導入:この大問を解くための2つの分析軸
2026年度の宮崎県公立高校入試・国語の大問2は、脳科学者・毛内拡の『読書する脳』を題材に、情報過多の現代社会において読書が果たす役割や、人間の「精神的自由」との関わりを論じた文章を読み解く問題であった。
論説文の読解において、文章全体のテーマ(「読書は精神的自由を守るために重要である」)を大まかに捉えるだけでは、空欄前後の構文条件に合わせた記述作成や、本文中の語句を用いた選択肢の判別を正確に行うには不十分である。問題文と設問から確認できる客観的な構造は、主に以下の2つの軸で整理できる。
- 抽象概念の定義と具体的な思考過程の照合本文では、「精神的自由」「未完了感」「内的省察」といった抽象的な概念が提示される。これらを一般的な言葉のイメージで捉えるのではなく、筆者が本文中でどのような心理状態や行動として具体化しているか(他者の評価に依存しない自己決定、読後の余白から生じる自発的な解釈の創造、他者の価値観との比較による自己の見つめ直し)を確認することが、問二・問四・問五の正誤を判断する基礎となる。
- 「問題提起 $\rightarrow$ 主張 $\rightarrow$ 根拠の具体化 $\rightarrow$ 主張の再確認」という論理展開と接続関係の把握文章は、現代社会における精神的自由の喪失という問題提起から始まり、読書がその回復・維持に役立つという主張、心理学(ツァイガルニク効果)や脳科学の知見を交えた根拠の説明、そして結論へと整然と進められている。問三の接続語選択や問六の文章構成把握では、前後の文が「主張と理由」なのか「操作と結果」なのかといった論理関係を明確に見極める処理が求められる。
内容を理解していることと、初見の設問で正答までの処理を再現できることは別である。本文・設問・選択肢を客観的に突き合わせる思考手順を確認していく。
『読書する脳』(毛内拡)の要約と論理構造
本文は、外部からの刺激に囲まれた現代人が自分自身の意思で考える力を取り戻すための営みとして、読書を位置づけている。文章全体の構成と論理の展開は、下表のように整理できる。
| 構成・段階 | 本文の具体的な記述内容 | 読解上の役割 |
| ① 問題提起 | 「売れているから」といった他者の評価やスマートフォンの通知に注意を奪われ、損失回避の心理も働いて、自分の意思で決定する「精神的自由」を失いつつある。 | 現代社会における精神的自由の喪失という課題を提示する。 |
| ② 主張 | 読書は、この精神的自由を育み、またそれを守るための有力な手段となる。 | 課題に対する筆者の中心的主張を提示する。 |
| ③ 根拠1(未完了感) | 読書には、疑問や解釈の余地が残る「未完了感」がある。ツァイガルニク効果が示すように未完了の事柄は記憶に残り、その余白を埋めようと脳が想像力や思考力を働かせ、自分なりの解釈や視点を創造しようとする。 | 読書が自発的な思考を促す第1の理由を心理学的に説明する。 |
| ④ 根拠2(内的省察) | 物語や著者の思想に触れることで、自分の価値観との間にギャップや疑問が生じ、自分自身の内面を見つめ直す「内的省察」の機会が得られる。これにより内側前頭野やDMNが活性化し、自己理解と自己決定の能力が鍛えられる。 | 読書が自己を見つめ直す契機となる第2の理由を脳科学の観点も交えて説明する。 |
| ⑤ 結論 | 情報過多の環境において、読書を通じた内的省察の時間は、精神的な自由を回復・維持するための非常に重要なプロセスである。 | 全体の論証を踏まえて中心的主張を再確認する。 |
全問解答一覧
| 設問 | 正答・答案 | 形式・条件 | 設問条件の概要 |
| 問一ⓐ | あいまい | 漢字の読み | 傍線ⓐ「曖昧」の読みをひらがなで書く。 |
| 問一ⓑ | 源泉 | 漢字の書き取り | 傍線ⓑ「ゲンセン」のカタカナ部分を漢字に直す。 |
| 問一ⓒ | きた | 漢字部分の読み | 傍線ⓒ「鍛えられる」の漢字部分の読みをひらがなで書く(送り仮名を除く)。 |
| 問二 | ウ | 記号選択 | 傍線①「この自由」が指す内容として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
| 問三A | ア「なぜなら」 | 記号選択 | 空欄Aに入る接続語として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
