感覚の記号化から身体的実感を伴う世界認識への変容を捉える
随筆(エッセイ)の読解において、受験生が直面する大きな課題の一つは、単なる出来事の時系列の把握にとどまらず、他者との出会いや具体的な体験を通じて「筆者の内面や世界に対する認識がどのように更新されたか」という認識の変容プロセスを客観的にたどることである。多くの学習者は、筆者の主観的な心情表現を漠然とした気分として受け取ってしまい、表現の背後にある論理的な対比関係や抽象概念の再定義を見落としがちである。しかし、高校入試の国語において求められるのは、比喩や感覚的な叙述の背後にある「変化前と変化後」「自己と他者」「記号的な処理と身体的な実感」の対立軸を精緻に読み解く力である。
2025年度の和歌山県公立高校入試・国語の大問3で出題された木村元の「音楽が本になるとき 聴くこと・読むこと・語らうこと」は、全盲のエッセイストである三宮麻由子氏の著作および本人との実際の交流を通じて、筆者の世界把握と「他者理解(ひとの身になること)」の定義が変容していく過程を描いた文章である。美しい音を失うまいと目を閉じて記憶に閉じ込めようとしていた筆者が、三宮氏の感覚世界に触れ、彼女が音を「手触りや匂いを伴う具体的でかたちあるモノ」として捉えていることに気づかされ、やがて自らの身体感覚を研ぎ澄ましていく姿が描かれている。
文章の内容や筆者の心情に共感するだけでは、入試本番で安定した得点を確保することはできない。本問を確実に解き切るためには、文脈に即した願望表現の選択、辞書的意味と心理状況の双方に合致する語句識別、比喩表現を通常の行為へと置き換える換言力、対比関係に基づく空欄補充、そして本文中の3つの並列要素を過不足なく統合して指定条件に収める60字記述(問5(2))を処理する客観的な手順が不可欠である。本稿では、各設問の解法手順に基づき、2025年度和歌山県大問3の全問について、その思考プロセスを分解・明示する。
『音楽が本になるとき 聴くこと・読むこと・語らうこと』(木村元)の要約と論理構造
本文は、筆者の感覚に対する認識が、二つの契機(三宮氏の本の読書、および三宮氏本人との歩行体験)を経て深まり、最終的に世界への対峙の仕方が更新される構造を持つ。
- 論理の全体構造
- 第1段落〜第3段落(変化前の筆者と三宮氏の著作との出会い)筆者は冒頭、美しい音や風景に触れた際、その感覚が薄れるのを惜しんで目を閉じ、記憶に刻み込もうとしていた。この段階では、後に示されるような複数の感覚の結びつきを、筆者はまだ十分には意識していない。友人の紹介で三宮麻由子氏のエッセイ本を受け取った筆者は、当初「気後れ」を感じつつも読み進め、要点だけを拾い読みする仕事上の読み方とは異なり、著者の感覚を追体験するように一文字一文字を丁寧に味わう読書のあり方に気づく。
- 第4段落〜第6段落(三宮氏の世界認識の発見と自己の振り返り)三宮氏の文章を通じ、筆者は、三宮氏が単に聴覚の鋭さによって世界を捉えているのではなく、聴覚と視覚とが一体となるような仕方で世界を「聴いて=見ている」のではないかと考える。さらに、音の手触りや匂いまでも感じられるような表現から、彼女が「音を具体的でかたちあるモノ」として捉えていることに気づく。これに対し筆者は、従来の自らの音楽の聴き方が、音を地図上の記号のように分類・整理するだけの「表面的」なものであったと深く内省する。
- 第7段落〜第9段落(三宮氏本人との歩行体験と「ひとの身になる」ことの再定義)三宮氏本人と実際に会い、街を並んで歩く中で、筆者は地面の凹凸や階段までの距離を身体全体で鋭敏に感じ取るようになり、「感覚の解像度が上がった」状態を経験する。筆者はここで、「ひとの身になる」とは、他者の立場を頭の中で概念的に想像することではなく、「自分の五感をより細やかにし、その感覚に集中し、感覚の対象を具体的なものとして新鮮に受け止めること」であると理解する。最後には、夜空の響きを聴くために目を閉じる必要はもはやないという認識へ至る。
筆者と三宮氏の出会いを通じた「感覚と世界認識」の対比マトリクス
