三重県公立高校入試の英語攻略は、単語を左から右へと順番に日本語へ置き換える「和訳依存(フィーリング読み)」ではない。もちろん、基礎知識(たとえば environment や reduce といった語彙、あるいは It takes + 時間 + to V などの基本構文)は不可欠だが、用語や公式を覚えるだけでは不十分であり、前後の因果関係や対立構造、登場人物の意図を客観的に処理する手順(型)が必要である。
実際の入試データを見てみよう。2025年度大問2では、HelenがKaoriの叔母への贈り物について、Why don’t we get a present for your aunt before the show? と提案する。これを単なる疑問文として処理してはいけない。これは「ショーの前に叔母さんへのプレゼントを用意しない?」というHelenからの提案である。Kaoriは That’s a good idea. と提案に賛同したうえで、How about buying flowers on that day? と、贈り物の内容を花へ具体化している。さらにHelenが OK. と応じたことで、二人が花を用意することが確定する。
ここで必要なのは、英文を一文ずつ日本語へ置き換えることではない。「Helenがプレゼントを提案する→Kaoriが賛同し、花を具体案として提示する→Helenが合意する」という会話の機能と事実関係を客観的に追うことである。フィーリングや自己流で読み進めると、こうした事実関係の推移を見誤り失点する可能性が高まる。データに基づき淡々と、得点を安定させる処理手順を解剖していく。
分析データ:三重県公立入試 重要語彙・構文統合リスト
2024年および2025年の三重県公立入試の大問2および大問4(長文・対話文)において、文意把握および解答の根拠となった重要語彙・構文を抽出・統合した。学習の焦点を明確にするため、3つの層に分けて提示する。
表1:前後関係を決める論理マーカー
| 英単語/熟語 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(機能・文脈) |
| because | 接続詞 | なぜなら〜だから | 理由・原因と帰結の提示 |
| so | 接続詞 | だから、それで | 結果の導出 |
| however | 副詞 | しかしながら | 予想に反する展開や逆接の提示 |
| before S V | 接続詞 | SがVする前に | 出来事の時間的な前後関係を示す |
表2:提案・応答を示す会話構文
| 英単語/熟語/構文 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(機能・文脈) |
| Why don’t we V? | 構文 | 〜しませんか | 相手への提案や勧誘 |
| How about -ing? | 構文 | 〜するのはどうですか | 問題解決のための提案や内容の具体化 |
表3:本文理解・解答変換に必要な語彙と論理構文
| 英単語/熟語/構文 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(出典・文脈) |
| how to V | 構文 | 〜のやり方 | 方法や手段の指示 |
| don’t need to V | 構文 | 〜する必要がない | 義務の不在 |
| look forward to ~ | 熟語 | 〜を楽しみに待つ | 未来への期待や感情の方向性 |
| I’ve never been to ~ | 構文 | 今までに〜へ行ったことがない | 経験の不在 |
| How long have you been -ing? | 構文 | どのくらい〜し続けていますか | 期間の継続を尋ねる現在完了進行形 |
| It takes + 時間 + to V | 構文 | 〜するのに(時間が)かかる | 行為に要する時間の提示 |
| decide to V | 熟語 | 〜することに決める | 最終的な意志決定 |
| It is difficult for A to V | 構文 | Aにとって〜するのは難しい | 状況に対する客観的な評価 |
| enjoy -ing | 熟語 | 〜して楽しむ | 行為の感想・状態の描写 |
| stop -ing | 熟語 | 〜するのをやめる | 行動の停止や習慣の変化 |
| make O C | 構文 | OをC(形容詞)にする | 因果関係・感情の変化 |
| a quarter of ~ / more than ~ | 熟語 | 〜の4分の1 / 〜以上 | 数量や割合の強調(グラフ読み取り等) |
| be glad that ~ / be surprised that ~ | 構文 | 〜してうれしい / 〜ということに驚く | 事象に対する感情の反応・原因 |
| be interested in ~ | 熟語 | 〜に興味がある | 関心や好奇心の対象 |
| try -ing | 熟語 | 試しに〜してみる | 新しいことへの挑戦 |
| reduce / environment / garbage | 動詞/名詞 | 減らす / 環境 / ゴミ | 環境保護等のテーマにおける課題解決アクション |
三重県公立高校 英語 長文読解・対話文の構造分析
【長文・対話文】提案構文を起点とする事実関係の抽出手順
2024・2025年度の大問2・4では、登場人物の提案、相手の応答、その後の行動を追うことが、内容理解の重要なポイントになっている。これは単に英文を日本語にする作業ではなく、各表現の機能(because=原因、so=結果、however=予想に反する展開、before=時間順序、Why don't we / How about=提案、decide to=最終的な意思決定)を整理し、事実関係を抽出する手順が必要である。
【決定ルール:提案・具体化の処理と事実抽出】
対話文の中で Why don’t we ~? や How about ~? が登場した場合、それは単なる会話のつなぎではなく「課題に対する解決策の提示や具体化」である。2024年の大問4でも、文化祭の出し物を決める場面で “How about selling items made from old clothes we don’t need?”(いらない古着で作った品物を売るのはどう?)という提案が行われ、そこから企画の具体化、周囲の賛同、そして環境問題への認識へと物語が大きく展開していく。
長文や対話文を読む際は、こうした会話構文や論理マーカーを必ず視覚化し、以下のステップで事実関係を整理する手順を厳守すること。
- 提案の特定: 誰がどのような解決策や具体案を提示したか。
- 応答の確認: その提案に対し、相手が賛同したか、難点を示したか。
- 結果の記録: 最終的にどのアクションへと行き着いたか(
decide to等による確定)。
これにより、設問の選択肢で問われる「登場人物の行動の理由」や「出来事の順序」を客観的かつ正確に照合することが可能となる。
結論:正答への道筋は「正しい手順」の徹底にあり
三重県公立高校入試の英語において、得点の安定に直結するのは、一部の英語のセンスやフィーリングの鋭さではない。語彙と文法の基礎知識をベースに、原因・結果・逆接・提案といった前後関係を整理し、設問条件に合う情報へと客観的に変換する力である。
自己流の学習(用語の丸暗記や、逐語訳だけに依存した過去問演習)だけでは、本文と設問の対応関係や、自身に不足している情報処理の手順になかなか気づきにくい。今日から以下の手順を過去問演習に組み込むこと。
- 論理関係の分類と視覚化: 長文を読む際は because, however, before などのマーカーに必ず印をつけ、「原因」「逆接」「時間順序」の役割を整理する。
- 提案構文からの事実抽出: Why don’t we ~? や How about ~? を見つけたら、「誰が何を提案し」「最終的にどう行動したか」を横にメモする。
- 失点原因の客観的記録: 間違えた問題に対し「単語を知らなかった」で終わらせず、「どの論理マーカーを見落としたか」「どの構文パーツ(It is ~ for A to V など)の意味を取り違えたか」を冷静に記録し、弱点の構造を把握する。

コメント