| 問三B | エ「すると」 | 記号選択 | 空欄Bに入る接続語として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
| 問四 | 疑問や解釈の余地などが残ることで、自分なりの解釈や新たな視点を創造しようとする | 記述(40字以内 / 39字) | 四角で囲まれた部分の言葉を使い、空欄「本を読み終えたときに、( )から。」に入る内容を40字以内で書く。 |
| 問五 | ウ | 記号選択 | 傍線③「読書を通じた内的省察」の説明として最も適当なものを1つ選ぶ。 |
| 問六 | イ | 記号選択 | 本文の構成や展開を説明したものとして最も適当なものを1つ選ぶ。 |
【大問2】各設問の解答解説と思考手順
問一(漢字の読み・書き取り)
手順1(設問要求の確定)
傍線ⓐ「曖昧」の読み、傍線ⓑ「ゲンセン」の漢字表記、傍線ⓒ「鍛えられる」の漢字部分の読みをそれぞれ特定する。設問の指示に従い、ⓒは送り仮名を含めず漢字部分のみをひらがなで答える。
手順2(根拠範囲と文脈の確認)
- ⓐ:「物語の結末がⓐ曖昧なまま終わることもあります。」
- ⓑ:「創造性や主体性のⓑゲンセンとなります。」
- ⓒ:「自らの内面を見つめ直す能力(メタ認知)がⓒ鍛えられるのです。」
手順3(論理整理:語義と表記の照合)
- ⓐ:「曖昧」は物事が明確でなく、ぼやけている状態を指す語であり、読みは「あいまい」である。
- ⓑ:「ゲンセン」は物事が発生する根本や、活力が湧き出るもとを指す。水が湧き出る泉に由来する「源泉」の表記が文脈に合致する。
- ⓒ:「鍛える」は「きたえる」と読む。解答欄には送り仮名「( え)」が印字されているため、漢字「鍛」に当たる「きた」のみを記入する。
結論
- ⓐ:あいまい
- ⓑ:源泉
- ⓒ:きた
問二(指示語の内容・記号選択)
手順1(設問要求の確定)
傍線①「この自由を取り戻す」について、「この自由」が具体的にどのような自由を指しているのかを説明した選択肢から、最も適当なものを1つ選ぶ。
手順2(根拠範囲の限定)
指示語「この」の指示内容を特定するため、傍線①の直前および第1段落全体の文脈を確認する。
手順3(論理整理:対比構造の確認)
第1段落では、現代人が自由を失っている状況と、取り戻すべき本来の自由が次のように対比されている。
- 問題視されている状態:「売れているから」「人気だから」と他者の評価を基準に本を選び、「自分だけ読んでいないと損をするかもしれない」という損失回避の心理や強迫観念に支配されている状態。スマートフォンの通知によって注意力を奪われ、「自分自身が本当に興味のあるものと向き合う精神的自由」を侵害されている状態。
- 取り戻すべき状態:傍線直前に「自分自身の内面的な自由を守り、主体的に日々の時間割を作り上げること」とあり、外部からの刺激に受動的に流されるのではなく、自分が本当に興味のあるものに主体的・自発的に注意を向ける自由を指している。
手順4(設問形式に応じた処理:選択肢の照合)
- ア(不適切):「損失を回避する行動によって利益を得る自由。」とあるが、本文で「損失回避」は他人の評価に依存してしまう背景の心理メカニズムとして問題視されているものであり、筆者が取り戻すべき自由として肯定している内容ではない。
- イ(不適切):「他者からの評価をもとに自己決定を行う自由。」とあるが、他者の評価に依存することは本文で批判されている精神的自由の喪失そのものである。
- ウ(適切):「自分が本当に興味のあるものと向き合う自由。」は、本文の「自分自身が本当に興味のあるものと向き合う精神的自由を侵害しています」「この精神的自由を育み……この自由を取り戻す」という記述と直接一致する。
- エ(不適切):「外部の刺激や情報を積極的に取り入れる自由。」とあるが、外部の刺激に絶え間なくさらされることは精神的自由を失う原因として述べられている。
結論
正答は ウ である。
問三(接続語の選択・記号選択)
手順1(設問要求の確定)
空欄Aおよび空欄Bに入る接続語として、最も適当なものをア〜エからそれぞれ1つ選ぶ。
手順2(根拠範囲の限定)
- 空欄A:第2段落冒頭「読書は、この精神的自由を育み、またそれを守るための有力な手段となると私は考えています。[ A ]、情報過多の現代社会にあっても……自らの内面世界を自由に探究させてくれるからです。」の前後を確認する。
