岩手県公立入試における英語の攻略は、「とにかく多くの英文に触れて英語の感覚(フィーリング)を養うこと」ではない。「構文と論理マーカーが指定する条件を、機械的に処理していく手順」を身につけることである。当然ながら、教科書レベルの基礎単語(動詞の不規則変化や基本的な名詞など)の暗記は不可欠だ。しかし、単語の日本語訳をパズルのようにつなぎ合わせて「なんとなくのストーリー」を創作するだけの読み方では、設問が求める正確な文意把握や語順整序には到達できない。合格に必要なのは、単語の意味を知っているだけではなく、構文が指定する「文脈の展開」を正確に予測し、処理する手順である。
岩手県公立入試・英語(大問5〜10)重要構文・論理マーカー抽出データ
過去2年間(2024年・2025年)の岩手県公立高校入試の英語長文および対話文において、文脈の把握や設問の解答根拠として決定的な役割を果たした重要語彙・構文の統合データを示す。重複を排除し、合否を分ける要素のみを抽出している。
| 英単語/熟語/構文 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(出典・文脈・テーマなど) |
lend O1 O2 | 動詞の語法 | O1にO2を貸す | 語順整序で出題される第4文型の核 |
make O C / make O do | 動詞の語法 | OをCにする / Oに~させる | 使役動詞および第5文型。因果や機能の描写 |
help O do | 動詞の語法 | Oが~するのを手伝う | 他者への支援や状況好転の描写 |
ask O to do | 動詞の語法 | Oに~するよう頼む | 語順整序における動詞の後続パーツの知識 |
tell O 疑問詞 S V | 構文 | Oに~かを教える | 間接疑問文の構造 |
give up ~ing | 動詞句 | ~するのを諦める | 動名詞を目的語に取る動詞の型 |
keep ~ing / continue ~ing | 動詞句 | ~し続ける | 物語文における動作や努力の継続 |
be not good at ~ing | 形容詞句 | ~するのが得意ではない | 物語文における主人公の自己評価・課題の描写 |
be successful in ~ing | 動詞句 | ~することに成功する | 具体的な事例における成果の描写 |
by ~ing | 群前置詞 | ~することによって | 評論文における手段・解決策の提示 |
decide to do | 動詞句 | ~することを決心する | 物語文における主人公の意思決定 |
be able to do | 助動詞的 | ~することができる | 対話文における能力表現 |
have heard of ~ | 動詞句 | ~の噂を聞いたことがある | 対話文における経験の描写 |
become interested in ~ | 動詞句 | ~に興味を持つようになる | 対話文における状態・心理の変化 |
be made from ~ | 動詞句 | ~から作られている | 製品や素材の説明(原料) |
be kind to ~ | 形容詞句 | ~に親切である | 人物評価の文脈 |
something rude | 名詞句 | 何か失礼なこと | thing+形容詞の後置修飾 |
If I were ~, I would ... | 構文 | もし私が~なら、…するだろう | 条件英作文における仮定法過去の型 |
while S V | 接続詞 | SがVしている間に | 特定の状況下での動作の説明 |
because of ~ | 群前置詞 | ~が原因で | 【論理マーカー】特定の事象の理由・原因の提示 |
so | 接続詞 | だから | 【論理マーカー】因果関係の順接 |
For example | 副詞句 | 例えば | 【論理マーカー】評論文における具体例への展開標識 |
Though S V | 接続詞 | SはVするけれども | 【論理マーカー】譲歩(予想と逆の結果への遷移) |
However | 副詞 | しかしながら | 【論理マーカー】評論文における逆接・予想の反転 |
岩手県公立入試・英語における長文・対話文の構造的課題
上記のデータから明らかなように、岩手県の英語入試は「なんとなく読める」ことを許容しない。特定の動詞が要求する文法的なパーツ(目的語や補語、不定詞など)の正確な配置と、ディスコースマーカーによる論理展開の把握が徹底的に問われている。
【長文読解】論理マーカー(Though / However)が規定する「状態遷移」の予測手順
長文の中で、接続詞や副詞は単なる装飾語彙ではない。それは次にどのような情報が配置されるかを指定する「標識」である。
具体的な決定ルールを提示する。長文や対話文の中で Though S V(SはVするけれども) や However(しかしながら) という表現を見つけたら、即座に以下の手順を実行せよ。
- 前提条件の固定:
Thoughに続く内容、あるいはHoweverの直前の文を「一般的な予想」や「固定された前提」として認識する。 - 予想の反転を予測: その直後の主節(または続く文)には、その前提から予測される当然の結果を裏切る「予想外の事実」「困難な状況を打破する行動」が置かれると予測して読む。
例えば、「わかめはよく料理に使われるが(前提)、問題を解決するためにも使われる(反転)」といった展開だ。この型に従えば、未知の単語が含まれていても、文脈全体の大きな方向性(プラスからマイナスへ、あるいはその逆)を見失う重大な失点パターンを回避できる。
【重要構文・語順整序】動詞句(make / ask / tell)の後続パーツを瞬時に見抜く型
岩手県の入試(特に文法や整序問題、英作文)において、動詞の意味を単体で覚えることは危険である。make や ask、tell といった動詞は、後ろにどのような「パーツ」を引き連れるかが厳格に決まっている。
ここでの手順は、「特定の動詞を見たら、セットになる後続パーツ(O + C、あるいは O + to do)を無意識に探す」という型である。
例えば、ask を見たら即座に ask O to do(Oに~するよう頼む)の構造を想定し、make を見たら make O C(OをCにする)や make O do(Oに~させる)の形を頭に浮かべる。
また、tell も単独で「言う」と覚えるだけでは不十分である。tell O 疑問詞 S V の形では、「Oに、いつ・どこで・何をするのかを教える」という間接疑問文の構造になる。このとき、疑問詞の後ろは疑問文の語順ではなく、S V の平叙文語順になる。つまり、tell を見た瞬間に「誰に伝えるのか」と「何を伝えるのか」という2つのパーツを探す必要がある。
これにより、単語のパズルではなく、確固たる文法規則に基づいた正確な語順整序が可能になる。
合否を分けるのは「正しい手順」の徹底である
英語の読解力や記述力は、一部の生徒が持つ「語学のセンス」や「幼少期からの英会話の才能」に依存するものではない。入試英語とは、データに基づき淡々と文法ルールと論理展開の型を適用していく客観的な作業である。この事実を受け入れることが、確実な得点力向上の第一歩となる。
今日から直ちに取り組むべきアクションは以下の3点である。
- 論理マーカーの視覚化: 長文を読む際、
However,Though,because of,For exampleなどの論理マーカーには必ず印(四角で囲む等)をつけ、予想の反転や因果関係の構造を視覚的に把握する訓練を行うこと。 - 動詞と後続パーツのセット暗記: 単語帳で動詞を覚える際は、日本語訳だけでなく「後ろにどの形(to do や ~ing、あるいは O C)を伴うか」という型まで完全にセットで覚えること(例:
give upの後は必ず~ing)。 - 自己流の直訳からの脱却: 単語を適当につなぎ合わせて自分勝手なストーリーを作ることをやめ、主語・動詞・修飾語の構造ルールに従って文意を確定させること。
自己流の学習(ただ単語帳を眺めたり、丸付けをして終わりの漫然とした過去問演習)だけでは、出題者が仕掛けた真の構造的意図や、自身に欠けている要素に気づくことは難しい。当研究所が提示したこの型(手順)を徹底するか、必要に応じて、正しい文構造の読み方を指導できる専門的な教材・指導を活用すべきだ。

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