| 比較項目 | 筆者の従来のあり方(変化前) | 三宮氏の文章・本人との出会いから得た気づき | 筆者が獲得した新たなあり方(変化後) |
| 読書・受容の姿勢 | 要点やあらすじを素早くつかみ、効率的に処理する。 | 一文字一文字を踏みしめ、足裏から伝わる感触のように味わう読み方がある。 | 著者の感じたことを、表現そのものを味わいながら追体験する。 |
| 音の捉え方 | 曲名や地図記号のように分類・整理し、表面的な把握にとどまる。 | 聴覚と視覚の一体化や、音の手触りや匂いまで伴う**「具体的でかたちあるモノ」**としての把握。 | 音を記号化せず、身体感覚を通じて具体的かつ新鮮に受け止める。 |
| 感覚の受け止め方 | 感覚の喪失を恐れ、目を閉じて記憶に閉じ込めようとする。 | 表現を通じて音のかたちを確かめ、心の中に受け止めて持ち帰ることができる。 | 五感を働かせて世界を直接受け止めるため、目を閉じる必要がなくなる。 |
| 「ひとの身になる」ことの捉え方 | 他者の立場を頭の中で抽象的・概念的に想像すること。 | 一緒に歩く体験を通じて、身体の感覚そのものが敏感に変化する。 | 五感を細やかにし、感覚に集中し、対象を具体的・新鮮に受け止めること。 |
全問解答一覧
| 問 | 正答・答案 | 選択肢・答案内容 | 形式・条件 |
| 問1 | ウ | 「いいのになあ」 | 文末補充(最も適切なものを1つ) |
| 問2 | ア | 「圧倒されて心がひるむこと。」 | 語句の意味(最も適切なものを1つ) |
| 問3 | イ | エッセイの著者が感じたことを、その表現も味わいながら追体験するように読むこと。 | 内容説明(最も適切なものを1つ) |
| 問4 | エ | 「表面」 (本文「表面的」) | 空欄補充(最も適切なものを1つ) |
| 問5 (1) | 音を具体的でかたちあるモノ | (三宮氏の世界の捉え方) | 抜き出し(文中から13字でそのまま抜き出す) |
| 問5 (2) | 自分の五感をより細やかにし、その五感がとらえた感覚により集中し、感覚の対象を具体的なものとしてそのつど新鮮にうけとめる。 | (「ひとの身になる」の具体的な説明) | 記述(「五感」という語を用いて60字以内・60字) |
【大問3】各設問の解答解説と思考手順
問1 「この感覚を薄れさせない方法があれば」に続く言葉
- 手順1(設問要求):本文中の空欄A「この感覚を薄れさせない方法があれば、」に続く言葉として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲と文脈):空欄Aを含む第2段落冒頭を精査する。
- 「A この感覚を薄れさせない方法があれば、[ ]と心から思う。なんとかして、その光景を記憶に刻み、とどめておこうと、目を閉じる。」
- 手順3(論理整理):
- 「心から思う」「なんとかして〜とどめておこう」という叙述から、筆者が「感覚を失わずに維持できる方法が存在してほしい」と強く願っている心理が読み取れる。
- 条件節「〜があれば」に呼応し、実現を望む願望表現が接続されなければならない。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア「いいのだろうか」:疑問や懸念を表す表現であり、心からの強い願望と調和しない。
- イ「いいはずがない」:強い反語的否定となり、筆者の願いと正反対の意味になる。
- ウ「いいのになあ」:「〜があれば、いいのになあ」という典型的な願望の文脈を形成し、直後の心情描写と合致する。
- エ「いいそうだ」:伝聞または客観的な様態を表す表現であり、自己の内面的希求を示す文脈に合わない。
- 結論:ウ
問2 「気後れ」の意味
- 手順1(設問要求):本文中の傍線部B「気後れ」の意味として最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲と文脈):第3段落の記述を確認する。
