「助けを求めること」をめぐる葛藤と登場人物の意図を客観的に捉える
小説・物語文の読解において、登場人物の表面的な言動や断片的な感情語だけに注目してしまうと、その行動の背後にある動機や、出来事を通じて主人公の内面に生じた本質的な変化を見落としやすい。高校入試の国語において求められるのは、登場人物の行動の「外面」と「内面」を区別し、出来事(契機)がどのような心理的葛藤を経て、それまでの認識を揺さぶっていくのかを、本文の論理的な因果関係から正確に捉える力である。
2025年度の兵庫県公立高校入試・国語の大問4で出題された八束澄子の『森と、母と、わたしの一週間』は、中学二年生の野々歩が「森のようちえん」でのボランティア活動に参加し、園児や先生との関わりを通じて自己の内面を見つめ直す場面を描いている。重い炊飯器を一人で運ぼうとして限界を迎える園児・あやめちゃんに対し、すぐに助けようとする野々歩と、あえてそれを制止する先生のゆりっぺ。一見すると冷たく見える対応の裏にある、あやめちゃんの成長を考えた意図や、助けを求めることを「負け」と捉えていた野々歩の先入観が、園児たちの行動によって揺さぶられていく過程が緻密に描かれている。
本問の全8問を過不足なく処理するためには、比喩表現や慣用句・語彙の正確な識別はもちろんのこと、設問文と本文記述の対応関係に基づいた抜き出し、さらには外面的言動と内面的意図の二層構造を見抜く客観的な手順が不可欠である。本稿では、各設問の解法手順に基づき、2025年度兵庫県大問4の全問について、その思考プロセスを分解・明示する。
『森と、母と、わたしの一週間』(八束澄子)の要約と論理構造
本文は、園児の直面した困難を契機として、先生の意図の理解、そして主人公の価値観が揺さぶられていく過程へと展開する構造を持つ。
- 論理の全体構造
- 第1局面(発端:あやめちゃんの苦境と野々歩の制止)雨天の中、園児のあやめちゃんが重い炊飯器を一人で抱えて運ぼうとする。引っ込み思案な野々歩は助けに戻ろうとするが、先生であるゆりっぺにカッパをつかまれ制止される。野々歩はゆりっぺの冷淡に見える対応にいらだちを覚える。
- 第2局面(葛藤:ゆりっぺの意図と野々歩の先入観)ゆりっぺは、あやめちゃんが限界まで無理をしてしまう性格であることを明かし、自ら「助けて」と言えるようになるまで待っているのだと語る。さらに自身もかつて助けを求められなかった経験を共有する。野々歩は「助けを求めることは負けではないのか」という従来の価値観との間で混乱する。
- 第3局面(転換:あやめちゃんの叫びと輝くんの介入)あやめちゃんがついに「重いよお、だれか持ってー」と大声で泣き叫び、助けを求める。手出しをこらえて見守っていた野々歩とゆりっぺは顔を見合わせてその一歩を喜ぶ。直後、前を歩いていた園児の輝くんが泥水をはね飛ばしながら駆け戻り、あやめちゃんから炊飯器を引き受ける。
- 第4局面(結末:認識の揺らぎと胸の詰まり)自分から助けを求めたあやめちゃんに、実際に輝くんが応じる姿を目の当たりにし、野々歩はゆりっぺの「助けてくれる人がいる」という言葉を現実の出来事として受け止め、喉を詰まらせて深い感慨を抱く。
登場人物における外面的言動と内面的動機の二層構造
| 登場人物 | 外面的言動(表面的な描写) | 内面的動機・心情(深層の意図) |
| ゆりっぺ(先生) | 「放っといて」と制止し、肩を怒らせて先を歩く。 | 苦しいときに自ら「助けて」と言えるようになることを願い、あえてすぐには手を出さず見守っている。 |
| あやめちゃん(園児) | 苦しげな声を漏らしながらも、一人で重い炊飯器を抱え続ける。 | 普段から周囲に助けを求められず、限界まで頑張りすぎてしまうが、ついに声を上げて助けを求める。 |
| 野々歩(主人公) | 「知らん顔ってひどくない?」と反発し、後に喉を詰まらせる。 | 当初は助けを求める行為を「負け」とみなしていたが、声を上げたあやめちゃんと助けに入った輝くんの姿に触れ、それまでの考えを大きく揺さぶられる。 |
全問解答一覧
