15か年の作図・グラフ作成問題から何が分かるのか
2012年度から2026年度までの15か年(全96大問・564設問・解答枠677枠)にわたる青森県公立高校入試・理科の全設問データを調査すると、グラフの作成や力の矢印、光の道すじ、柱状図や粒子モデルなどを受験生自身にかかせる「作図・グラフ作成問題」が、15年間で計26問出題されている。
この全26問の出題条件と正答の決定条件を照合すると、単に表の数値をそのままグラフ用紙に打つだけの問題は少なく、「表の水温から初期水温を引き算して上昇温度を求める」「2つの表のデータを組み合わせて1つのグラフにする」「過不足なく反応する折れ点の位置を計算で特定する」といった、作図に入る前の1段階の数値処理や条件整理が正答の決め手になっていることが確認できる。
本記事では、まず2012〜2026年度の15か年に出題された作図・グラフ作成問題(全26問)の分野別・類型別の全体構造と一覧データを提示する。続いて、4つの出題類型ごとの具体的な解法手順と、本番の初見問題で失点を防ぐための4段階の確認手順を解説する。
(※2027年度入試に向けた4分野の重点領域と15か年全大問の出題分析については、別記事『【2027年度予想】青森県公立高校入試・理科(2012〜2026年分析)』を参照してほしい)
1. 15か年(2012〜2026年度)の出題データと4類型・分野別内訳
2012〜2026年度の15か年に出題された作図・グラフ作成問題(全26問)を、要求される作業内容と分野別に分類した集計結果は以下の通りである。
4類型×分野別の出題数集計(2012〜2026年度)
| 出題類型 | 物理 | 化学 | 生物 | 地学 | 合計(割合) | 主な出題内容 |
| 類型①:比例直線グラフ | 3問 | 6問 | 0問 | 1問 | 10問(38.5%) | 水の上昇温度、電流と電圧、酸化・熱分解の質量比、電気分解のイオン数・生成量、初期微動継続時間など |
| 類型②:過不足折れ線グラフ | 0問 | 3問 | 0問 | 0問 | 3問(11.5%) | 塩酸と石灰石・炭酸水素ナトリウムの反応における気体発生量・未反応固体の質量グラフ |
| 類型③:力の矢印作図 | 4問 | 0問 | 0問 | 0問 | 4問(15.4%) | おもりの重力、斜面上の重力の分解、2力とつり合う力、作用・反作用の力 |
| 類型④:光学・模式図・回路図・柱状図 | 4問 | 2問 | 2問 | 1問 | 9問(34.6%) | 凸レンズの実像と焦点、ガラスの屈折光線、回路図、プラスチックの浮沈、イオン・染色体モデル、柱状図など |
| 15か年合計 | 11問 | 11問 | 2問 | 2問 | 26問(100%) | 15か年すべての年度で毎年度1〜4問出題(年平均1.73問) |
15か年の出題履歴から確認できる3つの特徴
- 物理・化学の2分野で全体の約85%(26問中22問)を占める 15か年の全26問のうち、物理が11問、化学が11問と、この2分野だけで22問(84.6%)を占めている。特に直近の2019〜2026年度の8年間に出題された12問(物理6問・化学5問・地学1問)を見ても、物理と化学の合計で11問(91.7%)を占めており、物理(大問5および大問2後半)と化学(大問4)におけるグラフ作成・作図対策が最優先となる。
- 「表の数値をそのままプロットさせない」1段階の数値変換が頻出である 類型①・②のグラフ作成問題(計13問)のうち、半数以上の設問では、実験結果の表に書かれた数値をそのまま縦軸に取ると誤答になるよう設計されている。 たとえば「表の水の温度から初期水温18.8℃を引いた水の上昇温度(2026年・物理)」「加熱後の物質の質量から元の銅の質量を引いた酸素の質量(2023年・化学)」「付着した銅の質量に塩素の質量を足した塩化銅全体の質量(2015年・化学)」「2つの実験の表を結合して導く高さと木片の移動距離(2022年・物理)」のように、作図の前に引き算や比例換算を挟む形式が繰り返し出題されている。