- 空欄B:第3段落「残りは意図的に途中で中断させました。[ B ]案の定、被験者は完了させた課題よりも、中断されたままの課題をより鮮明に記憶していることが明らかになったのです。」の前後を確認する。
手順3(論理整理:文脈の役割と呼応関係の確認)
- 空欄Aの論理関係:前の文は「読書は精神的自由を守る有力な手段となる」という筆者の主張である。後ろの文は「読書は……自らの内面世界を自由に探究させてくれるからです」と、文末が「〜からです」で結ばれており、前の主張が成り立つ理由を述べている。したがって、「主張 $\rightarrow$ 理由説明」を導く接続語「なぜなら」が適合する。
- 空欄Bの論理関係:前の文は「一部の課題を意図的に途中で中断させた」という実験の操作である。後ろの文は「案の定、被験者は……中断されたままの課題をより鮮明に記憶していることが明らかになった」と、実験の操作を受けて現れた観察結果を述べている。操作を行った結果として展開する事態を表し、直後の副詞「案の定」とも自然に呼応する接続語は「すると」である。
手順4(設問形式に応じた処理:選択肢の照合)
- 空欄A:理由を導く ア「なぜなら」 が適切。「しかし(逆接)」「だから(順接の結果)」「すると(継起)」はいずれも理由説明の接続として不適。
- 空欄B:操作から結果への推移を表す エ「すると」 が適切。「なぜなら(理由)」「しかし(逆接)」「だから(原因による帰結)」よりも、実験の経過と「案の定」に接続する語として最も自然である。
結論
- 空欄A:ア(なぜなら)
- 空欄B:エ(すると)
問四(理由説明記述:40字以内)
手順1(設問要求の確定)
傍線②「読書に伴う『未完了感』」が「精神的自由」につながる理由について、本文中の四角で囲まれた部分(第4段落)の言葉を使って、40字以内で記述する。
設問文には「本を読み終えたときに、( )から。」と枠の前後に固定文字列が指定されているため、文頭・文末の接続を厳密に合わせる必要がある。
手順2(根拠範囲の限定)
四角で囲まれた部分では、読書を終えても疑問や解釈の余地が残ることがあり、その状態が自分自身の想像力や思考力を働かせ、新たな解釈や視点を生み出すきっかけになると説明されている。
手順3(論理整理:因果連鎖の要素抽出)
設問は「未完了感」が「精神的自由」につながる途中の理由を問うている。
- 未完了感の状態:「疑問や解釈の余地などが残る」こと。
- 精神的自由(自発的な思考)への連結:その余白を埋めようとして、「自分なりの解釈や新たな視点を創造しようとする」こと。
設問枠の冒頭に「本を読み終えたときに、」とあるため、答案内で「読書後に」などの言葉を重複させる必要はない。
手順4(設問形式に応じた処理:答案構成と字数確認)
- 抽出パーツの結合:「疑問や解釈の余地などが残ることで、自分なりの解釈や新たな視点を創造しようとする」
- 字数カウント:「疑・問・や・解・釈・の・余・地・な・ど・が・残・る・こ・と・で・、・自・分・な・り・の・解・釈・や・新・た・な・視・点・を・創・造・し・よ・う・と・す・る」= 39字(40字以内を満たす)。
- 接続の確認:「本を読み終えたときに、[ 疑問や解釈の余地などが残ることで、自分なりの解釈や新たな視点を創造しようとする ]から。」となり、構文的・論理的に自然につながる。
結論
答案:疑問や解釈の余地などが残ることで、自分なりの解釈や新たな視点を創造しようとする(39字)
問五(内容説明・記号選択)
手順1(設問要求の確定)
傍線③「読書を通じた内的省察」について、それがどのようなことかを説明した選択肢から、最も適当なものを1つ選ぶ。
手順2(根拠範囲の限定)
傍線③を含む第5段落から第6段落(本文後半)を確認する。
手順3(論理整理:内的省察の定義とプロセスの確認)
本文では「内的省察」について次のように説明されている。
- 「物語や著者の思想に触れることで、私たちは自身の価値観や人生観を客観的に捉え直す機会を得られます。」
- 「読書を通じて得られる著者や登場人物の価値観や生き方に触れると、自分自身が持つ既存の価値観や人生観との間にギャップや疑問が生じます。『あれ? この考え方は自分とは違う』……この感覚がまさに内的省察の出発点となります。」
- 「自らの内面を見つめ直す能力(メタ認知)が鍛えられるのです。」