| 問 | 正答 | 選択肢・答案内容 | 形式・条件 |
| 問一 ① | はいご | 「背後」の読み | 漢字の読み(平仮名) |
| 問一 ② | すいはんき | 「炊飯器」の読み | 漢字の読み(平仮名) |
| 問一 ⑧ | か | 「駆けもどって」の「駆」の読み | 漢字の読み(指定された1字のみ) |
| 問二 | ア | 直喩(明喩) | 表現技法(最も適切なものを1つ) |
| 問三 ③ | エ | 「後戻りし」 | 語句の意味(最も適切なものを1つ) |
| 問三 ⑨ | イ | 「けなげだった」 | 語句の意味(最も適切なものを1つ) |
| 問四 | イ | 重い荷物を持って困っているあやめちゃんを助けようとしたのに、それをゆりっぺに止められたことにいらだちを感じている。 | 心情説明(最も適切なものを1つ) |
| 問五 | ア | いつも無理をしすぎてしまうあやめちゃんが、幼稚園での生活をとおして周りの人を頼ることを学んでくれるように心の底では応援しつつも、あえて突き放した態度を取っている。 | 人物説明(最も適切なものを1つ) |
| 問六 | ウ | あやめちゃんが泣きながら他の人に助けを求めることができた喜びを、それまで何の手出しもせずに我慢し続けてきた二人で分かち合おうとしている。 | 心情説明(最も適切なものを1つ) |
| 問七 a | 負け | 人に助けを求めることへの野々歩の以前の認識 | 本文から2字抜き出し |
| 問七 b | 助けてくれる | 苦しさを吐露したときに存在する他者の支え | 本文から6字抜き出し |
| 問八 | エ | 輝くんは、他の園児が困っていることに気づくと、ぬかるみのなかを舞い戻り、その子をすぐに苦境から救い出す頼もしい人物として描かれている。 | 人物説明(最も適切なものを1つ) |
【大問4】各設問の解答解説と思考手順
問一 漢字の読み(①・②・⑧)
- 手順1(設問要求):傍線部①・②・⑧の漢字の読み方を平仮名で記述する。
- 手順2(各問の処理):
- ①「背後」:音読みで「はいご」。「後ろ、背中側」の意。
- ②「炊飯器」:「炊(すい)」「飯(はん)」「器(き)」の組み合わせで「すいはんき」。
- ⑧「駆けもどって」:問題文の指定は「駆(けもどって)」であり、傍線が引かれた漢字1字のみの読みが問われている。送り仮名を含めず「か」と書く。
- 結論:① はいご ② すいはんき ⑧ か
問二 「風船が破裂したような泣き声」の表現技法
- 手順1(設問要求):傍線部⑥「風船が破裂したような泣き声」で使われている表現技法として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲):傍線部⑥「風船が破裂したような泣き声が林にひびきわたった。」
- 手順3(論理整理):
- ここでは「あやめちゃんの大声の泣き声」を「風船が破裂した音」にたとえている。
- 文中に「〜のような」という比喩であることを明示する語が用いられている。
- 「ようだ」「ような」「まるで〜のように」などの比喩標識を直接用いる技法を直喩(明喩)と呼ぶ。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア(適切):直喩(明喩)の説明に合致する。
- イ(不適切):隠喩(暗喩)は「〜のようだ」などの比喩標識を用いずに直接重ねる表現(例:あやめちゃんの泣き声は破裂音だ)であるため不適。
- ウ(不適切):倒置法(語順の逆転)は見られない。
- エ(不適切):体言止め(文末を名詞で終える)ではなく、述語「ひびきわたった」で結ばれている。
- 結論:ア
問三 語句の意味(③・⑨)
- 手順1(設問要求):傍線部③・⑨の本文中における意味として最も適切なものをア〜エからそれぞれ一つ選択する。
- 手順2(各問の処理):
- ③「きびすをかえしかけた」
- 「きびす(踵)」を返すとは、「進行方向から向きを逆にして引き返す、後戻りする」ことを意味する慣用句である。
