「快い香り」の背後にある、植物自身の自衛と循環の論理を捉える
自然科学を扱った説明的文章において、身近な植物の性質や香りが紹介される際、多くの学習者は「人間を癒やす心地よい香り」「生活に役立つ便利な効果」という人間本位の機能や実用性に意識を奪われがちである。しかし、高校入試の国語において問われるのは、そうした日常的な感覚をいったん相対化し、「植物はなぜ、どのような仕組みでその化学物質を合成・放出しているのか」という植物自身の生存戦略(自衛・防衛)と生化学的な因果連鎖を、本文の叙述に即して客観的・論理的に読み解く力である。
2025年度の徳島県公立高校入試・国語の大問3で出題された田中修の『植物はすごい 生き残りをかけたしくみと工夫』(および補足資料:稲垣栄洋『怖くて眠れなくなる植物学』)は、森林浴や桜餅の香りを手がかりに、植物が病原菌や害虫から自らを防衛する精緻なメカニズムを解明した文章である。ヒノキの香り成分であるヒノキチオールの抗菌・殺菌作用から、植物が放つ香り「フィトンチッド」の働き、サクラの葉が傷ついたときに生成されるクマリンの反応プロセスへと話が広がり、腐葉土になる直前までの防衛と、土に帰った後に若葉の糧となる働き、そして補足資料に見られる「毒と薬」の表裏一体性に至るまで、論理が整然と展開していく。
本問を正確に攻略するためには、ノートの穴埋めにおける文脈把握と文法的呼応(疑問形での着地)、否定表現の後に置かれた標識語(「原因は」)に着目する抜き出し、生化学的因果関係に基づく4文の並べ替え、枯れ葉が果たす役割の時間軸に即した整理、そして本文と補足資料の共通点・追加情報を識別する処理手順が必要である。本稿では、全問についてその思考プロセスを分解・明示する。
『植物はすごい』(田中修)の要約と論理構造
本文は、人間の生活における香りの効用から出発し、植物が自己防衛のために化学物質を放出する生態的理由を解き明かした上で、サクラの葉のライフサイクルと補足資料の薬理的側面にまで考察を広げる構成を持つ。
- 論理の全体構造
- 導入部(人間の受ける効用から植物の自衛への転換)森林浴で木々の葉や幹から放出される香りは、人間をリフレッシュさせ、入浴剤や化粧品にも用いられている。しかし、植物の香りは人間に快適さをもたらすだけではなく、カビや病原菌を退治するなど、植物自身のからだを守る役割も担っている。
- ヒノキの香りとフィトンチッドの説明ヒノキについては、抗菌・殺菌作用をもつ香り成分としてヒノキチオールが紹介され、まな板や風呂桶などにヒノキ材が利用されてきたことが説明される。続いて、植物の葉や幹から放出される香りが「フィトンチッド」と呼ばれることが示され、食品の保存などへの応用例が挙げられる。
- サクラの葉とクマリンの発生メカニズム初秋の雨上がりに桜並木から漂う「桜餅の香り」の正体は、クマリンという物質である。緑の葉の中にはクマリンの前駆物質とそれを変化させる物質の二つが存在するが、健全な葉の中では接触しない。葉が傷ついたり死んだりしたときに初めて二つの物質が出会ってクマリンが生成され、虫が嫌がる香りを放つ。雨の日に香った原因は、緑の葉ではなく、根元にたまっていた古い落ち葉であった。
- 落ち葉の役割と補足資料の展開サクラの落ち葉は、腐葉土になる直前まで虫の嫌がる香りを放って親株を守り、完全に土へ帰った後は若葉が育つ糧となる。補足資料では、植物が放出する香りが本質的には害虫や病原菌を寄せ付けない「毒性の物質」であり、それが少量であれば人間にとって薬になるという「毒と薬は紙一重」の関係が補足される。
「人間から見た香り」と「植物から見た香り」の対比マトリクス
| 比較項目 | 人間から見た植物の香り(利用・受容) JPG他 2 件 | 植物自身から見た香り(生存戦略・自衛) JPG他 2 件 |
| 香りの印象・評価 | リフレッシュ効果、安眠、心地よい「やさしい」イメージ。 | 病原菌や害虫を遠ざけたり退治したりする働きをもつ物質。 |
