委が求めているのは、高速な計算処理能力でも、天啓のような閃きでもない。日本語で書かれた条件を、厳密な数式や図形定義に変換する「翻訳能力」である。

我々習志野受験研究所が直近4年分(2022-2025)の過去問を徹底的に解剖した結果、そこには単元を超えて共通する「攻略手順(アルゴリズム)」が存在した。 本稿では、特に差がつくこれら3大単元の分析データと、合格のための鉄則を公開する。

2. 分析データ:山形県数学の「構造」

まずは以下のリストを見てほしい。これは当ラボが抽出した、合否を分ける大問(関数・図形・確率)の構造分析である。

年度大問単元テーマ要求される思考回路(アルゴリズム)
20254関数ダイヤグラム[座標化] 文章情報を$(t, y)$座標に変換し、交点を狙い撃つ。
20252複合作図・確率[翻訳/根拠] 「等しい」を作図定義へ変換。確率は数値で説明する。
20243関数動点・面積[スナップショット] 時間$t$で静止画を描き、状況変化を追う。
20233関数図形の重なり[区間分割] 頂点が重なる瞬間を「境目」として区切る。
20223関数立体・体積変化[次元削減] 3Dの動きを「高さの変化グラフ」に落とし込む。

一見して分かる通り、単元は違えど、求められている処理は常に「状況の変化を可視化すること」と「根拠の言語化」に集約されている。

3. 法則の解説:山形・勝利の方程式

分析の結果、山形県を攻略するための「3つの鉄則」が確定した。

鉄則①:関数は「数式」ではなく「物語」で解く

2022年の「立体上の動点」、2023年の「図形の重なり」、そして2025年の「ダイヤグラム」。

これらは全て、「時間経過によって支配する数式(ルール)が変わる」という共通構造を持つ。

多くの受験生は、いきなり $y=ax+b$ を求めようとして自滅する。

プロの解法は違う。まず「特異点(状況が変わる瞬間)」を見つけるのだ。

  • 2023年: 台形の頂点が、相手の図形に入った瞬間。
  • 2025年: バスが駅に到着した瞬間、あるいは待機を終えて再出発した瞬間。

この「場面転換」のタイミング($x$の値)さえ特定できれば、あとはその区間ごとに「今は速さ毎分〇〇mで進んでいる」という単純な1次関数を当てはめるだけの作業となる。

山形の関数は、映画のフィルムをコマ送りにするような「区間分割」の技術があれば、小学生レベルの計算で完答できる。

鉄則②:作図は「お絵描き」ではなく「定義の逆算」

山形県の作図(大問2)は、コンパスの技術コンテストではない。「日本語の条件」を「幾何学的な定義」に即座に翻訳できるかどうかの語彙力テストである。

  • 「2点から等距離」と言われたら、脳を使わずに「垂直二等分線」を引く。
  • 「2直線から等距離」と言われたら、即座に「角の二等分線」を引く。
  • 「角度が半分(または2倍)」と言われたら(2023年)、「円周角の定理」を疑い、円を描く。

「どう描こうかな?」と悩んでいる時点で負けである。「この日本語は、数学語で言うと『円』のことだ」と翻訳し、作業として線を引く。この「脳内辞書」を持っているかどうかが、トップ校合格の分水嶺となる。

鉄則③:確率・資料は「数値」で説明する

大問2などで頻出する「確率」や「データの活用」では、答えの数値だけでなく、その理由を記述させる問題が多い。

ここで「なんとなくAの方が多い気がする」といった感覚的な記述は0点となる。

  • 「Aは $\frac{9}{25}$ 、Bは $\frac{10}{25}$ だから」
  • 「中央値がAは〇点、Bは△点だから」

このように、必ず「比較可能な数値(エビデンス)」を提示して論証すること。これは数学というより、論理的な国語力に近い「作法」の問題である。

4. 結論:才能ではなく「作業」である

山形県公立高校入試の数学において、「難問」に見える問題の正体は、単に「手数の多い良問」に過ぎない。

特別な数学的センスは不要である。必要なのは、問題文という「暗号」を、正しいプロトコルに従って淡々と解読する「作業」の正確さだけだ。

  • 関数が出たら、グラフの折れ曲がり点(特異点)を真っ先に探すこと。
  • 作図が出たら、条件文を定義に翻訳すること。
  • 記述が出たら、数値を根拠に置くこと。

これらを徹底するだけで、入試数学は「得点源」へと変わる。

「難しい」と嘆く前に、その難しさを「分解」せよ。手順さえ見えれば、解けない問題など存在しない。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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