- 直前であやめちゃんの苦しげな声を聞いた野々歩が、助けるために前進をやめて後ろへ戻ろうとした動作を指す。
- 選択肢照合:ア「手を貸し」、イ「振り返り(視線のみ)」、ウ「声をかけ」はいずれも不十分であり、移動動作を捉えたエ「後戻りし」が適切である。
- ⑨「いじらしかった」
- 「いじらしい」は、弱い立場の者や幼い者が懸命に耐えたり健気に振る舞ったりする姿に対し、いたわしく、心を打たれるさまを表す。
- 限界まで重い炊飯器を抱え、ようやく他者を頼ることができたあやめちゃんが安堵のため息をつき、肩を落とした健気な様子を表現している。
- 選択肢照合:ア「晴れやかだった」、ウ「穏やかだった」、エ「悔しげだった」は文脈に合わず、イ「けなげだった」が適合する。
- ③「きびすをかえしかけた」
- 結論:③ エ ⑨ イ
問四 「この状況で知らん顔ってひどくない?」の野々歩の心情
- 手順1(設問要求):傍線部④「この状況で知らん顔ってひどくない?」に表れている野々歩の心情として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲):第2段落。重い炊飯器を抱えるあやめちゃんを見て助けに戻ろうとした野々歩のカッパを、ゆりっぺがつかんで「放っといて」と制止した直後の場面。
- 手順3(論理整理):
- 状況:小さな園児が雨の中で足を取られながら重い荷物に苦しんでいる。
- 行動:野々歩は自然な善意から助けようとするが、大人の先生であるゆりっぺに理由も分からず物理的に止められる。
- 反応:野々歩は「え、なんで」と驚き、即座に「知らん顔ってひどくない?」と反論している。
- したがって、困っている子を助けようとした自らの行動を制止された理不尽さに対する「いらだち・反発」が核となる。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア(不適切):ゆりっぺがあやめちゃんの苦しみに「気づいていない」と誤認しているわけではない。
- イ(適切):「困っているあやめちゃんを助けようとしたのに、それをゆりっぺに止められたことにいらだちを感じている」は、出来事と直後の発言の因果に完全に合致する。
- ウ(不適切):他の園児への指示出し云々に対する不信感ではない。
- エ(不適切):「自分もゆりっぺも何もできないことに悔しさを覚えている」のではなく、助けられる状況なのにあえて止められたことへの憤りである。
- 結論:イ
問五 ゆりっぺはどのような人物か
- 手順1(設問要求):傍線部⑤「肩を怒らせて先を行くゆりっぺ」の説明として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲):傍線部⑤の前後の会話および行動描写。
- 手順3(外面と内面の二層構造の分析):
- 外面的言動:助けに行こうとする野々歩を「放っといて」と強く制止し、「肩を怒らせて先を行く」。一見すると苦しむ園児を見捨てる冷たい態度に見える。
- 内面的動機:ゆりっぺは「あやめちゃん小さい弟や妹がいて、家でもここでもキャパオーバーになるまでがんばり過ぎちゃうの」「しんどいときに『助けて』っていえないとこまるから、わたしたち、あやめちゃんが自分から『助けて』っていえるようになるのを、ずっと待ってるの」と明かしている。
- すなわち、あやめちゃんが必要なときに周囲へ助けを求められるようになることを願っているからこそ、安易に手を貸さず、あえて突き放すような態度を取って本人がSOSの声を上げる瞬間を待っている。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア(適切):「無理をしすぎてしまうあやめちゃんが、幼稚園での生活をとおして周りの人を頼ることを学んでくれるように心の底では応援しつつも、あえて突き放した態度を取っている」は、内面(応援・配慮)と外面(突き放す態度)の双方を正確に説明している。
- イ(不適切):あやめちゃんが以前から「人を頼るよう教えられてきた」という事実はない。