- 「友人の紹介で三宮氏の本を預かったとき、かすかにB 気後れのようなものを感じた。」
- 直後:「全盲にもかかわらず仏語堪能、ピアノも音大をめざしたほどの腕前で、現在は外資系通信社に勤務という。周囲にも何人か彼女の文章のファンがいて、それがまた気後れを増大させた。」
- 手順3(語義の確定):
- 「気後れ(きおくれ)」とは、相手の優れた資質や状況の重圧などに圧倒され、心がひるむこと、尻込みすることを意味する。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア「圧倒されて心がひるむこと。」:辞書的語義および「三宮氏の多彩な才能や周囲の評判に気圧された」という文脈に合致する。
- イ「がっかりして気がなえること。」:失望や意気消沈を表す語であり不適切。
- ウ「注意が他のものに移ること。」:気が散る状態を表す語であり不適切。
- エ「気配りのため神経が疲れること。」:気疲れや気苦労を表す語であり不適切。
- 結論:ア
問3 「著者といっしょに連れ立って道を歩くように読む」とはどういうことか
- 手順1(設問要求):傍線部C「エッセイというのは、著者といっしょに連れ立って道を歩くように、一文字一文字を踏みしめながら、足裏から伝わってくる感触を味わうようなものなのだろう。」とはどのような読み方を表現したものか。最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
- 手順2(根拠範囲の特定と対比関係の把握):傍線部Cの直前段落(第3段落後半)を精査する。
- 仕事で読む専門書・研究書:「記述の要点を飛び飛びにたどっていってもそれなりに読みこなすことができる。地図を見て、世界の地理的なあらましを把握するようなものだ。」(=効率重視の要点把握・あらすじ読み)
- 接続詞「けれど」を挟んでエッセイの読み方(傍線部C)へと展開している。
- 手順3(比喩の換言):
- 「著者といっしょに連れ立って道を歩く」 $\to$ 著者の体験や心情の動きを同じ目線でたどる(追体験)。
- 「一文字一文字を踏みしめながら、足裏から伝わってくる感触を味わう」 $\to$ 言葉を読み飛ばさず、表現そのものの響きや味わいを丁寧に受け取る。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア(不適切):「あらましをたどって味わいながら記憶するように」は、直前で対比された「専門書の読み方(あらましを把握する)」と混同している。
- イ(適切):「エッセイの著者が感じたことを、その表現も味わいながら追体験するように読むこと」は、比喩の二大要素(著者の感情の追体験+表現そのものの鑑賞)を的確に言語化している。
- ウ(不適切):「記号として分析しながら記録する」は、本文が後に批判的に言及する機械的な把握に近い。
- エ(不適切):「時間をかけて分析しながら要約するように」は、仕事の読み方の延長であり、エッセイを味わう姿勢と合致しない。
- 結論:イ
問4 筆者のそれまでの聴き方はどのようなものだったか
- 手順1(設問要求):本文中の空欄にあてはまる最も適切な語をア〜エから一つ選択する。
- 空欄を含む文:「これまでのわたしの聴き方は、それにくらべてどんなに[ ]的だったろう。」
- 手順2(根拠範囲と指示語の指示内容):第6段落冒頭の指示語「それにくらべて」を起点に対比を追跡する。
- 「それ」=直前の三宮氏の感覚世界:「音の手触りや匂いまでも感じられるようだ」「音を具体的でかたちあるモノとしてつかみとり、そのままたしかめ、心の奥底まで持って帰ることができる。」
- 「わたしの聴き方」=「音と音との連なりを、地図上の丸印と丸印を結んだ鉄道路線のように見てはいなかっただろうか。」「枠内に押し込めて満足していた」「外へ出て歩いたり、川のせせらぎに手を浸したりする感覚を忘れ」
- 手順3(論理整理):
- 三宮氏側:感覚を働かせ、音を実体感のある具体的なものとして捉える。
