AIの生成原理から人間の言語活動と創作の本質を捉える
論説文・説明的文章を読解する際、AI(人工知能)のような現代的・技術的な題材を扱った文章では、技術の性能や目新しさの説明だけに目を奪われてしまうと、筆者がその技術を足がかりにして何を論じようとしているのかという本質的な主題を見失いやすい。高校入試の国語において求められるのは、先端技術の具体例(本問における生成AIとの連歌)を出発点とし、そこから人間が言葉を選び、表現し、背後にある世界を想像する行為の固有性を浮き彫りにする対比構造を正確に捉える力である。
2025年度の奈良県公立高校入試・国語の大問1で出題された永田和宏の「AIと連歌を巻く」は、歌人・細胞生物学者である筆者が生成AIと連歌を巻いた体験を題材としている。大量のテキストデータから確率の高い語のつながりを計算して文章を紡ぐAIの仕組みを解説しつつ、それが生み出す「既視感」や「優等生的な無難さ」を指摘する。それに対比させる形で、詩や短歌が目指す「当たり前の展開の排除」や、有限の言葉で無限の現実世界を切り取る「創作(アナログ情報のデジタル化)」、さらに書かれた言葉の背後にある「隙間を読む(デジタル情報からアナログ情報を再構成する)」という人間の知的営為の深層へと議論を展開している。
内容や背景知識を知っているだけでは、入試本番で安定して高得点を獲得することはできない。本問のような抽象度の高い論説文を確実に解き切るためには、本文・設問・選択肢をどの順序で照合し、記述や抜き出しの条件をどのように判定するかという客観的な思考手順が必要である。本稿では、各設問の解法手順に基づき、2025年度奈良県大問1の全問について、その思考プロセスを分解・明示する。
『AIと連歌を巻く』(永田和宏)の要約と論理構造
本文は、AIと連歌を巻いた具体的な体験から始まり、AIの生成原理の分析を経て、人間にとっての「創作」と「読解」の本質へと考察を深める構造を持つ。
- 論理の全体構造
- 第1段落〜第2段落(AIの文章生成の仕組みと詩歌の言葉の対比)生成AIは学習したテキストから「ある言葉の次にどの言葉が続く確率が最も高いか」を計算して文章を作る。そのため、AIの文章は自然である反面、「既視感」や「優等生的」という評価を受けやすい。これに対し、短歌や詩を作る人間は、誰もが思いつくような当たり前の言葉のつながりを避け、作者独自の表現を工夫して生み出そうとする。
- 第3段落〜第4段落(言葉の有限性と「隙間を読む」行為)言葉は究極のデジタルであり、有限の道具である。無限で多様なアナログの現実世界を言葉だけで完全に表現し尽くすことはできないため、言葉には隙間が生じる。したがって、文章を「読む」とは、表面に書かれた言葉だけでなく、その背後にある「表現できなかったもの」「あえて表現されなかったもの」に思いを致す(=隙間を読む)行為である。
- 第5段落〜第6段落(アナログとデジタルの双方向変換と人間の創作・読解)筆者は、現実の複雑なアナログ情報を言葉というデジタル情報に変換するのが「創作」であり、逆にデジタルな言葉から豊かなアナログ世界を心の中に再構成するのが「読みや鑑賞」であると捉えている。そして、少なくとも本文では、こうした変換を「今のところ人にしかできない」行為として位置づけている。AIと連歌を巻いた経験は、AIの現状の実力を確認すると同時に、筆者にとって言葉についての持論を再確認する契機となっている。
AIの言語生成と人間の創作・読解の対比マトリクス
※以下は、本文中で示されたAIと人間の言語活動の対比を整理したものである。
| 比較項目 | AI(生成AI)の文章生成 | 人間の短歌・詩・読解 |
| 言葉の選択基準 | 学習した大量のテキストから、確率的に結びつきやすい語を選択する。 | ありふれた言葉や当たり前の展開を避け、表現したいものにふさわしい言葉を探す。 |
| 文章の傾向 | 自然で整った文章になる一方、既視感があり、優等生的な表現になりやすい。 | 作者固有の工夫によって、独創的な表現が生まれうる。 |
| 読む対象 | 語と語のつながりをもとに文章を処理・生成する。 | 書かれた言葉だけでなく、その背後にある**「表現できなかったもの」「あえて表現されなかったもの」に思いを向ける**。 |