- ウ(不適切):周囲の園児に対する不満が動機ではない。
- エ(不適切):ゆりっぺは「取り返しのつかない事態になる前に助けに行こう」としているのではなく、あやめちゃん自らが助けを求めるまで待つ方針を貫いている。
- 結論:ア
問六 「野々歩とゆりっぺが顔を見あわせた」の意味
- 手順1(設問要求):傍線部⑦「野々歩とゆりっぺが顔を見あわせた」の説明として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲):傍線部⑦の直前直後。
- 直前:ゆりっぺが「……もうひと息。『助けて』っていえ」と固唾をのんで見守る中、あやめちゃんがついに「うわぁーん。重いよお、だれか持ってー」と叫ぶ。
- 傍線部直前:「『いえた!』野々歩とゆりっぺが顔を見あわせたと同時だった。」
- 手順3(論理整理):
- 二人が視線を交わした直接の引き金は、あやめちゃんが自分から他者に対して明確に「助けて」と声を上げることができたという事実である。
- ゆりっぺはずっとその瞬間を待っており、事情を知らされた野々歩もまた、介入を我慢してその瞬間を共有していた。したがって、その達成を互いに喜ぶリアクションである。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア(不適切):園児同士が助け合う姿を目にしたからではない(輝くんが来るのはこの後)。
- イ(不適切):自分たちが急いで駆け寄ろうとしているわけではない。
- ウ(適切):「あやめちゃんが泣きながら他の人に助けを求めることができた喜びを、それまで何の手出しもせずに我慢し続けてきた二人で分かち合おうとしている」は、文脈に完全に合致する。
- エ(不適切):「涙ながらに喜んでいる」という描写が本文に存在しない。泣いているのはあやめちゃん本人(「顔は雨と涙と鼻水でぐしょぐしょだ」)であり、野々歩やゆりっぺが涙を流したという描写はない。
- 結論:ウ
問七 「野々歩ののどがつまる——。」の理由(抜き出し)
- 手順1(設問要求):傍線部⑩「野々歩ののどがつまる——。」の理由を説明した文の空欄 a(2字)・b(6字)に入る言葉を本文からそのまま抜き出す。
- 設問文の骨格:「ボランティアに参加するまでは人に助けを求めたら[ a(2字) ]だと後ろ向きに考えていた野々歩が、苦しさを吐露すれば[ b(6字) ]人がいることを実感し、胸がいっぱいになったから。」
- 手順2(設問文と本文記述の対照探索):
- 空欄 a の照合:
- 設問文:「人に助けを求めたら[ a ]だと後ろ向きに考えていた」
- 本文記述:「——え?『助けて』っていうのは負けじゃないの?」
- 設問の「人に助けを求めたら」は本文の「『助けて』っていうのは」の言い換えであり、後ろ向きな認識として結びつく語は「負け」(2字)である。
- 空欄 b の照合:
- 設問文:「苦しさを吐露すれば[ b ]人がいる」
- 本文記述:「いえたら必ず助けてくれる人っているんだよね」
- 設問の「苦しさを吐露すれば」は本文の「いえたら」の換言表現であり、後続する「人がいる」に直接接続する語は「助けてくれる」(6字)である。
- 空欄 a の照合:
- 手順3(字数条件の厳密確認):
- a:負・け(2字)
- b:助・け・て・く・れ・る(6字)
- 結論:a 負け b 助けてくれる
問八 登場人物の説明
- 手順1(設問要求):本文の登場人物の説明として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(各選択肢の精査と消去):
- ア(不適切:野々歩):冒頭でハルくんの後ろに隠れるなど引っ込み思案な面は描かれているが、本場面を通じて「臆病な自分を乗り越え、周囲の人々と関わっていこうとする前向きな人物」になったとまでは書かれていない。本文で描かれたのは「助けを求めること」に対する価値観の揺らぎである。
