【茨城県公立入試・英語】長文読解は「翻訳」ではない。「検索」である。~14年間変わらない「8択3正解」の絶対憲法~

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

序論:入試会場で行われている「時間の浪費」

茨城県公立入試の英語において、多くの受験生が陥る敗北パターンがある。

それは、長文読解(2025年は大問4/2024年以前は大問5)を「最初から最後まで丁寧に和訳しようとする」ことだ。

断言する。その行為は、茨城県教育委員会が仕掛けた最大の罠に嵌まっている。

我々『受検アナリティクス』が解析した過去14年分(2012-2025)のデータにおいて、茨城県の長文読解はある一つの「異常なルール」に支配されていることが判明した。

それは、他県では類を見ない「8択3正解」という設問形式の永続化である。

ここで求められているのは、文学的な翻訳能力ではない。

膨大なノイズの中から、正解のピースだけを瞬時に抜き出す高度な「情報検索(Scanning)」能力だ。

ここで求められているのは精読でも翻訳でもない。本文と選択肢を高速に往復し、整合する根拠だけを回収する「検索」である。

本稿では、14年間一度も崩れることのなかったこの「絶対憲法」を解剖し、茨城英語を攻略するための3つのアルゴリズムを提示する。


【証拠データ】14年間の「8択」全記録

まずは、我々が抽出した2012年から2025年までの全出題リストを見てほしい。

ジャンルやテーマは変われど、右端の列(設問形式)が14年間、不気味なほど一致していることに気づくはずだ。

▼ 茨城県公立入試・英語長文 出題リスト

年度 大問 テーマ(題材) 設問の決定的特徴
2025 4 【進路】 ハルカと科学者 8択内容一致 / 要約英作文
2024 5 【通信】 手紙 vs SNS 8択内容一致 / 要約英作文
2023 5 【継承】 引越しと古本 8択内容一致 / 抜き出し
2022 5 【福祉】 視覚障害サッカー 8択内容一致 / 要約選択
2021 5 【成長】 カズマの米国留学 8択内容一致 / 自由英作文
2020 5 【伝記】 ウォルト・ディズニー 8択内容一致 / 自由英作文
2019 5 【奉仕】 ケンの古靴寄付 8択内容一致 / 自由英作文
2018 5 【挫折】 怪我とカズヤ 8択内容一致 / 要約選択
2017 5 【勤労】 ケンタと父の仕事 8択内容一致 / テーマ選択
2016 5 【伝統】 アヤカと和太鼓 8択内容一致 / テーマ選択
2015 5 【対話】 英語グループ活動 8択内容一致 / 理由記述(日本語)
2014 5 【率先】 サトシのゴミ拾い 8択内容一致 / タイトル選択
2013 5 【文化】 トモコの道案内 8択内容一致 / 理由記述(日本語)
2012 5 【継続】 タケシのマラソン 8択内容一致 / 理由記述(日本語)

この表が示す事実は一つ。

「茨城県の英語は、8つの選択肢を処理できなければ土俵にすら立てない」ということだ。


アルゴリズムⅠ:全文読解を禁止する。「分割消去法」

「ア~クの中から、本文の内容に合うものを3つ選べ」。

この指示に対し、本文を最後まで読んでから選択肢を見始める受験生は、その時点で負けている。

8個の選択肢(しかも英文)の内容を、読解後まで記憶しておくことなど不可能だからだ。

8択は“記憶勝負”に見せかけた“照合勝負”である。選択肢を覚えるのではなく、本文に“根拠の位置”を作っていく。

茨城攻略の鉄則は、以下の「3行ルール」で固定することだ。

  1. スキャン(選択肢):本文を読む前に選択肢8つを見て、固有名詞・時刻・場所などの「検索ワード」だけを脳に入れる。
  2. 段落処理(照合):本文を「1段落」読むごとに選択肢に戻り、該当しそうなものを「〇/×/保留」に更新する。
  3. 確定(収束):最後に「保留」に残ったものだけを精読し、3つに絞り込む。

この「読んで止まる、読んで止まる」という反復横跳びこそが、8択の正答率と速度を最大化する唯一の作法である。


アルゴリズムⅡ:物語は「メンター」を探せば終わる

茨城県の長文(物語文)には、14年間変わらない「プロット(脚本)の型」が存在する。

それは「未熟な主人公」と「導き手(メンター)」の物語だ。

※2020年のような「伝記」であっても、「苦難→成功」という類似構造を持つため、予測読みは有効である。

  • Step 1: 未熟(Immaturity)主人公は必ず何かに困っているか、間違った認識を持っている。
    • 2015年:英語を話しすぎて周りが見えないケン。
    • 2017年:父の仕事を誤解して怒るケンタ。
    • 2023年:本への執着が捨てられないミキ。
  • Step 2: 介入(Intervention)そこに必ず「メンター」が現れ、ヒントを与える。
    • 先生、祖母、コーチ、あるいは障害を持つ選手など。
  • Step 3: 覚醒(Awakening)主人公はメンターの言葉(または行動)で改心し、成長して物語が終わる。

読解中に「困った主人公」が出てきたら、次は「誰が助けに来るか?」を探すだけでいい。

この構造を知っていれば、展開予測が容易になり、読むスピードは劇的に向上する。


アルゴリズムⅢ:記述は「翻訳」から「再構築」へ

設問形式の中で、唯一進化しているのが最終問題の記述形式だ。

14年間の変遷を見ると、出題者の「設計思想」が明確にシフトしていることがわかる。

  • 第1期(~2015):日本語記述への誘導内容を理解しているかを「日本語の理由説明」で問うていた時代。
  • 第2期(2016~2021):英語アウトプットへの移行本文を踏まえた「意見・感想」を英語で書かせる、自己表現重視の時代。
  • 第3期(2022~2025):要点の再構築(要約英作文)最新のトレンド。本文の核心(教訓や変化)を抜き出し、別の文脈(手紙やメール)の中で「英語で再構築する力」を求めている。

古い過去問(2015年以前)を解く際、日本語で書かれた模範解答を見て満足してはいけない。

「この日本語の答えを、今の茨城入試に合わせて英語で書くならどうなるか?」

この変換トレーニングを行うことでのみ、最新の難化傾向に対応できる「記述力」が養われる。


結論:「英語力」ではなく「検索OS」をインストールせよ

茨城県公立入試の英語長文は、情緒的な読み物を求めていない。

大量の英文と選択肢の中から、論理的に整合する情報を検索し、要約して出力する「情報処理テスト」である。

  • 8択は「分割消去」で潰す。
  • 物語は「メンター」を待ち伏せる。
  • 記述は「要約英作文」で仕上げる。

入試本番、周りの受験生が英文の海で溺れている横で、君だけはこの「3つのアルゴリズム」に従い、淡々と正解を回収してほしい。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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