| 情報の変換方向 | 既存のデジタル情報から別のデジタル情報へと変換する。 | 創作ではアナログ情報 $\to$ デジタル情報、読み・鑑賞ではデジタル情報 $\to$ アナログ情報へ変換する。 |
全問解答一覧
| 問 | 正答・答案 | 選択肢・答案内容 | 形式・条件 |
| (一)A | 競 | 「競う(キソう)」 | 漢字書き取り(解答欄:A「 う」) |
| (一)B | 並 | 「並べれば(ナラべれば)」 | 漢字書き取り(解答欄:B「 べれば」) |
| (一)C | もさく | 「模索」の読み | 漢字の読み(平仮名) |
| (一)D | およ | 「及ばない」の「及」の読み | 漢字の読み(解答欄:D「( )ばない」) |
| (二) | ア | 「結局のところ」 | 語句の意味(最も適切なものを1つ) |
| (三) | ウ | 蓄積されたデータから言葉と言葉の関連を捉えるため、一般的なつながりになりやすい。 | 理由説明(最も適切なものを1つ) |
| (四) | エ | 短歌や詩では、作者が主観的な思いを工夫して表現しようと言葉を選ぶため、独創性が生まれる。 | 筆者の考え(最も適切なものを1つ) |
| (五) | 表現の背後にあるものに思いを致すこと。 | (「隙間を読む」の内容説明) | 記述(文章中の言葉を用いて簡潔に書く) |
| (六) | 創作 | 「アナログ情報をデジタル化する」ことの言い換え | 本文【 I 】から2字抜き出し |
| (七) | イ | 言葉に対する筆者の思いを、AIと連歌を巻く過程で再認識したことを指摘する中で、筋道立てて述べている。 | 文章の述べ方の特色(最も適切なものを1つ) |
※(一)Dの解答欄形式に関する注意
「及ばない」全体の読みは「およばない」であるが、問題用紙の解答欄には**「D( )ばない」と「ばない」があらかじめ印刷されている。枠内に「およばない」とすべて書くと「およばないばない」の形になり重複誤答となるため、枠内には「およ」**のみを記入する。
【大問1】各設問の解答解説と思考手順
(一)漢字の書き取り・読み(A〜D)
- A「キソう」
- 手順1(文脈確認):「言葉の繋ぎ具合をキソう連歌という場」
- 手順2(意味特定):「互いに優劣や技量を比べ合う」という意味である。
- 手順3(表記処理):該当する漢字は「競う」。解答欄の印刷は「A( う)」となっているため、送り仮名を除いて漢字一字「競」を記入する。
- B「ナラべれば」
- 手順1(文脈確認):「言葉をナラべれば、どんな情景でも……」
- 手順2(意味特定):「順序よく配置する、連ねる」という意味である。
- 手順3(表記処理):該当する漢字は「並べる」。解答欄の印刷は「B( べれば)」となっているため、漢字一字「並」を記入する。
- C「模索」
- 手順1(文脈確認):「いくつかのチャレンジをその場で模索しながら」
- 手順2(読みの特定):「手探りで方法や答えを探し求めること」を意味する熟語であり、音読みで平仮名「もさく」と記入する。
- D「及ばない」
- 手順1(文脈確認):「まだまだ人間には及ばない」
- 手順2(読みの特定):「達しない、追いつかない」を意味する動詞「及ぶ(およぶ)」の未然形に打消の助動詞「ない」が接続した形である。語全体の読みは「およばない」。
- 手順3(解答欄形式の照合):問題用紙の解答欄は「D( )ばない」と印刷されている。問題用紙にはすでに「ばない」が印刷されているため、枠内には「およ」のみを記入する。
- 結論:A 競 B 並 C もさく D およ
(二)「所詮」の意味
- 手順1(設問要求):二重線部「所詮」の本文中における意味として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲):第3段落「言葉はどれだけたくさんあろうと所詮有限である。」「所詮有限の道具を使って……」
- 手順3(論理整理):
- 副詞「所詮(しょせん)」は、「さまざまな経過や事情があっても、最終的に行き着くところは」「結局のところ」という意味を表す。
