【青森県公立入試】公立入試の英語リスニングは「耳のテスト」ではない。「英語以外の作業」を課す罠である。

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

「毎日聞き流せ」「英語耳を作れ」──青森県のリスニング対策として教育現場で流通している助言の多くは、実際の得点に直結しない。

青森県が測っているのは、聴解力そのものではない。音声を聞きながら同時に図表を処理させ、数字・時刻・日付・位置情報を“演算”させる処理能力である。少なくとも当ラボが解剖を行った2022〜2025年の大問1を並べると、(1)〜(4)の出題骨格はほぼ完全に固定化している。特に(1)のイには、英語以外の作業(時間や日付のズラし、地図上の追跡など)が意図的に差し込まれている。

本稿では、この固定化された出題テンプレートを前提に、本番環境で満点を奪取するための冷徹な作業手順を提示する。

分析データが示す「不都合な真実」

ここで重要なのは「どの単元の英単語が出たか」ではない。正解に到達するまでに、受験生が限られた時間内で何を“処理”させられているかである。以下の分析リストを見てほしい。

【青森県 英語リスニング(大問1)構造分析データ抜粋】

年度設問プロット構造(骨子)要求される「英語以外の処理」
2025(1)イ状況説明 → 単純質問「時間」の加算処理(7:45の15分後を計算)
2024(1)イ状況説明 → 単純質問「日付」の加算処理(10月21日の1ヶ月後を計算)
2023(1)イ・ウ状況説明 → 単純質問グラフの論理照合および「時間」の減算(10:30着・所要20分からの逆算)
2022(1)イ状況説明 → 単純質問空間ナビゲーション(地図上の直進・左折のルート追跡)

攻略アルゴリズム:(1)〜(4)の完全制圧手順

出題者は、「英語を和訳しよう」と身構えている受験生の頭のメモ帳(ワーキングメモリ)をパンクさせるために罠を張っている。地図の右と左で迷い、日付の計算に手間取った瞬間に、次の音声は非情にも流れていく。これを無傷で突破するための具体的な手順は以下の通りだ。

(1) まず図を見て“計算の種類”を確定させる(先回り処理)

時計、カレンダー、地図、グラフを開いた瞬間に分類する。音声を聞いてから考えるのではなく、「数字が来たらここに代入する」という受け皿を先に作っておくこと。2025年であれば聞こえた数字を足し算し、2022年であればペン先を地図上で動かす準備をしておく。待ち構えていなければ確実に失点する。

(2) モノローグは「全部聞くな、タグだけ拾え」

(2)の案内放送などは、必要な属性だけを抜くパートである。2024〜2025年も、問われ方はこの方向に揃っている。事前に選択肢へ「場所」「時間」「行動」といったタグ付けを行う。2025年の「今日の宿題・次の授業・明日の予定」 や、2024年の「各階の展示物」 のように、タグが読めた瞬間に該当する情報だけを拾い、残りは捨てる。

(3) 対話は疑問詞への即答を狙い撃ちする

(3)の対話では、終盤に登場する疑問詞への即答を狙う。2025年の How many times や、2024年の How long など、疑問詞の直後だけを取りに行く。直前の疑問文の「型」さえ認識できれば、細かな理由部分などは飾りになりやすい。

(4) 自由英作文は「考える」な。「無傷で着地」せよ

最後には必ず「あなたならどうするか(何をしたか)」を問う自由英作文が配置される。ここでの失点要因は内容の浅さではなく、スペルと文法の自滅(事故)である。過去形なら「I played soccer with my friends.」など、中1レベルの極小定型文を3〜4パターン持っておくこと。ここはアイデアを練る時間ではなく、ノーミスで着地するための作業である。

結論:正道を知る者だけが勝つ

青森県のリスニングにおいて、行き当たりばったりの聴取は致命傷となる。安定して高得点を叩き出すための条件は、優れた英語力ではなく、出題者の意図を裏書きした「設計図」を持ち込み、それを淡々と実行することだ。

読者である保護者に問う。現在お子様が受けている指導は、入試問題をここまで構造的に解体し、本番で迷いなく実行できるレベルの「作業手順」にまで落とし込めているだろうか。ただ「もっと英語の音声を聞きなさい」という精神論しか提供されない環境では、この構造を突破することは困難である。世の中の受験生が「聞き取れない」と嘆いている間に、合格のロジックを知る者は、用意された解答を埋めるだけの簡単な作業を終えているのだ。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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