- 単独大問(大問3〜6)だけでなく、小問集合(大問2)でも作図が出題される 全26問のうち、20問は大問3〜6(および旧大問7)の単独・融合大問内で出題されているが、残る6問(2012年・力のつり合い、2013年・反作用、2015年・プラスチックの浮沈、2017年・回路図、2020年・重力の分解、2022年・光の屈折)は大問2の小問集合の中で出題されている。特に「方眼上の力の作図」と「光の屈折・凸レンズの作図」は小問集合でも警戒が必要である。
2. 作図・グラフ作成問題 全26問の年度別出題一覧(2012〜2026年度)
2012年度から2026年度までの15か年に出題された全26問の年度・設問番号・分野・類型・具体的な作図要求と正答の決定条件を以下の表に整理する。
| 年度 | 大問・設問 | 分野・単元 | 類型 | 問われた作図・グラフ作成の内容と正答の決定条件 |
| 2026 | 大問5(1)ウ | 物理(中2) 電流と発熱量 | ①比例直線 | 【内容】電熱線bに電流を流した時間(横軸0〜5分)と水の上昇温度(縦軸0〜5.0℃、最小目盛り0.2℃)のグラフ 【決定条件】表の水温(18.8〜21.8℃)から初期水温18.8℃を引いて上昇温度を求め、原点(0, 0)と(5, 3.0)を結ぶ直線を引く。 |
| 2025 | 大問4(2)ア | 化学(中2) 炭酸水素Naの熱分解 | ①比例直線 | 【内容】炭酸水素ナトリウムの質量(横軸0〜4.00g、1目盛り0.10g)と加熱後に残った白い物質の質量(縦軸0〜3.00g、1目盛り0.10g)のグラフ 【決定条件】表の4点(1.60, 1.00)、(2.40, 1.50)、(3.20, 2.00)、(4.00, 2.50)と原点(0, 0)を通る直線を引く。 |
| 2024 | 大問5(1)イ | 物理(中2) オームの法則 | ①比例直線 | 【内容】抵抗器Aに加わる電圧(横軸0〜6.0V、1目盛り0.5V)と流れる電流(縦軸0〜200mA、1目盛り20mA)のグラフ 【決定条件】縦軸の1目盛りが20mAである点に注意し、原点(0, 0)と(6.0, 120)を結ぶ直線を引く。 |
| 2023 | 大問4(2)イ | 化学(中2) 銅の酸化と質量 | ①比例直線 | 【内容】銅の質量(横軸0〜2.00g、1目盛り0.10g)と結びついた酸素の質量(縦軸0〜0.60g、1目盛り0.05g)のグラフ 【決定条件】加熱後の酸化銅の一定質量(1.50g、2.00g、2.50g)から元の銅の質量を引き、原点(0, 0)と(1.20, 0.30)、(1.60, 0.40)、(2.00, 0.50)を通る直線を引く。 |
| 2023 | 大問5(2)ウ | 物理(中1) 凸レンズの像 | ④模式図等 | 【内容】物体から凸レンズまでの距離が30cmのとき、スクリーンにうつった文字「L」の像を方眼紙(中心「・」つき)に作図 【決定条件】表より距離30cmでの像の倍率は2.00倍。中心「・」を対称の中心として、元の「L」を上下左右逆向き(180度回転)にし、縦・横・太さをすべて2倍に拡大した図(縦8目盛り、横6目盛り、太さ2目盛り)をかく。 |
| 2022 | 大問2(3)イ | 物理(中1) 光の屈折 | ④模式図等 | 【内容】直方体のガラスを通して鉛筆から目の位置A点に向かう光の道すじを方眼紙上に実線で作図 【決定条件】見かけの鉛筆とA点を結ぶ破線とガラス下辺の交点(左端から9目盛り)を出射点とし、出射光と平行な傾きになるよう実際の鉛筆からガラス上辺への入射点(左端から7目盛り)を定め、実線で折れ線を結ぶ。 |
| 2022 | 大問4(3)ア | 化学(中2) 石灰石と塩酸 | ②折れ線 | 【内容】うすい塩酸40.0cm³に入れた石灰石の質量(横軸0〜5.00g)と反応せずに残った石灰石の質量(縦軸0〜3.00g)のグラフ 【決定条件】発生CO₂グラフの折れ点から石灰石3.00gまではすべて反応して残り0gであることを読み取り、(0, 0)から(3.00, 0)まで横軸上を引き、(3.00, 0)から(4.00, 1.00)を通って(5.00, 2.00)へ上がる折れ線をかく。 |