- 文脈上、「言葉がどれほど無数に存在していようとも、突き詰めて言えば有限なものにすぎない」という限定のニュアンスを表している。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア「結局のところ」:語義・文脈ともに合致する。
- イ「時と場合によっては」:条件による可変性を示す表現ではない。
- ウ「何はなくとも」:最優先事項を取り立てる表現ではない。
- エ「さらに付け加えると」:情報の累積・添加を示す接続表現ではない。
- 結論:ア
(三)AIの文章が「既視感がある」「優等生的」と評される理由
- 手順1(設問要求):傍線部①「AIが作った文章はどこか既視感があるとか、優等生的などと評される所以である」の理由として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲):傍線部①の直前の一文。
- 「ある言葉が来た時に、次にどんな言葉が続く確率がもっとも高いかを、これまでに学習したすべてのテキストから計算して割り出し、一語一語を繋ぎ、生成していくものである。ある意味、言葉と言葉のつながりがもっとも密な代表としての文が出来上がることになる。」
- 手順3(論理整理):
- 原因(仕組み):AIは蓄積された膨大なテキストデータの中で「統計的に出現確率が高い語の組み合わせ」を優先して連結する。
- 結果(性質):多くの人が過去に使ってきた標準的な表現パターン(例:「夕日」の次には「美しい」)が選ばれやすくなる。
- 評価(印象):文法的に破綻のない正しい文(優等生的)にはなるが、どこかで見たことがあるような平均的で無難な表現(既視感)に落ち着く。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア(不適切):言葉同士の関連性を「正確に把握できるから」という機能の正確さは、文章が平均的・無難になる直接の理由ではない。
- イ(不適切):単語の使用頻度を「可視化する」仕組みについて述べた文章ではない。
- ウ(適切):「蓄積されたデータから言葉と言葉の関連を捉えるため、一般的なつながりになりやすいから」は、確率的計算から生じる平均性・既視感の因果を的確に説明している。
- エ(不適切):AIが言葉を「新しく作り出す」わけではなく、語のつながりを「一過性のものにする」わけでもない。
- 結論:ウ
(四)短歌や詩における言葉の選択についての筆者の考え
- 手順1(設問要求):傍線部②「短歌や詩ではそのような言葉の続き具合をもっとも嫌がるものである。出来合いの言葉、みんなが感じるような当たり前の展開はまずは避けたいところ。」からわかる筆者の考えとして最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲):第1段落末尾〜第2段落冒頭。
- AIの「確率の高いつながり(例:夕日→美しい)」に対し、短歌や詩では「出来合いの言葉」「当たり前の展開」を避け、「言葉の選択が真逆」であると述べている。
- 手順3(論理整理):
- 誰もが思いつくような既成の表現をそのまま使えば、作者独自の表現にはなりにくい。
- したがって詩歌の創作では、自分自身の主観的な思いを表現するために、あえて意外性のある言葉や工夫された語を選択する。そこに作者固有の独創性が生まれる。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア(不適切):「各時代の流行を後世に残そうとして」という目的は本文にない。
- イ(不適切):「社会的な関心が高い話題を明確に伝えようとして」という意図も書かれていない。
- ウ(不適切):本文では「個人的な体験を普遍化すること」を目的として言葉を選ぶとは述べられていない。ここで対比されているのは、AIが確率の高い語のつながりを選びやすいのに対し、短歌や詩では「出来合いの言葉」「当たり前の展開」を避けようとする点である。
- エ(適切):「作者が主観的な思いを工夫して表現しようと言葉を選ぶため、独創性が生まれる」は、出来合いの言葉を避ける意図を正確に捉えている。
- 結論:エ
(五)「隙間を読む」とはどういうことか