つまり、内的省察とは「他者(著者や登場人物)の価値観と自分自身の価値観を比較し、自分の内面・価値観を客観的に見つめ直すこと」である。
なお、本文中には「内側前頭野やDMNが強く活性化します」という脳科学的な記述もあるが、これは内的省察を行った結果として生じる神経生理学的反応であり、内的省察という思考行為そのものの定義ではない。
手順4(設問形式に応じた処理:選択肢の照合)
- ア(不適切):「特定の脳領域の活動を活性化させる方法を理解すること。」とあるが、本文で脳領域の活性化は内的省察に伴う結果として触れられているにすぎず、活性化の方法を学ぶことが内的省察の目的・定義ではない(因果と目的のすり替え)。
- イ(不適切):「物語の登場人物や著者と同じ生き方を選択すること。」とあるが、本文では他者と自分との「ギャップや疑問」「違い」を手掛かりにすることが重要と述べられており、他者と同じ生き方を選ぶことではない。
- ウ(適切):「物語の登場人物や著者と自分自身の価値観を比較することで、自身の価値観を客観的に捉え直すこと。」は、本文の「ギャップや疑問が生じ……自らの内面を見つめ直す」という説明と完全に一致する。
- エ(不適切):「外部からの刺激を活用して自己決定を行う能力を強化すること。」とあるが、本文では外部の刺激に流されることを問題視し、自らの内面世界を見つめ直すことが説かれている。
結論
正答は ウ である。
問六(文章構成・記号選択)
手順1(設問要求の確定)
本文の構成や展開を説明したものとして、最も適当な選択肢を1つ選ぶ。
手順2(根拠範囲の限定)
文章全体(序論・本論・結論)の骨格と、各意味段落の役割を確認する。
手順3(論理整理:段落相互の論理的役割)
- 序論(第1段落):現代人が外部の刺激によって精神的自由を失っているのではないか、と問題提起を行う。
- 本論(第2〜5段落):冒頭(第2段落)で「読書は精神的自由を育み守る有力な手段となる」と主張を提示した上で、その根拠として「未完了感(第3・4段落)」と「内的省察(第5段落)」の働きを具体的に説明する。
- 結論(第6段落):情報過多の環境において、読書を通じた内的省察が精神的自由の回復・維持に重要であると、中心的主張を再度述べて文章を結ぶ。
したがって、全体の構造は「序論で問題提起 $\rightarrow$ 本論で主張を述べてから根拠を具体的に説明 $\rightarrow$ 結論で再度主張を述べる」という展開である。
手順4(設問形式に応じた処理:選択肢の照合)
- ア(不適切):「本論で複数の具体例を引用してから主張を述べ、結論で主張の根拠を説明している。」とあるが、本論では具体例の前にまず主張が提示されており、結論で根拠を説明しているわけでもない。
- イ(適切):「序論で問題提起を行い、本論で主張を述べてからその根拠を具体的に説明し、結論で再度主張を述べている。」は、本文の論理展開と完全に一致する。
- ウ(不適切):「序論で具体的な事例を提示し、本論で問題提起を行い、結論で主張を述べてから新たな課題を提示している。」とあるが、問題提起は本論ではなく序論で行われており、結論で新たな課題を提示してもいない。
- エ(不適切):「結論で問題提起を行っている。」とあるが、結論は問題提起ではなく主張の再確認である。
結論
正答は イ である。
授業ではここまで扱う:論説文における「定義・因果関係・構文条件」の照合手順
論説文の入試問題において失点が生じる要因は、単に読解力の不足だけではなく、「設問枠の前後に印字された固定構文を見落とす」「選択肢に含まれる本文のキーワードに惑わされて因果・目的のすり替えを見抜けない」といった照合精度の甘さにあることが多い。
実際の授業では、以下の3段階の手順を用いて客観的な根拠付けを行う。
【第1段階:設問の制約条件と構文枠の固定】
空欄補充や記述問題では、枠の前後に印刷された文字列(「本を読み終えたときに、( )から。」等)を確認し、
重複させてはならない語句や、文末に求められる接続の形(「〜すること」「〜しようとするから」等)を固定する。
↓
【第2段階:抽象概念の定義と因果関係の分離】
問われている概念(「内的省察」等)について、
① 行為そのものの定義・内容(他者の価値観との比較)と、
② その行為に伴う付随現象・結果(脳領域の活性化)を明確に分離する。
↓
【第3段階:選択肢の論理関係(主語・目的・因果)の厳密照合】
本文の単語がそのまま使われている選択肢であっても、