| 香りの利用・役割 | 入浴剤、化粧品、食品保存(柏餅、桜餅、柿の葉寿司)。 | カビや病原菌を遠ざけ、自らのからだや組織を守るため。 |
| サクラの葉の香り | 食欲をそそるおいしそうな「桜餅の香り」。 | 葉が傷ついた際に合成される、虫への「嫌がらせの香り」。 |
| 枯れ葉・落ち葉の役割 | 季節の風物詩、自然の腐葉土。 | 腐葉土化直前まで虫を忌避して親株を守り、分解後は若葉の糧となる。 |
全問解答一覧
| 問 | 正答・答案 | 形式・条件 |
| (1)A | フィトンチッド | ノート空欄補充(本文から一語で抜き出し) |
| (1)B | 抗菌、殺菌 | ノート空欄補充(本文から5字で抜き出し・読点含む) |
| (1)C | 香りを放っているのか | ノート空欄補充(本文中の言葉を用いる・5字以上10字以内・10字) |
| (2) | 桜並木のサ | 抜き出し(本文から32字の最初の5字) |
| (3) | ウ $\to$ ア $\to$ エ $\to$ イ | 文の並べ替え(4文の論理的順序) |
| (4)あ | 若葉が育つ糧になる | 理由説明・空欄補充(本文から9字で抜き出し) |
| (4)い | 虫の嫌がる香りを放っている | 理由説明・空欄補充(本文中の言葉を用いる・10字以上15字以内・13字) |
| (5)a | 毒性の物質 | 感想文空欄補充(補足資料から5字で抜き出し) |
| (5)b | 毒と薬は紙一重 | 感想文空欄補充(補足資料から7字で抜き出し) |
【大問3】各設問の解答解説と思考手順
(1)なるきさんのノートの空欄補充(A〜C)
A 香りの名称(一語抜き出し)
- 手順1(設問要求と指定条件):ノートの空欄Aに入る適切な言葉を、本文中から一語で抜き出す。
- 手順2(根拠範囲の探索):
- ノートの記述:「木々の葉や幹から出ているほのかな香り $\to$ ( A )という物質」
- 本文のフィトンチッドについて述べている部分:「植物の葉や幹から放出される香りは、『フィトンチッド』とよばれます。」
- 手順3(照合と判定):
- 「植物の葉や幹から放出される香り」の名称として定義されている一語「フィトンチッド」を同定する。
- 結論:フィトンチッド
B 香りの作用(5字抜き出し)
- 手順1(設問要求と指定条件):ノートの空欄Bに入る言葉を、本文中から5字で抜き出す。
- 手順2(根拠範囲の探索):
- ノートの記述:「( B )効果/用途:防虫剤や防腐剤など」
- 本文のヒノキについて説明している部分:「ヒノキに含まれ、抗菌、殺菌作用をもつ『木の香り』……」
- 手順3(字数計算と照合):
- 後続の「効果」につながる作用として、「抗菌、殺菌」を特定する。
- 文字数:抗(1)・菌(2)・、(3)・殺(4)・菌(5)=5字(読点を含めて過不足なく一致)。
- 結論:抗菌、殺菌
C 植物の行動目的の問い(5〜10字記述・枠文接続)
- 手順1(設問要求と指定条件の確認):
- ノートの空欄Cに入る言葉を、本文中の言葉を用いて5字以上10字以内で書く。
- 枠文の形式:「植物は、何のために( C )。」
- 直下の回答:「植物自身のからだを守るため。」
- 手順2(論理整理と文法的呼応):
- 下段の「〜からだを守るため」という目的の回答に対し、上段のCは「植物が何をしているのか」を問う疑問文を構成する必要がある。
- 枠文が「何のために( C )。」となっているため、末尾を疑問の終助詞「〜のか」で着地させることで自然な一文を形成する。
- 本文の基本動作である「香りを放つ」を当てはめる。
- 手順3(字数計算):
- 答案:香りを放っているのか
- 文字数:香(1)・り(2)・を(3)・放(4)・っ(5)・て(6)・い(7)・る(8)・の(9)・か(10)=10字(5字以上10字以内を充足)。
- 結論:香りを放っているのか