- 従来の筆者:音の記号的連なりや枠組みだけを外側から整理・分類するにとどまっていた。
- したがって、「実質に踏み込まず、外見や記号の次元にとどまっていた」ことを意味する語が入る。
- 手順4(選択肢の照合):
- ア「受動」:主体的/受動的の対立軸はここでは論じられていない。
- イ「本質」:三宮氏の把握こそが本質に近く、筆者自身を「本質的」と反省するのは文意が逆転する。
- ウ「重層」:複数の感覚を重ね合わせているのは三宮氏の側である。
- エ「表面」:「表面的だったろう」とすることで、記号的な枠組みに満足し、身体的な実感や具体性を欠いていた自己の聴き方を省みる文脈に合致する。
- 結論:エ
問5 筆者の「考え方の変化」を図から読み取る
問5 (1) 図中Ⅰに入る13字の抜き出し
- 手順1(設問要求):図中の[ Ⅰ ]にあてはまる語句を、文中から十三字でそのまま抜き出す。
- 図の文脈:【きっかけ①】三宮さんが書いた本との出会い $\to$ 筆者が気づいたこと「三宮さんは、音をとおして世界を見ている。=視覚と聴覚が一体となって、[ Ⅰ ]として世界を認識している。」
- 手順2(根拠範囲の探索):第4段落末尾〜第6段落冒頭を精査する。
- 第4段落末尾:「聴覚と視覚とが、目の見える者には想像のつかないような仕方で一体となって、世界を聴いて=見ているのではないか。」
- 第6段落冒頭:「聴覚と視覚の融合というだけではなく、三宮さんの表現からは、音の手触りや匂いまでも感じられるようだ。彼女は音を具体的でかたちあるモノとしてつかみとり、……」
- 手順3(文法的な接続と字数の照合):
- 図の空欄直後の助詞「として」に直結する名詞句を探索する。
- 「音を具体的でかたちあるモノ」+「として」
- 文字数:音(1)・を(2)・具(3)・体(4)・的(5)・で(6)・か(7)・た(8)・ち(9)・あ(10)・る(11)・モ(12)・ノ(13)=過不足なく13字。カタカナ表記も含めて本文と完全に一致する。
- 結論:音を具体的でかたちあるモノ
問5 (2) 「ひとの身になる」とはどういうことか(記述)
- 手順1(設問要求と指定条件の確認):
- 内容:図中の[ Ⅱ ]にあてはまる「ひとの身になる」についての説明。
- 条件①:「五感」という語句を用いる。
- 条件②:六十字以内で書く(句読点やその他の符号も一字に数える)。
- 手順2(根拠範囲の特定):第8段落末尾〜第9段落冒頭を精査する。
- 「『ひとの身になる』とはこういうことかと思った。他者の立場に身をおいてみる――表現としてはまちがっていないだろうが、どことなく概念的に流れるきらいがある。自分がそなえている五感をより細やかにすること、その五感がとらえた感覚により集中すること。そして、感覚の対象をできるかぎり記号的に処理せず、具体的なものとしてそのつど新鮮にうけとめること。それがその夜の帰り道で、わたしが知らずおこなっていたことだった。」
- 手順3(答案パーツの抽出と字数調整):本文には「ひとの身になる」の実質的な内容として、以下の3つの並列要素が挙げられている。
- 要素①:自分の五感をより細やかにすること
- 要素②:その五感がとらえた感覚により集中すること
- 要素③:感覚の対象を(できるかぎり記号的に処理せず、)具体的なものとしてそのつど新鮮にうけとめること
- 本文では名詞節(「〜こと」)で3つ並列されているが、そのまま並べると字数を超過するため、要素③の「できるかぎり記号的に処理せず」を省略し、前2つの文末を連用形(「〜し、」)で接続して一文に統合する。
- 手順4(答案の合成と字数計算):
- 合成:「自分の五感をより細やかにし、その五感がとらえた感覚により集中し、感覚の対象を具体的なものとしてそのつど新鮮にうけとめる。」
- 文字数:句読点を含めてジャスト60字(60字以内の条件を上限いっぱいで充足)。
- 結論:自分の五感をより細やかにし、その五感がとらえた感覚により集中し、感覚の対象を具体的なものとしてそのつど新鮮にうけとめる。
