【群馬県公立入試】数学が「難しい」と感じる本当の理由。計算力ではなく「翻訳力」が合否を分ける。

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

目次

1. 序論:計算ドリルを捨てろ

「計算ミスさえなければ点数は取れる」

「難しい問題も、公式を覚えればなんとかなる」

もし君や保護者がそう考えているなら、群馬県の入試会場では致命傷を負うことになるだろう。直近5年(2021-2025)の入試問題を並べてみると、結論は単純だ。

群馬県教育委員会が求めているのは、高速で処理する「計算マシーン」ではない。

「刻一刻とルールが変化する状況を、数式という言語に翻訳できる知性」である。

多くの受験生が「数学が難化した」と感じる原因は、問題の難易度そのものではなく、この「求められる能力の変化」に気づいていない点にある。

2. 分析データ:群馬県数学の正体

まずは以下の分析リスト(抜粋)を見てほしい。これが敵の正体だ。

年度大問単元テーマ攻略の初手(鍵)
20255空間図形ピラミッドの影【次元圧縮】 3次元情報を断面図(2次元)へ落とし、光の比を適用する。
20254関数つけ麺の価格【段階変化】 麺の量でルールが変わる。不連続な関数の立式。
20245空間・関数山の近道【区間速度】 登り・平坦・下りで速さが変わる。距離$x$を時間$y$へ変換。
2022後6関数六角形の動点【時間管理】 2つの動点が異なる動きをする。時刻$t$での状況整理。
2021後5関数縮小する円【二重変動】 点が動くと同時に、円自体も小さくなる。

見ての通り、単なる計算問題の比重は下がり、「状況をモデル化して管理させる問題」が上位層の選抜基準(ボトルネック)として君臨している。証明問題も消えたわけではないが、より「論理的な定義」を問う質実剛健なものへと進化している。

3. 群馬を攻略する2つの「鉄則」

鉄則①:世界は「静止」していない。「動画」として処理せよ

群馬県の難問における最大の特徴は、「条件が段階的に切り替わる」ことにある。

  • 2021年: 点Pが動いている最中に、円まで小さくなる。
  • 2024年: 山を登る時と下る時で、速さ(係数)が変わる。
  • 2025年: 「つけ麺」の麺量が増えると、ある地点から価格設定式が変わる。

これらに共通するのは、「たった一つの公式($y=ax+b$など)ですべてを表現しようとすると詰む」という点だ。

多くの受験生は、$y=ax+b$の式を一つ作って安心してしまう。だが群馬県は、「その式が使えるのはここまで。ここからは別の式だ」と、ルールの切り替えを要求してくる。

【具体的な手順】

図形やグラフを「一枚の絵」として見てはいけない。

*を引き、状況が変わる瞬間(変曲点)で区切りを入れるのだ。「$0 \le x \le 3$の世界」と「$3 \le x \le 5$の世界」は、全く別の国だと思って式を立て直す。この「区間を分ける発想」がなければ、永遠に正解にはたどり着けない。

鉄則②:「定義」への異常な執着

群馬県は、「なんとなく解ける」を許さない。

2021年の「自然数や無理数の定義」、2022年・2024年の「円周角の定理の」など、定理や言葉の「成立条件」を執拗に問う傾向がある。

「円周角の定理」を使える生徒は多い。しかし、「なぜここで円周角の定理が使えるのか(=4点が同一円周上にある条件は何か)」を論理的に説明できる生徒は稀だ。

群馬県はその「稀な生徒」だけを欲しがっている。

【具体的な手順】

計算練習の時間を削り、教科書の「太字の定義」を自分の言葉で説明するトレーニングに充てよ。「平行四辺形になるための5つの条件」を即答できるか? 「有理数と無理数の違い」を小学生に説明できるか?

その「言語化能力」こそが、証明問題や正誤判定問題における最強の武器となる。

4. 結論:才能ではない。「作業」である

群馬県の数学が難しいと感じるのは、君に数学の才能がないからではない。「複雑な現実を、小さなコマ(場面)に分解する作業」をサボっているだけだ。

  • 動く図形は、時間ごとに止めて描く。
  • 変化する関数は、区間ごとに式を立てる。
  • 証明は、定義に立ち返って確認する。

この泥臭い「分解作業」を厭わない者だけが、ピラミッドの影の長さを正確に計算し、つけ麺の適正価格を導き出し、そして高崎・前橋といったトップ校の門をくぐることができる。

魔法の解法などない。あるのは「論理的な分解」のみである。


次の一手(自己診断): 自身の「分解能力」を測りたいか? まずは2024年大問5(山の近道)あるいは2025年大問5(ピラミッド)を解き、式を立てる前の「状況整理(時間ごとのメモ作り)」に何分かけたか計測せよ。

もし「いきなり式を書いた」のなら、その癖こそが君の不合格の原因である。 今すぐその癖を矯正せよ。我々(受検アナリティクス)は、群馬の地から離れた場所で、君が「論理」という武器を手に取ることを期待している。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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