| 2022 | 大問5(3)イ | 物理(中3) 運動とエネルギー | ①比例直線 | 【内容】表1・表2をもとに、小球をはなした高さ(横軸0〜20cm、1目盛り2.5cm)と木片の移動距離(縦軸0〜20cm、1目盛り2cm)のグラフ 【決定条件】表1の水平面の区間差から高さ5cm・10cm・20cmでの速さ(99・140・198cm/s)を求め、表2から対応する木片の移動距離(4.0・8.0・16.0cm)を特定し、原点(0, 0)と結ぶ直線を引く。 |
| 2021 | 大問4(4) | 化学(中3) 塩化銅の電気分解 | ①比例直線 | 【内容】電流を流した時間(横軸0〜30分)と銅イオンの数のグラフ(0, 5)→(30, 4)をもとに、塩化物イオンの数の変化グラフを作図 【決定条件】電離式 CuCl₂ → Cu²⁺ + 2Cl⁻ より、塩化物イオンの初期個数も減少量も銅イオンの2倍となるため、縦軸の目盛りを(0, 10)から(15, 9)を通って(30, 8)まで結ぶ直線を引く。 |
| 2021 | 大問6(4)イ | 地学(中1) 地層と柱状図 | ④模式図等 | 【内容】標高60mの地点における地表からの深さ10mまでの層の重なりを、模様を用いて柱状図に作図 【決定条件】凝灰岩層上面が標高57mであることから、標高60m地点では深さ3〜4mが凝灰岩となり、深さ0〜3mに砂岩、4〜5mに砂岩、5〜7mにれき岩、7〜10mに石灰岩の模様を記入する。 |
| 2020 | 大問2(4)ア | 物理(中3) 力の分解 | ③力の矢印 | 【内容】斜面上の台車にはたらく重力を、斜面に沿った方向の分力と斜面に垂直な方向の分力に分解する2本の矢印を作図 【決定条件】重力の矢印を対角線とする長方形を斜めの方眼に沿ってつくり、作用点から「斜面に沿って右下へ3目盛り」と「斜面に垂直に左下へ4目盛り」の2本の矢印をかく。 |
| 2019 | 大問4(3)ア | 化学(中2) 炭酸水素Naと塩酸 | ②折れ線 | 【内容】うすい塩酸15cm³に加えた炭酸水素ナトリウムの質量(横軸0〜2.50g)と発生した二酸化炭素の質量(縦軸0〜1.00g、1目盛り0.02g)のグラフ 【決定条件】表の反応前後の質量差からCO₂発生量(0.26g、0.52g、0.78g、0.92g、0.92g)を求め、原点(0, 0)から(1.50, 0.78)を通る比例直線と、(2.00, 0.92)〜(2.50, 0.92)の水平線を交わらせる折れ線をかく。 |
| 2018 | 大問6(2)イ | 地学(中1) 地震の伝わり方 | ①比例直線 | 【内容】震源からの距離(横軸0〜200km、1目盛り20km)と初期微動継続時間(縦軸0〜25秒、1目盛り1秒)のグラフ 【決定条件】地震計グラフから地点A(40km, 5秒)、B(120km, 15秒)、C(160km, 20秒)の初期微動継続時間を読み取り、原点(0, 0)から(200, 25)まで結ぶ直線を引く。 |
| 2017 | 大問2(2)ア | 物理(中2) 電気回路と図記号 | ④模式図等 | 【内容】点線枠内に電球と電圧計を表す電気用図記号をかき入れ、電球にかかる電圧をはかる回路図を完成させる作図 【決定条件】電源・スイッチに対して「電球(○の中に×)」を直列につなぎ、その電球に「電圧計(○の中にV)」を並列につなぐ。 |
| 2017 | 大問3(2) | 生物(中3) 生殖と染色体 | ④模式図等 | 【内容】親X(長黒2・短白2)と親Y(長白2・短黒2)を受粉させてできた子の体細胞がもつ染色体を円枠内に模式的に作図 【決定条件】減数分裂と受精により親X・Yから1本ずつ受け継ぐため、長い染色体が「黒塗り1本・白抜き1本」、短い染色体が「黒塗り1本・白抜き1本」の計4本をかく。 |