(2)「桜餅の香り」の発生源(32字抜き出しの最初の5字)
- 手順1(設問要求と指定条件の確認):
- 傍線部①「桜餅の香り」について、この香りは何から漂ってきたのかを説明する。
- 条件:本文中から32字で抜き出し、その最初の5字を書くこと。
- 手順2(根拠範囲の探索と否定の排除):サクラの香りの発生源を説明している部分を精査する。
- 誤認の否定:「サクラの緑の葉っぱに数日間雨が当たっても、桜餅の香り、すなわち、クマリンの香りが漂うことはありません。」 $\to$ 直前の「緑の葉」は発生源ではないことが明示的に否定される。
- 標識語による原因提示: 「では、質問のように、なぜ……桜餅の香りがしたのでしょうか。原因は、桜並木のサクラの木の根もと付近にたまっている、サクラの古い落ち葉です。」
- 手順3(文字数計算と先頭5字の抽出):
- 「原因は、」の直後にある名詞句をカウントする。
- 該当部分: 桜(1)並(2)木(3)の(4)サ(5)ク(6)ラ(7)の(8)木(9)の(10)根(11)も(12)と(13)付(14)近(15)に(16)た(17)ま(18)っ(19)て(20)い(21)る(22)、(23)サ(24)ク(25)ラ(26)の(27)古(28)い(29)落(30)ち(31)葉(32) $\to$ 読点「、」を含めてちょうど32字となる。
- 解答欄に記入するのは最初の5字であるため、「桜並木のサ」となる。
- 結論:桜並木のサ
(3)クマリン生成と香り発生の順序(文の並べ替え)
- 手順1(設問要求):本文中の空欄 X に入る4つの文(ア〜エ)を、文脈が自然につながる順序に並べ替える。
- 手順2(各文の接続詞と内容の分解):
- 直前の文脈:「葉っぱには、クマリンができる前の物質が含まれている……もう一つの物質が含まれています。それは、クマリンができる前の物質をクマリンに変えるはたらきがある物質です。」(=葉の中に二つの物質が共存していることの提示)
- ウ:「しかし、傷がつかずに生きている緑の葉っぱの中では、二つの物質は接触しないようになっています。」 $\to$ 「二つの物質が存在する」という直前の記述を受け、逆接「しかし」で平常時の非接触状態を説明するため、先頭に来る。
- ア:「だから、クマリンができることはなく、香りは発生しないのです。」 $\to$ ウの「接触しない」という原因を受け、順接「だから」で平常時に香らない結果を述べるため、ウの直後に接続する(ウ $\to$ ア)。
- エ:「ところが、葉っぱが傷ついたり、葉っぱが死んだりすると、これらの二つの物質が出会って反応します。」 $\to$ アまでの「平常時は香らない」という前提に対し、逆接「ところが」で非常時(損傷・死)の条件を導入して反転させるため、3番目に位置する。
- イ:「その結果、クマリンができて、香りが漂ってくるのです。」 $\to$ エの「物質が出会って反応する」という変化を受け、指示接続「その結果」でクマリン生成と香り発生の最終結果を結ぶため、末尾に来る(エ $\to$ イ)。
- 手順3(因果連鎖の全体確認):
- ウ(平常時は非接触) $\to$ ア(だから生成せず香らない) $\to$ エ(ところが損傷すると反応する) $\to$ イ(その結果クマリンが生じて香る)。
- 接続語の機能および生化学的な因果関係が論理的に完全に成立する。
- 結論:ウ $\to$ ア $\to$ エ $\to$ イ
(4)「葉っぱの生き方の“すごさ”」の理由(抜き出し・記述)
- 手順1(設問要求と指定枠の確認):
- 傍線部②「葉っぱの生き方の“すごさ”を感じずにはいられません」について、筆者がそう述べた理由をまとめた文の空欄(あ・い)を埋める。
- 枠文:「サクラの枯れ葉や落ち葉は、腐葉土となり、( あ )だけではなく、腐葉土になる直前まで( い )から。」
- 条件:
- (あ):本文中から9字で抜き出す。
