【東京科学大学】英語長文は「高度な専門知識の読解」ではない。「構文と論理展開の処理問題」である。

旧・東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して誕生した東京科学大学 。その長文読解において合否を分けるのは、科学的な背景知識や英語のセンスではない。

難解な専門用語や長大な英文に圧倒され、感覚的な意訳や単語の拾い読みで文脈を推測しようとする受験生が多いが、それは致命的な失点パターンに直結する。問われているのは、文法規則に忠実に「正確な構文把握」と「論理展開」を追う力である 。フィーリングを排し、構造から解答を導き出す絶対的な手順を提示する。

※本記事では2026年度前期(理、工、情報理工、生命理工、環境・社会理工)の問題を解説する。


2026年度 東京科学大学(英語大問1)構造解剖データ

以下は、2026年前期入試における大問1の要求スキルを統合・構造化したものである。

設問問われる「型」と文法的判断決定的な根拠・ルール
I-1 (説明)「見かけ」と「実態」の対比の回収apparentlyとButの対比構造から実態を拾う
I-2 (和訳)完了分詞構文と名詞節(if)の識別動詞の目的語となる if は「〜かどうか」の塊を作る
I-3 (英訳)what節の構築による主語の形成whatの後ろを不完全な文にして名詞節を作る
I-4 (和訳)同格のthatと前置詞の目的語(what)be動詞の後ろで完全文を導く接続詞のthat
I-5 (補充)論理展開と同形反復の回収直前の文との論理的つながりや引用符内の語句の反復
I-6,7 (一致)本文と選択肢のパラフレーズ(言い換え)発見抽象化された単語が本文中でどう同義表現されているか探す

攻略の「型」:意味を繋ぐ前に、構文のカタマリと論理マーカーを確定せよ

東京科学大の英文を正確に読み解くには、以下の「構造解体手順」を徹底する必要がある。

事例1:分詞構文の時制と名詞節の処理(I-2)

Having deliberately misled his experimenters in this way, Rosenthal sat back and waited to see if it would make any difference.

  1. 分詞構文の時制確定:文頭の Having Vp.p. は完了形の分詞構文である 。これは「主節の動詞(sat back)よりも前の出来事」であることを文法的に示している 。「誤解を与えたうえで」と時間軸を正確に反映させる 。
  2. if節の品詞特定to see の目的語として if 節が続いている 。動詞の目的語になる if は副詞節(もし〜なら)ではなく、名詞節(〜かどうか)を作る 。
  3. パーツの結合:これらの構造ルールを組み合わせ、「誤解を与え、〜違いが生じるか(どうか)を見守った」という訳を確定させる 。

事例2:同格と前置詞の目的語の処理(I-4)

the reality is that any scientist... must contend with its biases about what is and isn't a worthwhile research programme.

  1. thatの識別is の後ろの that 以下は完全な文であるため、補語となる名詞節を作る接続詞(「〜ということだ」)であると判断する 。
  2. 前置詞の後ろの処理biases about の後ろに what 節が続いている 。what が主語として働き、「何が価値のある研究プログラムであり、何がそうでないか」という名詞の塊を作り、前置詞の目的語として機能させる 。

事例3:空所補充における論理展開の処理(I-5 [ B ])

  1. 論理マーカーの確認:空所補充は、前後の「論理的つながり」で機械的にパズルを埋める作業である 。
  2. 文脈の接続:空所の直前で「証拠(evidence)が欠けていた」と述べられ、直後に「化石の発見が発表された」と続く文脈である 。「欠けていたものが、奇跡的に現れた」という論理展開に合致する Then, almost miraculously, it arrived. を確定させる 。

【決定ルール】

長文読解・和訳において「意味」を推測する前に、まず接続詞・分詞・関係詞が作る「カタマリの範囲と品詞(名詞・形容詞・副詞)」を確定せよ。また、論理の展開は apparently / But などの対比マーカーから機械的に拾い上げろ。形が決まれば、訳語と解答の方向性は自動的に定まる。


結論:才能ではなく、作業である

東京科学大の長文は、一見すると圧倒的な語彙力や深い教養を求めているように見える。しかし、その実態は「文構造のルール」から逸脱する文章が一つもない、極めて理論的なテストである

この領域において、文脈を読むセンスという言葉は無用だ。必要なのは、ルールに基づいた正確な作業である。

今日からすべき3つのアクション

  1. カタマリを視覚化する:長文を読む際、分詞構文や関係詞、接続詞の作る「カタマリ」を必ずカッコで括り、どの語を修飾しているか矢印を引く作業を徹底する。
  2. 多義語の品詞判定の徹底ifthat などの多義的な語に出会ったら、文脈ではなく「置かれている位置(主語、目的語、補語)」から品詞を特定する癖をつける。
  3. 論理マーカーの発見apparentlyBut のような「見かけと実態の対比」や、順接・逆接を示す接続詞を決定的なサインとして見逃さない訓練を積む。
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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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