| 2017 | 大問4(1)ア | 化学(中2) 銅の酸化と質量 | ①比例直線 | 【内容】はかり取った銅粉の質量(横軸0〜2.20g、1目盛り0.10g)と生じた酸化銅の質量(縦軸0〜2.60g、1目盛り0.10g)のグラフ 【決定条件】原点(0, 0)と表の5点(0.40, 0.50)〜(2.00, 2.50)を通り、グラフ右端の(2.08, 2.60)まで直線を引く。 |
| 2017 | 大問5(1) | 物理(中1) 重力の作図 | ③力の矢印 | 【内容】方眼紙(1目盛り1N)に、糸でつないだ300gのおもりにはたらく重力を表す矢印を作図 【決定条件】おもりの中心(2×2マスの中心の格子点)を作用点(始点)とし、真下(鉛直下向き)へ3目盛り分(3N)の長さの矢印を引く。 |
| 2016 | 大問5(3)イ | 物理(中1) 凸レンズの焦点 | ④模式図等 | 【内容】物体のP点の像を網膜上に結ぶとき、目のレンズの物体側にある焦点の位置を作図により求め、「●」で記入(作図線も残す) 【決定条件】網膜上の結像点から左へレンズの軸と平行な線をレンズの中心線まで引き、その交点と点Pを結ぶ直線を引き、レンズの軸との交点(レンズ中心から左へ3目盛り)に「●」をかく。 |
| 2015 | 大問2(3)イ | 化学(中1) 密度と浮き沈み | ④模式図等 | 【内容】問題図で上層をエタノール(0.79g/cm³)、下層を水(1.00g/cm³)とした2層モデルの試験管Cに、3種のプラスチック□、☒、■を入れたときの位置を作図 【決定条件】試験管A・Bの浮沈から密度が■(0.92〜1.00)、☒(1.00〜1.20)、□(1.20超)と特定できるため、エタノールと水の境界面に「■」、水の底に「□」と「☒」をかく。 |
| 2015 | 大問4(3) | 化学(中3) 塩化銅の電気分解 | ①比例直線 | 【内容】電流を流した時間(横軸0〜30分)と電気分解した塩化銅の質量(縦軸0.00〜0.70g、1目盛り0.02g)のグラフ 【決定条件】表の銅の質量(10分で0.10g)に、銅:塩素=10:11から求めた塩素の質量(0.11g)を足して分解した塩化銅の質量(10分で0.21g)を求め、原点(0, 0.00)と(10, 0.21)、(20, 0.42)、(30, 0.63)を結ぶ直線を引く。 |
| 2014 | 大問4(2) | 化学(中2) 石灰石と塩酸 | ②折れ線 | 【内容】塩酸を24.0cm³から16.0cm³に変えた実験2において、入れた石灰石の質量(横軸0〜2.50g)と反応によって減少した質量(縦軸0〜0.80g、1目盛り0.02g)のグラフ 【決定条件】塩酸が実験1の2/3倍になったため、過不足なく反応する折れ点も2/3倍の(1.00, 0.44)となり、原点(0, 0)→(1.00, 0.44)→(2.50, 0.44)を結ぶ折れ線をかく。 |
| 2013 | 大問2(2)ア | 物理(中3) 作用・反作用 | ③力の矢印 | 【内容】ローラースケートをはいてたくやさんを押したひろしさんが、たくやさんから受けた力を方眼図に矢印で作図 【決定条件】相手を押す力と同じ作用点(二人の手が接している点)を始点とし、逆向き(左向き)に同じ長さ(3目盛り)の矢印を引く。 |
| 2013 | 大問4(1)ウ | 化学(中3) 中和とイオン | ④模式図等 | 【内容】塩酸50.0cm³に水酸化ナトリウム水溶液15.0cm³を加えたビーカーCの点線枠内に、適切な粒子モデルをかき入れて完成させる作図 【決定条件】ビーカーC全体の粒子数(Cl⁻4個、Na⁺3個、H⁺1個、H₂O 3個)から点線枠外に既描の数を引き、枠内に「○にCl⁻」1個、「○にH⁺」1個、「楕円にH₂O」1個をかく。 |
| 2012 | 大問2(4) | 物理(中3) 力の合成とつり合い | ③力の矢印 | 【内容】方眼紙上のO点にはたらく2力(左へ5目盛り、および左へ1目盛り・下へ3目盛り)とつり合う1つの力をO点から作図 【決定条件】2力の合力が「左へ6目盛り、下へ3目盛り」となるため、それとつり合う力としてO点から「右へ6目盛り、上へ3目盛り」の格子点へ向かう矢印を引く。 |