- (い):本文中の言葉を用いて10字以上15字以内で書く。
(4)あ 腐葉土となった後の役割(9字抜き出し)
- 手順2(根拠範囲の探索):
- 枠文の「腐葉土となり、( あ )だけではなく」に着目する。
- 本文後半の落ち葉について述べた部分:「落ち葉は、土に帰り、若葉が育つ糧になるのです。」
- 手順3(字数確認):
- 若(1)・葉(2)・が(3)・育(4)・つ(5)・糧(6)・に(7)・な(8)・る(9)=9字(指定と完全に一致)。
- 結論:若葉が育つ糧になる
(4)い 腐葉土になる直前までの働き(10〜15字記述)
- 手順2(根拠範囲の探索):
- 枠文の「腐葉土になる直前まで( い )から」に着目する。
- 本文後半の落ち葉について述べた部分:「親株の根もと付近に落ち、虫の嫌がる香りを放ち、親を守っているようです。」
- 続けて:「腐葉土になるギリギリまで、香りを放っている……」
- 手順3(要素の抽出・接続と字数計算):
- 落ち葉が腐葉土化の直前まで行っている具体的な働きは、「虫の嫌がる香りを放つこと」である。
- 枠文の末尾「〜から」へ接続する述部として、「虫の嫌がる香りを放っている」とまとめる。
- 文字数:虫(1)・の(2)・嫌(3)・が(4)・る(5)・香(6)・り(7)・を(8)・放(9)・っ(10)・て(11)・い(12)・る(13)=13字(10字以上15字以内を充足)。
- 結論:虫の嫌がる香りを放っている
(5)補足資料を用いた感想文の空欄補充(a・b)
- 手順1(設問要求と指定条件の確認):
- 本文と補足資料を用いてまとめた感想文の空欄(a・b)に入る言葉を、補足資料から抜き出して書く。
- 条件:
- (a):補足資料から5字で抜き出す。
- (b):補足資料から7字で抜き出す。
(5)a 香りの本質(5字抜き出し)
- 手順2(感想文の文脈精査):
- 感想文:「森林浴で浴びている香りが、実は( a )であることを知り、とても驚いた。」
- 手順3(補足資料の照合と字数確認):
- 補足資料の前半:「植物は、害虫や病原菌を寄せ付けないように、さまざまな毒性の物質を大気中に放出しています。」
- 人間が心地よく浴びている香りの実体として「毒性の物質」が合致する。
- 文字数:毒(1)・性(2)・の(3)・物(4)・質(5)=5字(指定と完全に一致)。
- 結論:毒性の物質
(5)b 毒と薬の関係(7字抜き出し)
- 手順2(感想文の文脈精査):
- 感想文:「香りは、細菌や虫にとって、ただものではない、嫌な存在なのだ。しかし、( b )であり、人間にとっては、この香りも薬になるので……」
- 手順3(補足資料の照合と字数確認):
- 補足資料の後半:「また、毒と薬は紙一重です。植物には毒草もたくさんありますが、毒も少量飲めば薬になります。」
- 害虫にとっての毒が人間にとって薬効を持つという対比関係を要約した成句を特定する。
- 文字数:毒(1)・と(2)・薬(3)・は(4)・紙(5)・一(6)・重(7)=7字(指定と完全に一致)。
- 結論:毒と薬は紙一重
授業ではここまで扱う:科学的説明文における「因果プロセスと時間軸の多段階展開」読解手順
実際の指導においては、単に各設問の正答を合わせるにとどまらず、自然科学を扱った説明的文章において「日常的な現象の観察から、ミクロな生化学的反応、そして生態系における時間軸の循環へと論理がいかに多段階に展開しているか」を体系的に整理させる。
本文における論理の4段階展開プロセス
本問では、「森林浴」という人間にとっての心地よさの描写から出発し、植物が自然界を生き抜くための精緻な化学的自衛システムへと考察が深化していく。
| 段階 | 本文における論理の展開 | 読解・解法上の着眼点 |
| ① 常識の相対化 (導入〜中盤) | 人間にとって心地よい香りは、植物が病原菌や害虫から身を守るための物質(フィトンチッド)だと定義する。 | 「人間にとっての快」と「植物にとっての自衛」という視点の対比軸を確立する(問1A・B・C)。 |
