【解法アナトミー】2026年前期 名古屋大英語 大問1:睡眠と記憶のメカニズム

※本記事は、客観的分析のため『だ・である調』で統一しています。

2026年前期の名古屋大学(英語大問1)は、睡眠と記憶の定着(consolidation)をテーマにした、旧帝大らしい骨太な長文である

名古屋大学の英語において、長文の文脈を何となく追うだけの読み方は致命的なミスに直結する。空所補充から和訳、記述に至るまで、すべてにおいて「英文の構造的ルール」と「情報展開の論理」という客観的な根拠が求められる 。本稿では、感覚やフィーリングを排除し、論理と構造のルールに従って解答の必然性を導き出す手順と「型」を公開する。

目次

1. 語法から骨格を確定する問題における「動詞の語法」と「接続パーツ」の処理

問2において、パズル感覚で単語を並べ替えるアプローチは厳禁である 。指定された位置の語句を書き出す形式であっても、まずは動詞を確定し、その語法(文型)から骨格を組み立てる手順が必要だ

選択肢の中で述語動詞になれるのは flags のみである flag A as B(AをBとして目印をつける、みなす)という構造を予測し、目的語となる名詞 the material をAに配置する

次に、等位接続詞 and の前後には文法上同じ働きをするものがくるというルールを適用する 。選択肢の形容詞 importantworthy を並列させ、important and worthy というカタマリを形成する 。さらに worthyworthy of ~(〜の価値がある)という形をとるため、worthy of future consolidation と繋げる

これらを as being B のBの部分に流し込むことで、... as if the reward flags the material as being important and worthy of future consolidation. という英文が完成する 。結果として、2番目は the material、4番目は important、6番目は of となる

2. 和訳問題における「名詞節」と「関係詞」の正確な把握

問3の下線部和訳において、文意を決めるには、文法的判断をすべてに優先させなければならない

まず、not just A but B(単なるAではなくBである)の構文が、a passive resting statean active process を対比させている全体構造を把握する 。次に、an active process の直後の that は、後ろに動詞 shapes が続く不完全な文であるため、関係代名詞であると判別する

さらに、動詞 shapes の目的語として、等位接続詞 andwhat we rememberhow we use it という2つの名詞節を繋いでいる構造を見抜く what の後ろは必ず不完全な文になり、ここでは remember の目的語が欠けているため「私たちが何を記憶するのか(記憶するもの)」と訳出する how we use it は「私たちがそれをどのように活用するのか」となる

これらを組み立て、「睡眠は単なる受動的な休息状態ではなく、私たちが何を記憶するかを形づくり、その記憶をどのように用いるかを方向づける能動的な過程なのである」という解答を的確に導き出す。

3. 空所補充における「情報構造」と「論理マーカー」の回収

段落の頭の空所(問4)や文中の語彙補充(問5)は、英語の情報構造である「核心→詳しい説明・具体例」のルールに従って処理する

  • 問4-① / 問5(あ):対比関係の発見 空所の直後で participants learn pairs of words ... to varying degrees という具体例が始まっている 。weakly learned(弱く学んだ)ものが睡眠の恩恵を受け、対照的に strongly learned(強く学んだ)ものは改善が少ないと論じられている 。ここから、①の核心は (C) One important factor is how well the material was learned... が適切であると判断できる 。また、問5(あ)は「すでに確立された記憶(well established)」との対比から、弱く不完全な状態を表す (D) fragile を選択する 。
  • 問4-② / 問5(い):具体化からの抽象化 空所②の直後では、断片的な情報から教わっていない関係性を推論し、点と点を繋ぐ(connecting the dots)脳の働きを具体的に説明している 。したがって②には (D) Sleep also plays a role in connecting the dots between pieces of information. が入る 。問5(い)は、新しい関係性の認識が朝のひらめき(aha moment)と「類似している」文脈となるため、(B) analogous が正解となる 。
  • 問4-③:話題転換の接続空所③の直後では、感情的な内容を含む画像や、報酬と結びついた情報が睡眠中に優先的に定着しやすいことが述べられている。したがって、ここには (A) Emotionally charged memories also receive special treatment during sleep. が入り、以後の具体例を導く役割を果たす。
  • 問4-④ / 問5(う):逆接による論理展開 空所④の直後は In fact と続き、厳しい条件(干渉がある状態)で睡眠の効果が明確になる、すなわち情報の「耐性」を作るプロセスが説明されている 。ゆえに④にはプロセスによる情報の変化に言及した (F) ...we should also consider how such information is changed by the process. が入る 。問5(う)は、doesn't make memories more generally ( ), but makes them more stable and resilient という構造から、よりアクセスしやすくなるわけではないが安定性を増すと考え、(A) accessible を特定する 。

結論:理解の快感と、本番環境での再現性の壁

名古屋大学が受験生に要求しているのは、単語をつなぎ合わせただけの曖昧な推測ではない。盤石な構文把握力と、情報展開のルールを正確になぞる論理的思考力である。

解説を読んで理解することと、本番の極限状態において初見の英文に対し、同じ処理を自力で再現することの間には極めて大きな壁が存在する。名古屋大学の要求水準に到達し、本番での再現性を高めるためには、正しい手順を繰り返し適用する訓練が不可欠である。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

コメント

コメントする

目次