| 2012 | 大問3(3) | 生物(中3) 炭素の循環 | ④模式図等 | 【内容】自然界での炭素の循環模式図において、かかれていない炭素の流れの矢印を1本かき入れる作図 【決定条件】分解者の呼吸による放出を表すため、「分解者」の枠から「大気中の二酸化炭素」の枠へ向かう上向きの矢印をかく。 |
| 2012 | 大問7(3) | 化学(中2) 水の電気分解 | ①比例直線 | 【内容】陽極Xで2分間に発生する酸素のグラフをもとに、陰極Yで8分間に発生する水素の体積(横軸:電流0〜3.0A、縦軸:体積0〜35cm³、1目盛り2cm³)のグラフを作図 【決定条件】時間が4倍(2分→8分)、陰極の水素は陽極の酸素の2倍より、体積は4×2=8倍となる。原点(0, 0)と(1.0, 8)、(2.0, 16)、(3.0, 24)を通り、右端(3.5, 28)まで直線を引く。 |
3. 4類型別の解法手順と過去問の具体例
全26問の出題記録から導かれる、4つの類型それぞれの具体的な処理手順を解説する。
類型①:比例直線グラフ(10問)|測定値からの引き算・合算・倍率換算
比例直線グラフでは、表の数値をそのままグラフ用紙に打つのではなく、縦軸の項目名に合わせて数値を変換する手順が重要となる。過去15か年では、次の4つの変換パターンが出題されている。
- 引き算による変化量の抽出(2026年・大問5、2023年・大問4、2018年・大問6)
- 2026年度・大問5(1)ウでは、実験結果の表には「水の温度(0分:18.8℃、1分:19.4℃、…、5分:21.8℃)」が記載されているが、グラフの縦軸は「水の上昇温度(℃)」となっている。そのため、各時刻の水温から初期水温18.8℃を引き算し、1分ごとに0.6℃ずつ上昇する値(5分で3.0℃)に変換してからプロットする必要がある。
- 2023年度・大問4(2)イでも同様に、グラフで与えられた「加熱後の酸化銅の質量(1.50g、2.00g、2.50g)」から元の「銅の質量(1.20g、1.60g、2.00g)」を引き算し、「結びついた酸素の質量(0.30g、0.40g、0.50g)」に変換してからプロットする処理が求められた。
- 質量比を用いた合算(2015年・大問4)
- 2015年度・大問4(3)では、表には「陰極に付着した銅の質量(10分で0.10g、20分で0.20g、30分で0.30g)」が与えられているが、グラフの縦軸は「電気分解した塩化銅の質量(g)」である。問題文の「銅と塩素の質量の比は10:11」という条件から、陽極で発生した塩素の質量(10分で0.11g)を求め、銅と塩素を足し合わせた「0.10g+0.11g=0.21g(20分で0.42g、30分で0.63g)」をプロットする必要がある。
- 化学式・反応条件に基づく倍率換算(2021年・大問4、2012年・大問7)
- 2021年度・大問4(4)では、図中に描かれた「銅イオンの数」の直線[(0, 5)→(30, 4)]をもとに、「塩化物イオンの数」の直線をかく。塩化銅(CuCl₂)の電離では銅イオン1個に対して塩化物イオンが2個生じ、電気分解でも1:2の個数比で減少するため、初期値も減少量も2倍にした[(0, 10)→(30, 8)]の直線を引く。
- 2012年度・大問7(3)では、「陽極(酸素)・2分間」のグラフから「陰極(水素)・8分間」のグラフへ変換するため、気体の体積比(2倍)×時間の比(4倍)=8倍の数値をプロットする。
- 2つの表の結合(2022年・大問5)
- 2022年度・大問5(3)イでは、表1(小球をはなした高さと0.1秒ごとの累積移動距離)と表2(水平面での小球の速さと木片の移動距離)の2つの表が与えられ、「小球をはなした高さ」と「木片の移動距離」のグラフ作成が求められた。まず表1の水平面区間の移動距離の差から各高さでの「速さ(99cm/s、140cm/s、198cm/s)」を算出し、その速さを表2に当てはめて木片の移動距離(4.0cm、8.0cm、16.0cm)を導く2段階の処理が必要となる。