「目的と結果が逆転していないか」「筆者が問題視している対象を肯定的に扱っていないか」を検証する。
今回の2026年宮崎県公立高校入試・大問2における各設問をこの手順に当てはめると、下表のように整理できる。
| 設問 | 確定させた制約・構文条件 | 本文から抽出した客観的根拠 | 導き出される処理・排除した誤答 |
| 問二 | 指示語「この自由」の具体的内容 | 直前「本当に興味のあるものと向き合う精神的自由」 $\leftrightarrow$ 他者の評価・損失回避に支配された状態 | 損失回避(ア)や他者評価(イ)を「自由」とすり替えた誤答を排し、ウを確定 |
| 問三A | 主張と理由の接続 | 前「読書は有力な手段となる」 $\rightarrow$ 後「探究させてくれるからです」 | 理由を導く ア「なぜなら」 を確定 |
| 問三B | 操作と結果の接続 | 前「課題を中断させた」 $\rightarrow$ 後「案の定、より鮮明に記憶していた」 | 経過を受けて結果を導く エ「すると」 を確定 |
| 問四 | 「本を読み終えたときに、( )から。」/指定範囲の言葉を使用/40字以内 | 「疑問や解釈の余地などが残る」+「自分なりの解釈や新たな視点を創造しようとする」 | 冒頭の言葉の重複を避け、文末を「から。」に合わせた39字の答案を構成 |
| 問五 | 傍線③「内的省察」の具体的内容 | 他者と自分の価値観のギャップ $\rightarrow$ 自らの内面・価値観を見つめ直す | 生理学的結果(ア)や生き方の同一化(イ)を排し、ウを確定 |
| 問六 | 本文全体の構成と展開 | 序論(問題提起) $\rightarrow$ 本論(主張+未完了感・内的省察の説明) $\rightarrow$ 結論(主張再確認) | 各パートの役割と一致する イ を確定 |
重要なのは、本文のキーワードを機械的に追うことではなく、文脈における肯定・否定の評価や、構文の条件を別の初見問題でも再現できるようにすることである。
宮崎県公立高校入試 国語(論説文)の対策と復習手順
論説文の過去問演習において、「解説を読んで文章の主張が理解できた」という状態と、「本番で記述の減点を防ぎ、紛らわしい選択肢を確実に切る」という状態の間には明確な技術的な差が存在する。
今後の演習や復習では、以下の手順を意識して取り組むことが有効である。
1. 記述問題の「前後の印字部分」を答案構成の起点にする
問四のように、解答欄の枠外にあらかじめ言葉が印字されている形式では、その言葉と自分の書く答案が合わさって1つの文を形成する。枠の前の言葉(「本を読み終えたときに、」)と意味が重なる言葉を答案の冒頭に入れて字数を無駄に消費していないか、また枠の後ろの言葉(「から。」)に文法的に直結する文末表現になっているかを必ず確認する習慣をつけること。
2. 選択肢の「キーワード一致」に飛びつかず「因果・目的」を検証する
問二の選択肢ア(損失回避)や問五の選択肢ア(脳領域の活性化)のように、本文に登場する専門用語や印象的な言葉をそのまま使った誤答肢が作られることがある。単語が一致していることだけで安心せず、「筆者はその現象を問題点として挙げているのか、目指すべき姿として挙げているのか」「思考の内容そのものなのか、それに伴う結果なのか」という論理関係を丁寧に照合すること。
3. 段落ごとの役割を「主張・根拠・具体例」の3つで整理する
問六のような文章構成問題に強くなるためには、普段の読解時から「この段落で新しい主張が述べられたのか」「前の主張を補強する具体例なのか」「全体のまとめなのか」を意識して読むことが欠かせない。本文全体を「問題提起 $\rightarrow$ 主張 $\rightarrow$ 根拠 $\rightarrow$ 再確認」といった大まかな骨組みで捉えられるようになれば、長文であっても迷わずに論理を追うことができる。
今回の大問2では、漢字・語彙の確実な処理、指示語が指す本来の文脈把握、接続語の呼応関係、構文条件を満たした記述作成、および文章全体の骨格把握という、現代文読解に不可欠な基本処理が一貫して問われていた。設問の要求を正しく捉え、本文の根拠と1対1で対応付ける手順を定着させることが、安定した得点への近道となる。

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