- 手順1(設問要求):傍線部③「隙間を読む」とはどのようなことか。文章中の言葉を用いて簡潔に記述する(字数制限なし)。
- 手順2(根拠範囲の特定):傍線部③の直前の一文およびその前文を精査する。
- 直前文:「その背後に、圧倒的な量の、表現できなかったものがあることを思い浮かべておく必要がある。」
- 直前の一文:「私たちは言葉で表現されたものを読むとき、どうしても『表現されたもの』にばかり意識や興味が行きがちであるが、それ以上に、表現できなかったもの、敢えて表現されなかったものにこそ思いを致す、実はそれこそが『読む』という行為なのである。先ほど言った隙間を読むことが大切なのである。」
- 手順3(答案パーツの抽出と合成):
- 設問は「隙間を読む」の内容説明を求めている。
- 対象の特定(パーツ①):書かれた言葉の背後にあるもの(=「表現できなかったもの、敢えて表現されなかったもの」 $\to$ 「表現の背後にあるもの」)。
- 行為の特定(パーツ②):「思いを致す」。
- 文末処理:「〜こと。」で結ぶ。
- 本文の「その背後に……表現できなかったものがある」「……思いを致す」という2箇所の表現を過不足なく結合し、「表現の背後にあるものに思いを致すこと。」としてまとめる。
- 結論:表現の背後にあるものに思いを致すこと。
(六)「アナログ情報をデジタル化する」の言い換え
- 手順1(設問要求):傍線部④「アナログ情報をデジタル化する」ことを言い換えている言葉を、指定された【 I 】の部分から二字で抜き出す。
- 手順2(指定範囲【 I 】の精査と対比構造の確認):
- 該当箇所(第5段落【 I 】の冒頭):「その意味で、創作という行為、そして読みや鑑賞という行為は、人にしかできないものと言ってよい。」
- 傍線部④を含む直前文の対比関係:
- 方向1:「アナログ情報をデジタル化する」
- 方向2:「デジタル情報からアナログ情報を再構成する(デジタルトゥーアナログ変換)」
- 手順3(1対1の対応関係の同定):
- 本文では、無限で多様な現実世界(アナログ情報)を有限の言葉(デジタル情報)へ変換する行為を「創作」と位置づけている。
- 逆に、言葉(デジタル情報)から背後の世界(アナログ情報)を想像・再構成する行為を「読みや鑑賞」と位置づけている。
- 設問が要求しているのは「アナログ情報をデジタル化する」側であるため、対応する語は「創作」となる。
- 手順4(字数・表記確認):
- 「創・作」=過不足なく2字。【 I 】の範囲内に存在する。
- 結論:創作
(七)文章の述べ方の特色
- 手順1(設問要求):文章の述べ方の特色として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(文章全体の展開追跡):
- 導入:AIと連歌を巻く会に参加した具体的な体験の紹介。
- 展開:AIの文章生成(確率計算)と人間の作歌(出来合いの回避)の対比。
- 深化:言葉のデジタル性と現実のアナログ性の乖離、「隙間を読む」ことの重要性への考察。
- 結語:体験を通じて、人間にとっての創作・読解の本質(持論)を改めて筋道立てて認識・確認したことの表明。
- 手順3(選択肢の照合と消去):
- ア(不適切):AIの「様々な場面で活用できる汎用性の高さ」を例示することが主題ではない。
- イ(適切):「言葉に対する筆者の思いを、AIと連歌を巻く過程で再認識したことを指摘する中で、筋道立てて述べている」は、具体体験から抽象的思索への論理展開を過不足なく要約している。
- ウ(不適切):AIが短歌を作ることの「是非についての持論」を展開した文章ではない(冒頭で「まだ解決のつかない問題である」としつつ、創作の本質論へ移行している)。
- エ(不適切):AIの「驚異的な対応力を賞賛すること」が目的ではない。AIは人間の言語活動の独自性を考察するための契機として扱われている。
- 結論:イ
授業ではここまで扱う:AIと人間の言語活動を「情報の変換ベクトル」で整理する
実際の授業では、単に正答を解説するだけでなく、文章中に登場する複数の概念を「情報の変換ベクトル(向き)」として整理・指導する。