類型②:反応の過不足を示す折れ線グラフ(3問)|折れ点の特定と未反応量の区別
うすい塩酸に石灰石や炭酸水素ナトリウムを加える実験では、一方がすべて反応し終わった時点(過不足のない点)でグラフが折れ曲がる。過去15か年では次の2つのパターンが出題されている。
- 発生する二酸化炭素の質量グラフ(2019年・大問4、2014年・大問4)
- 2019年度・大問4(3)アでは、反応前後の質量差から各回の二酸化炭素発生量(0.26g、0.52g、0.78g、0.92g、0.92g)を算出し、原点(0, 0)から(1.50, 0.78)を通る比例直線と、4・5回目の0.92gを通る水平線をそれぞれ定規で引き、2本の直線が交わる点(炭酸水素ナトリウム約1.77g、二酸化炭素0.92g)で折れ曲がるグラフを作成する。
- 2014年度・大問4(2)では、実験1(塩酸24.0cm³で石灰石1.50g・二酸化炭素0.66gが上限)に対して、塩酸を16.0cm³(3分の2)に減らした実験2のグラフをかく。塩酸の量が3分の2になるため、折れ点の座標も3分の2である(1.00g, 0.44g)に移動し、それ以降は0.44gで水平になる。
- 反応せずに残った固体の質量グラフ(2022年・大問4)
- 2022年度・大問4(3)アでは、問題文に「発生した二酸化炭素の質量グラフ(石灰石3.00gで折れ曲がり1.32gで一定)」が与えられ、解答欄には「反応せずに残った石灰石の質量」のグラフをかく。石灰石3.00gまではすべて反応して残らないため、(0, 0)から(3.00, 0)までは横軸(縦軸0)の上に直線をひき、3.00gを超えた分がそのまま残るため、(3.00, 0)から(4.00, 1.00)、(5.00, 2.00)へと右上がりに伸びる折れ線をかく。
類型③:方眼上の力の矢印作図(4問)|作用点の特定と縦横の目盛り数分解
方眼紙上に力を矢印で作図する問題では、「作用点(矢印の始点)」「向き」「長さ(方眼の目盛り数)」の3要素を正確にそろえる必要がある。
- 1つの物体にはたらく重力・反作用の作図(2017年・大問5、2013年・大問2)
- 2017年度・大問5(1)(300gのおもりの重力)では、糸とつながっている上端ではなく「おもりの中心(2×2マスの中心点)」を作用点とし、100g=1N・1目盛り1Nの条件から真下へ3目盛りの矢印を引く。
- 2013年度・大問2(2)ア(ローラースケートの反作用)では、相手を押した力と「同じ作用点(二人の手が接している点)」から、逆向きに同じ長さ(3目盛り)の矢印を引く。
- 斜面上の重力の分解と、複数力の合成・つり合い(2020年・大問2、2012年・大問2)
- 2020年度・大問2(4)ア(斜面上の重力の分解)では、斜めの方眼紙上で重力の矢印の先端が「斜面に沿って右下へ3目盛り、斜面に垂直に左下へ4目盛り」の格子点にあることを確認し、長方形の2辺として2本の分力の矢印を引く。
- 2012年度・大問2(4)(O点にはたらく2力とつり合う力)では、平行四辺形を感覚でかくのではなく、2本の力を縦横の目盛り数で分解して足し合わせる。1本目が「左へ5目盛り・上下0」、2本目が「左へ1目盛り・下へ3目盛り」であるため、2力の合力は「左へ6目盛り(5+1)・下へ3目盛り」となる。したがって、これとつり合う力は正反対の「右へ6目盛り・上へ3目盛り」の格子点へ向かう矢印として一意に定まる。
類型④:光学・模式図・回路図・柱状図の作図(9問)|逆たどり法と基準値の照合
光学作図や柱状図、粒子モデルの作図では、それぞれ次の手順で位置や個数を確定させる。
- 光学作図(2023年・大問5、2022年・大問2、2016年・大問5)
- 凸レンズのスクリーン上の実像(2023年):中心「・」を対称の中心として元の図形(文字「L」)の各頂点を180度反対側(上下左右逆向き)へ配置し、表から読み取った倍率(2.00倍)の目盛り数に拡大する(文字の太さも1目盛りから2目盛りへ2倍にする点に注意する)。
