滋賀県公立高校入試の英語攻略は、単語を左から右へと順番に日本語へ置き換える「和訳依存(フィーリング読み)」ではない。もちろん、基礎知識(たとえば preserve や environment といった語彙、あるいは It takes + 時間 + to V などの基本構文)は不可欠だが、用語や公式を覚えるだけでは不十分であり、前後の因果関係や対立構造から「状況の変化」を客観的に処理する手順(型)が必要である。
実際の入試データを見てみよう。2025年度大問2では、海水温の上昇と魚の生息地変化について、次のように述べられている。
“As the sea water gets warmer, habitats of fish are changing. For example, salmon are moving to ( colder ) places such as Alaska.”
ここで重要なのは、アラスカという地名だけから「寒い場所」と推測することではない。まず、As the sea water gets warmer が、海水温の上昇に伴って魚の生息地が変化しているという「比例的変化」を示している。続く For example は、その一般的な変化を、サケの移動という具体例で説明する働きを持つ。
したがって、「サケは従来よりも寒い場所へ移動している」という比較関係から、空所には colder が入る。必要なのは、単語の印象ではなく、比例的変化→具体例→比較級という構造を順に処理することである。フィーリングや自己流で読み進めると、こうした事実関係の推移を見誤り失点する。データに基づき淡々と、得点を安定させる処理手順を解剖していく。
分析データ:滋賀県公立入試 重要語彙・構文統合リスト
2024年および2025年の滋賀県公立入試の大問2および大問3(長文・対話文・スピーチ)において、文意把握および解答の根拠となった重要語彙・構文を抽出・統合した。学習の焦点を明確にするため、3つの層に分けて提示する。
表1:前後関係を決める論理マーカー
| 英単語/熟語 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(機能・文脈) |
| according to ~ | 前置詞句 | 〜によると | 情報源やデータに基づく根拠の提示 |
| because | 接続詞 | なぜなら〜だから | 理由・原因と帰結の提示 |
| because of ~ | 前置詞句 | 〜のために | 理由・原因と帰結の提示 |
| Thanks to ~ | 前置詞句 | 〜のおかげで | 肯定的な原因とその恩恵による帰結 |
| so | 接続詞 | だから、それで | 結果の導出 |
| As a result | 副詞句 | 結果として | 一連の過程からの結果の導出 |
| However | 副詞 | しかしながら | 予想に反する展開や逆接の提示 |
| For example | 副詞句 | 例えば | 一般論の具体化と解像度の引き上げ |
| as S V | 接続詞 | SがVするにつれて | 二つの事象の同時進行・比例的変化 |
表2:論理関係・会話機能を固定する構文
| 英単語/熟語/構文 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(機能・文脈) |
| not only A but also B | 構文 | AだけでなくBも | 情報追加・並列を示す論理構文 |
| If S 過去形 ~, S would/could V | 構文 | もし〜なら、…するだろうに | 現在の事実に反する仮定と帰結 |
| Why don’t we V? | 構文 | 〜しませんか | 提案を示す会話構文 |
表3:本文理解に必要な語彙・熟語
| 英単語/熟語/構文 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(出典・文脈) |
| preserve / protect | 動詞 | 保存する / 保護する | 環境や文化遺産の保全テーマ |
| sustainable | 形容詞 | 持続可能な | 環境問題や社会課題のテーマ |
| habitat | 名詞 | 生息地 | 動植物の環境・影響範囲 |
| decrease | 動詞 | 減少する | データや事象の下落・減少 |
| cause | 動詞/名詞 | 〜を引き起こす / 原因 | 事象の発生要因・因果関係 |
| take care of ~ | 熟語 | 〜の手入れをする、世話をする | 環境や動植物への配慮 |
| remind A of B | 熟語 | AにBを思い出させる | 記憶の喚起や連想 |
滋賀県公立高校入試 英語 長文・スピーチ(大問2・3)の構造分析
【長文・スピーチ】論理マーカーから「事象の推移」を確定させる手順
2024・2025年度の大問2・3では、環境問題、地域の歴史、技術の進歩など、原因・変化・結果を整理する必要があるテーマが扱われている。これらを読み解くには、英文を単に日本語へ変換するのではなく、マーカーを起点として前後の関係を整理し、事実関係を抽出する手順が必要である。
【決定ルール:逆接・帰結マーカーによる事象推移の抽出】
2024年の大問3(ヨシと琵琶湖に関するスピーチ)では、ヨシの利用についての歴史的推移が語られる段落がある。
“In the past, people used reeds in many ways in their daily lives. (…) However, plastic products became common, and also cheaper products began to be imported. As a result, the use of reeds from Lake Biwa decreased.”
ここで However(しかしながら)と As a result(結果として)をただの飾りとして読み飛ばしてはいけない。
- 過去の状態: 昔はヨシが日常生活で多様に使われていた。
- 展開の転換(However): プラスチック製品が普及し、安い製品が輸入された(以前の状態とは異なる展開への転換)。
- 結果の確定(As a result): 前述の要因から、琵琶湖のヨシの使用量が減少した。
長文を読む際は、こうしたマーカーを必ず視覚化し、「何が原因で、どう状況が転換し、最終的にどうなったか」を客観的な事実として抽出・記録する組み立て作業が必須である。これにより、内容一致問題において、本文の一部だけには合うが因果関係や時系列とは一致しない選択肢を論理的に排除できる。
結論:正答への道筋は「正しい手順」の徹底にあり
滋賀県公立高校入試の英語において、語彙と文法の知識に加え、原因・逆接・具体化・結果を整理する手順を身につけることが、得点の安定に直結する。
自己流の学習(用語の丸暗記や、逐語訳だけに依存した漫然とした過去問演習)だけでは、本文と設問の対応関係や、自身に不足している情報処理の手順になかなか気づきにくい。今日から以下の手順を過去問演習に組み込むこと。
- 論理マーカーの可視化と分類: 長文を読む際は because, however, for example, as a result, as などのマーカーに必ず印をつけ、「原因」「逆接」「具体化」「結果」「比例的変化」の役割を整理する。
- 具体例と抽象論の照合: For example が出てきたら、その具体例が「直前のどの一般的な事象」を説明しているのかを必ず矢印で結びつけて確認する。
- 失点原因の客観的記録: 間違えた問題に対し「単語を知らなかった」で終わらせず、「どの論理マーカーの機能を見落としたか」「どの因果関係を逆に取り違えたか」を冷静に記録し、弱点の構造を把握する。

コメント