| ② 生化学的メカニズム (中盤) | 葉が傷ついた際に二つの物質が反応してクマリンが合成される因果連鎖を解明する。 | 接続詞の論理的機能(しかし・だから・ところが・その結果)を手がかりに順序を復元する(問3)。 |
| ③ 時間軸と生態的循環 (後半) | 落ち葉が腐葉土になる直前(親株の防衛)と腐葉土化後(若葉の栄養)という二重の役割を提示する。 | 「腐葉土化の前」と「土に帰った後」という時間的推移に伴う機能変化を整理する(問4あ・い)。 |
| ④ 概念の普遍化 (補足資料) | 害虫への「毒性の物質」が人間には「薬」となるという、作用の相対性へと論理を拡張する。 | 本文の知見(自衛物質)と補足資料の追加情報(毒と薬の相対性)を統合する(問5a・b)。 |
重要なのは、植物の香りを人間にとっての効用だけで捉えるのではなく、植物自身の「生き残りをかけたしくみと工夫」という視点から捉えることである。この視点を持つことで、一見ばらばらに見える具体例(ヒノキ、サクラ、落ち葉、漢方薬)が、強固な一つの論理的ネットワークとして結びつく。
【徳島県】国語・説明的文章の対策と復習手順
2025年度の徳島県公立高校入試・国語の大問3は、ノート穴埋めによる要約力、否定表現と標識語を見分ける抜き出し、接続語と生化学的因果を照合する並べ替え、時間軸を整理する条件付き記述、そして補足資料を横断する情報処理まで、複数の技能がバランスよく問われた。今後の入試対策においては、以下の手順を定着させることが重要である。
- 1. ノート穴埋め問題における「枠文との文法的呼応の点検」 (1)Cのようにノートの空欄を記述で埋める場合、単にキーワードを並べるだけでは不十分である。設問枠が「植物は、何のために( C )。」となっていることを見落とさず、文頭の「何のために」に呼応させて文末を疑問の終助詞「〜のか」で着地させることで、一文として自然な疑問文を完成させる推敲手順を徹底する。
- 2. 原因探索における「否定表現の直後にある標識語への着目」 (2)のように発生源や原因を抜き出す問題では、傍線部の直前にある魅力的な語句(「緑の葉」)に安易に飛びついてはならない。本文が「〜漂うことはありません」と先行候補を否定した上で、「原因は、……」と本当の要因を提示している論理展開を冷静に追い、標識語を手がかりに指定字数(32字)を正確に同定する訓練を積む。
- 3. 説明文の並べ替えにおける「接続語と因果関係の二重チェック」 (3)のような文の並べ替えでは、接続詞(しかし、だから、ところが、その結果)の働きだけに頼るのではなく、「平常時の非接触 $\to$ クマリン不生成」という前半の因果と、「損傷時の反応 $\to$ クマリン生成・発香」という後半の因果が、生化学的なプロセスとして矛盾なく成立しているかを必ず確認する。
- 4. 複数資料問題における「共通項の確認と追加情報の切り分け」 (5)のように補足資料が提示された場合、資料全体を漠然と読むのではなく、「本文のどの主張を補強・拡張しているのか」という関係性を意識する。本文で示された植物の自衛作用が、補足資料では「毒性の物質」という側面から捉え直され、さらに「人間にとっては薬になる」という新たな知見(「毒と薬は紙一重」)が付加されている構造を整理して解く習慣をつける。
過去問演習の復習においては、「単に正解したかどうか」にとどまらず、「(1)Cでなぜ疑問形で着地させたのか」「(2)でなぜ緑の葉を排除できたのか」「(3)で接続語と因果の対応を論理的に説明できるか」を客観的に検証することが、初見の科学的説明文でも本文根拠に基づいて安定して判断するための確かな土台となる。

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