- イ(不適切:ゆりっぺ):「いつも声をかけることで」が本文と合致しない。あやめちゃんに対しては、安易に声をかけずにあえて自発的な発話を待つ対応を取っている。
- ウ(不適切:あやめちゃん):「希薄な人間関係を見直し、他の園児と良好な関係を築こうとする」という記述は本文にない。問題は関係の希薄さではなく、他者に頼れず一人で抱え込んでしまう性格にある。
- エ(適切:輝くん):あやめちゃんの悲鳴を聞くやいなや「林道をびちゃびちゃっと、泥水をはねとばしながら駆けもどってくる」と描写され、「ごめん、あやめちゃん。持つよ」と即座に荷物を引き受けている。「一生懸命な背中がカッコいい」「輝くんは勇ましく」と語られており、困っている仲間を素早く救い出す頼もしい人物像として完全に合致する。
- 結論:エ
授業ではここまで扱う:小説読解における外面的言動と内面的動機の峻別手順
実際の授業では、単に正答を提示するにとどまらず、人物描写の深層を論理的に解読できるよう、次の3段階の手順を整理・指導する。
| 処理段階 | 具体的な確認動作 | 本問(兵庫県・問四/問五/問六)への適用例 |
| 第1段階:表面的な「事実・言動」の切り出し | 登場人物が物理的に何をしたか、どのような口調で何を言ったかを抜き出す。 | ゆりっぺが野々歩のカッパをつかみ、「放っといて」と肩を怒らせて先を行く。 |
| 第2段階:対話・モノローグからの「動機の抽出」 | その行動をとるに至った背景や、人物自身が語った意図・方針を特定する。 | 「キャパオーバーになるまでがんばるあやめちゃんが、自分で助けてと言えるのを待っている」。 |
| 第3段階:外面と内面の「落差(二層構造)」の統合 | 行動の厳しさ・冷たさと、心情の温かさ・配慮が矛盾しない論理的な結びつきを把握する。 | 成長を願うからこその「あえて突き放す態度」であることを理解し、選択肢アを特定する。 |
小説における人物の心理は、表面的な発言の字面通りに動いているとは限らない。登場人物が置かれた立場(園児を見守る先生という立場など)と、その行動が向けられている対象(園児の抱える課題)を客観的に照合し、言動の真意を論理的に組み立てる姿勢が重要である。
【2025年度兵庫県公立高校入試・大問4から整理する】国語・小説文の対策と復習手順
本問では、心情の直接描写だけでなく、比喩表現や登場人物同士の相互作用を通じた認識の変化が多角的に問われている。対策においては、以下の客観的な処理手順を反復し、実戦的な解法として定着させることが肝要である。
- 1. 設問文のキーワードと本文の言い換え照合問七では、設問文自体が本文の内容を精密に言い換えた要約文になっている。「人に助けを求めたら[ a ]だ」↔「『助けて』っていうのは[負け]じゃないの?」、「苦しさを吐露すれば[ b ]人がいる」↔「いえたら必ず[助けてくれる]人っている」というように、設問文の骨格と本文の文構造を1対1で対応させ、指定字数と合致するパーツを正確に抜き出す練習を徹底する。
- 2. 選択肢の「過剰な情報・事実誤認」の厳密な消去本問では、正解らしく見える選択肢の中にも、本文に書かれていない事実が加えられている(問六の「涙ながらに」や問八の「人間関係が希薄」など)。選択肢を文節ごとに分け、本文にない情報が一つでも加わっていないか確認して消去する手順を徹底する。
- 3. 主人公の「認識変容」のプロセス追跡物語の核心は、主人公が「出来事前」に持っていた固定観念(助けを求める=負け)が、あやめちゃんの叫びと輝くんの行動を経て、どのように揺さぶられていくかという変化の軌跡にある。登場人物の「のどがつまる」などの身体反応を手がかりに、内面が動いた決定的瞬間を逃さずマークする読解を定着させる。
過去問演習の復習においては、「なんとなく物語の流れが分かった」で終わらせず、「なぜその選択肢が誤りなのかを本文の描写から論証できるか」「抜き出し箇所の言い換え関係を構造として捉えられたか」を徹底的に検証することが重要である。

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