授業ではここまで扱う:随筆文における認識変容の整理手順
実際の授業では、単に正答の記号や模範解答を確認するにとどまらず、随筆文において「他者との関わりを通じて自己の認識が深まるプロセス」を客観的に整理する手順を指導する。
認識変容の4段階プロセス
本問では、筆者の認識が一度に変化するのではなく、三宮氏の文章との出会い、本人との出会いという二つの契機を経て段階的に深まっている。
| 変容段階 | 本文における具体的な契機と事象 | 筆者の内面・感覚のあり方 | 読解・解法上の着眼点 |
| ① 変容前 | 美しい音や風景を記憶にとどめようとする。 | 感覚が薄れるのを恐れ、目を閉じて記憶に閉じ込めようとする。 | 複数の感覚の結びつきをまだ十分に意識していない状態を押さえる。 |
| ② 契機① (読書体験) | 三宮麻由子氏のエッセイ本を一文字ずつ丁寧に読む。 | 要点処理の読書から、著者の経験と表現を味わう読書へ移行する。 | 比喩(道を歩く)を通常の行為(追体験)へと換言する(問3)。 |
| ③ 契機② (対面体験) | 三宮氏本人と夜の街を並んで歩く。 | 「感覚の解像度が上がった」ように、足裏や身体で世界を感じ取る。 | 「音を具体的でかたちあるモノ」とする他者の把握を共有する(問5(1))。 |
| ④ 変容後 | 自らの五感を働かせ、世界を直接受け止める。 | 「ひとの身になる」ことを身体的に実感し、目を閉じる必要がないという認識に至る。 | 「他者の立場を想像する」という一般的・抽象的な説明を、具体的な感覚の働かせ方として捉え直す(問5(2))。 |
重要なのは、「他者の立場を想像する」という一般的・抽象的な説明で終わらせず、筆者が本文中でそれをどのような具体的な感覚の働かせ方(五感を細やかにすること)として捉え直したのか、その過程を本文記述から客観的にたどることである。
【2025年度和歌山県公立高校入試・大問3から整理する】国語・随筆文の対策と復習手順
2025年度の本問では、情緒的な叙述の中に客観的な対比と認識の発展が織り込まれた随筆文が出題され、語句・文脈把握・比喩換言・空欄補充・抜き出し・指定字数記述まで、文章の構造を的確に把握する総合力が試された。対策においては、主観的な読み込みを排し、以下の客観的な処理手順を定着させることが重要である。
- 1. 比喩表現の「構成要素分解と日常語への置換」問3のように、比喩表現の意味内容を問われた場合、「全体の雰囲気」で選択肢を選んではならない。「著者といっしょに歩く(=著者の目線に立つ・追体験)」「一文字一文字を踏みしめる(=表現を丁寧に味わう)」というように、比喩を構成する各パーツを通常の言葉へ1対1で置き換え、過不足なく対応している選択肢を論理的に選定する習慣をつける。
- 2. 対比構造を利用した「空欄前後の照合」問4のように自己の内省に関わる空欄補充では、直前の指示語(「それにくらべて」)を手がかりに、対比のターゲットを明確にする。比較対象である三宮氏の把握(立体的・具体的・感覚の広がり)と、筆者自身の従来の把握(平面的・記号的・枠組み重視)の落差に着目することで、「表面的」という正解へ客観的にたどり着くことができる。
- 3. 記述問題における「並列要素の抽出と文末の接続処理」問5(2)のように複数要素を含む60字記述では、本文から該当するパーツ(①五感を細やかにする、②感覚に集中する、③対象を具体的に新鮮に受け止める)をまず漏れなく拾い上げる。その上で、修飾句を適宜削ぎ落とし、各節を連用形(「〜し、」)で接続して一文にまとめることで、制限字数の上限(60字ジャスト)を過不足なく満たす答案を組み立てる訓練を積む。
過去問演習の復習においては、「単に正解したかどうか」にとどまらず、「比喩のどの言葉が選択肢のどの語句に対応していたのか」「問5(2)の記述で本文の3つの柱をすべて回収できていたか」を点検することが、初見の文章でも、本文根拠に基づいて安定して処理するための手順となる。

コメント