- 直方体ガラスの屈折(2022年)・目のレンズの焦点(2016年):光源や物体から順方向に光線を引こうとすると入射角が分からず作図できない。必ず「目(A点)と見かけの位置を結んだ破線とガラス面の交点(2022年)」や「網膜上の結像点からレンズの中心線へ水平に戻した点(2016年)」のように、到達点側から逆向きにたどって通過点を確定させる。
- 柱状図・粒子モデル・浮沈の作図(2021年・大問6、2015年・大問2、2013年・大問4)
- 柱状図の作図(2021年・大問6(4)イ):地点A・B・Cの柱状図から、鍵層である凝灰岩層の上面が「標高57m」で水平に広がっていることを特定する。求める地点の地表標高は「60m」であるため、凝灰岩層の上面は「深さ3m(60m-57m)」の位置に入り、その上下に他の地点と同じ厚さで各岩石の模様を記入する。
- 中和の粒子モデル(2013年・大問4(1)ウ):ビーカー全体に含まれるべきイオン・水分子の総数を求めた後、必ず「すでに解答欄の枠外に描かれている粒子の数」を数えて引き算し、不足している分だけを点線枠内に記入する。
4. 初見の作図・グラフ作成問題で失点しないための4段階の確認手順
入試本番で初見の作図・グラフ作成問題に直面した際は、いきなり線を書き始めるのではなく、次の4段階の順序で条件を確認・処理することで計算ミスや読み違いを防ぐことができる。
| 確認段階 | 具体的な確認・処理内容 | 青森県過去問での代表的なチェック箇所 |
| 第1段階:軸の項目名と最小目盛りの確認 | グラフの縦軸・横軸が表の項目名と同じか(変化量や残りになっていないか)、1目盛りがいくらかを最初に確認する。 | ・縦軸が「水の温度」ではなく「水の上昇温度」(2026物理) ・縦軸が「酸化銅」ではなく「結びついた酸素の質量」(2023化学) ・縦軸の1目盛りが0.02g(2014・2015・2019化学)や20mA(2024物理) |
| 第2段階:プロット前の数値変換(加減算・比) | 表の数値から初期値を引く、別の生成物の質量を足す、時間や体積の倍率を掛けるなど、プロットする座標を計算で確定させる。 | ・各水温から初期水温18.8℃を引く(2026物理) ・銅0.10gに塩素0.11gを足して塩化銅0.21gにする(2015化学) ・2分間・酸素のグラフを8倍して8分間・水素にする(2012化学) |
| 第3段階:始点(原点・作用点)と折れ点の固定 | 原点(0, 0)を通るか、途中の折れ点で水平(または上昇)に変わるか、力の矢印の始点(作用点)がどこか、枠外に既描の図がないかを固定する。 | ・石灰石3.00gまで横軸(縦軸0)を進み、そこから上がる折れ線(2022化学) ・おもりの上端ではなく中心(重心)を作用点にする(2017物理) ・左半分に描かれた粒子数を引いた残りを枠内にかく(2013化学) |
| 第4段階:グラフ端までの延長と作図線の点検 | 直線グラフが指定された範囲(またはグラフ用紙の右端)まで定規でまっすぐ引かれているか、残すべき作図線を消していないかを点検する。 | ・(2.00, 2.50)で止めず右端の(2.08, 2.60)まで延長する(2017化学) ・「作図に用いた線は残しておくこと」の指示確認(2016物理) ・拡大図で縦・横だけでなく文字の太さも2倍になっているか(2023物理) |
青森県公立高校入試・理科の作図対策と復習手順
青森県の理科における作図・グラフ作成問題は、特殊なひらめきを要する難問ではなく、実験データの基本的な比例関係や過不足の境界、力のつり合いや光の進み方を正確に図面へ表現できるかを問う問題である。
過去問や問題集で復習する際は、解答の図を見て形だけを写すのではなく、「なぜその座標を通るのか」「表のどの数値を引き算・換算したのか」「1目盛りはいくらか」を自分の手で計算し直して再現することが重要である。
なお、2027年度の青森県公立高校入試・理科における4分野の全体構造や重点対策領域については、以下の記事および詳細レポートで解説している。あわせて受験対策に役立ててほしい。

コメント