情報変換のベクトル図
- 創作のベクトル(現実 $\to$ 言葉)アナログ情報(無限・多様な現実の情景や心情) $\longrightarrow$ デジタル情報(有限な「言葉」)$\Longrightarrow$ 「創作」という行為
- 読解・鑑賞のベクトル(言葉 $\to$ 現実)デジタル情報(書かれた言葉・テクスト) $\longrightarrow$ アナログ情報(背後に残された表現されなかった世界)$\Longrightarrow$ 「読みや鑑賞」「隙間を読む」という行為
本文では、機械(AI)は「デジタル情報をデジタル情報に変換する」ことを得意とするものとして整理されている。それに対して筆者は、人間がアナログとデジタルの間を双方向に変換できる点に着目している。
| 比較項目 | AIの文章生成 | 人間の短歌・詩・読解 |
| 言葉の選択 | 学習した大量のテキストから、確率的に結びつきやすい語を選択する。 | ありふれた言葉や当たり前の展開を避け、表現したいものにふさわしい言葉を探す。 |
| 文章の傾向 | 自然で整った文章になる一方、既視感があり、優等生的な表現になりやすい。 | 作者固有の言葉の選択によって、独創的な表現が生まれうる。 |
| 読む対象 | 語と語のつながりをもとに文章を処理・生成する。 | 書かれた言葉だけでなく、その背後にある「表現できなかったもの」「あえて表現されなかったもの」にも思いを向ける。 |
| 情報の変換 | 本文では「デジタル情報 $\to$ デジタル情報」の変換として整理される。 | 創作:アナログ情報 $\to$ デジタル情報 / 読み・鑑賞:デジタル情報 $\to$ アナログ情報 |
重要なのは、「デジタル」「アナログ」という用語を固定して覚えることではなく、どちらからどちらへ向かう処理なのかという矢印の向きを確定し、別の問題でも客観的に処理できるようにすることである。
【2025年度奈良県公立高校入試・大問1から整理する】国語・論説文の対策と復習手順
本問では、最新の科学技術(AI)を題材としつつ、国語の本質である「言葉の選択」や「読解の意味」へと論理を発展させる論説文が出題された。対策においては、以下の客観的な処理手順を反復し、実戦的な解法として定着させることが重要である。
- 1. 解答欄の印刷表記に対する形式チェックの徹底(一)Dのように、解答欄に特定の文字列があらかじめ印刷されている形式(「D( )ばない」)では、語句全体の読みを機械的に書き込むと重複誤答となる。解答を記入する際は、常に「指定された枠の中に何を入れるべきか」を確認する習慣を徹底する。
- 2. 記述問題における本文パーツの客観的合成(五)の「隙間を読む」のように、比喩的表現の内容説明を求められた場合、自分の言葉だけで作文しようとすると要素の抜け落ちが生じる。必ず傍線部の前後から「対象(何に対して)」と「行為(どうすることか)」に該当する本文のキーフレーズを客観的に抽出し、それらを接続して過不足のない一文へ整える手順を確立する。
- 3. 概念対比における「矢印の方向(ベクトル)」の同定(六)の抜き出しのように、対になる概念(アナログとデジタル、創作と鑑賞)が登場する場合、単語の表面的な一致だけで飛びつくと正反対の誤答を選ぶことになる。「AからBへの変換」なのか「BからAへの変換」なのか、文脈の方向性を論理的に確定してから指定範囲を探索する手順を身につける。
- 4. 具体例から抽象的主題への展開追跡(七)のような文章全体の構成を問う設問では、冒頭の具体的なエピソード(AIとの連歌)に引きずられて全体を見誤ってはならない。筆者がその具体例を通じて、最終的にどのような言語論へと考察を深めていったのかという「具体 $\to$ 抽象」の展開軸を常に意識して読解を進めることが肝要である。
過去問演習の復習においては、「解説を読んで納得した」にとどまらず、「どの対比軸から選択肢を絞り込んだのか」「記述に必要な2つのパーツを自力で特定できたか」「概念の方向性を図式化して説明できるか」を徹底的に点検することが重要である。

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