福島県公立入試の英語攻略において、「自分はフィーリングではなく、一つひとつの英単語をちゃんと日本語に訳して読んでいる」と思い込んでいる受験生は多い。しかし、実はそこに大きな落とし穴がある。
たとえば、2025年度(大問3)に出題された英文内の influence を文法的な構造(SVOなどの語順)から客観的に「動詞」として判定するのではなく、「前後の文脈から、名詞として日本語を当てはめた方がしっくりくるから」と決めてしまう状態。あるいは、不定詞(to+動詞)の訳し方を修飾関係から決めず、適当な日本語を順番に当てはめて探り当てようとする状態。これこそが、最も危険な「フィーリング読み(和訳依存)」の正体である。
もちろん、中学レベルの基本的な英単語や基礎文法の暗記は不可欠だ。しかし、上位校の合否を分ける良問は、まさにそのような「文法構造の判定を飛ばし、日本語の響きで辻褄を合わせる生徒」が失点につながるように設計されている。入試英語の攻略は、日本語への意訳コンテストではない。語彙・構文の客観的なシグナルを見落とさず、論理の展開を予測する「解法の型」の適用である。
抽出データ:解答の根拠となる重要語彙・構文リスト
当研究所の分析に基づき、2024年度および2025年度の過去問から、単なる直訳ではなく「文脈の展開」を決定づける重要語彙・構文群を統合した。
| 英単語/熟語/構文 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(出典・文脈・テーマなど) |
| Though / though | 接続詞 | 〜だけれども | 【論理マーカー】譲歩。Though節の条件から通常予想される結果と、主節で示される現実とのずれを作る。 |
| But | 接続詞 | しかし | 【論理マーカー】逆接・対比の導入 |
| because | 接続詞 | 〜なので、なぜなら | 【論理マーカー】因果関係。原因の固定化 |
| so ~ that … | 構文 | とても〜なので…だ | 【論理マーカー】程度の強調とそれに伴う因果関係(結果)の明示 |
| even if | 接続詞 | たとえ〜だとしても | 【論理マーカー】譲歩条件。仮にその条件が成立しても、主節の判断・行動・結果が変わらないことを示す。 |
| according to | 前置詞句 | 〜によると | 【論理マーカー】発言・調査・資料など、情報の出所を提示する。 |
| by doing so | 副詞句 | そうすることによって | 【論理マーカー】手段と結果の論理的接続 |
| not only A but also B | 相関接続詞 | AだけでなくBも | 【論理マーカー】情報の追加。AにBを追加して情報を強める。 |
| at first | 副詞句 | 最初は | 【論理マーカー】初期状態を提示し、後続で認識・行動・状況が変化する可能性を示す。 |
| Even now | 副詞句 | 今でも | 【論理マーカー】過去から現在まで状態が続いていることを示す継続。 |
| [期間] has / have passed since S V | 構文 | SがVしてから[期間]が経過した | 状態の継続と時間の経過 |
| how to get to | 連語 | 〜への行き方 | 行き先の確認手段(疑問詞+不定詞) |
| get curious | 動詞+形容詞 | 興味を持つようになる | 状態の変化を示す |
| influence | 動詞 / 名詞 | 影響を及ぼす / 影響 | 因果関係を示すキーセンテンス |
| be surprised to do | 動詞句 | 〜して驚く | 感情の原因(不定詞の副詞的用法) |
| feel like ~ing | 連語 | 〜したい気がする | 心情描写 |
| decide to do | 動詞+不定詞 | 〜することに決める | 行動の選択・状況の変化 |
| It is natural for A to do | 構文 | Aが〜するのは当然である | 判断の客観的提示(形式主語構文) |
| introduce A to B | 動詞句 | AをBに紹介する | 異文化交流などの具体例 |
| be proud of | 連語 | 〜を誇りに思う | 心情の固定 |
| I wish I could ~ | 構文 | 〜できたらいいのに | 現在の事実とは異なる願望の表明(仮定法過去) |
| enjoy ~ing | 連語 | 〜して楽しむ | 過去の体験の具体化 |
| increase by | 動詞句 | 〜(の差)だけ増える | 統計データの客観的な変動幅の提示 |
| at a glance | 副詞句 | 一目で | 視認性など優位性を示す根拠 |
福島県公立入試 英語:客観的データに基づく構造解剖
設問の解答根拠となる箇所では、論理マーカーや重要構文が手がかりになることが多い。日本語の響きに頼った「なんちゃって和訳」を続けることは、自ら失点パターンに陥る行為に等しい。
【読解全般】論理マーカーが示す「文脈展開」の型
英語の読解で重要なのは、英文を順番に日本語へ置き換えることではない。構文のルールに従い、論理マーカーが前後の情報にどのような関係を与えているかを確認して、次の展開を予測することである。
- 決定ルール1:because・so ~ that … による因果関係の固定
becauseを見た場合は、その節を原因として固定し、主節に示された結果と結びつける。so + 形容詞・副詞 + that ...を見た場合は、程度が非常に大きいため、that節の結果が生じた構造として処理する。例えば、”I was so shy that I couldn’t talk to anyone.” であれば、「非常に内気だった」という程度の大きさが、「誰にも話しかけられなかった」という結果につながっている構造を客観的に捉える。 - 決定ルール2:Though・even if による予想と現実のずれ
Though A, Bを見た場合は、Aから通常予想される結果を一度言語化し、それとは異なる現実Bがどのように示されたかを確認する。これにより、対比的な行動や事実が続くことを予測できる。even if A, Bを見た場合は、仮にAという条件が成立しても、Bの判断・行動・結果は変わらないという構造として処理する。 - 決定ルール3:情報源・手段・追加・継続を区別する
according to ~は情報源を示す。by doing soは、直前の行動を手段として結果へ結びつける。not only A but also Bは、AにBを追加して情報を強める。Even nowは、過去から現在まで状態が続いていることを示す。
論理マーカーを見つけたら、すべてを漠然と順接や逆接として処理せず、「因果・譲歩・情報源・手段・追加・継続」のどれに当たるかを構文ルールに基づいて分類して読むことが重要である。
才能やセンスではない。正しい手順を徹底せよ
英語の読解を「幼少期からの英語経験や、一部のセンスを持つ生徒だけの得意科目」と信じ込むのは、世間にはびこる誤った通念である。合否を分けるのは、日本語の不自然さを補うようなセンスではなく、客観的な「正しい型(手順)」の徹底である。
今日から直ちに以下のアクションを開始せよ。単なる英単語の丸暗記や、「日本語として意味が通れば正解」とする漫然とした過去問演習だけでは、出題の真の構造や、自身に不足している処理手順へ気づきにくい。
- 論理マーカーの徹底的な視覚化: 英文を読む際は、
But、Though、so that、not onlyなどのマーカーに必ず印をつけ、文脈展開を知らせる構造的シグナルとして認識すること。 - 文法構造に裏打ちされた事前予測: マーカーの後ろを物理的に隠し、「因果・譲歩・情報源・手段・追加・継続」のどれに当たるかを分類し、論理的な展開を予測してから続きを読み進める型を訓練すること。日本語の響きで品詞や意味を勝手に決定しない。
- 構造を確認できる教材・指導の活用: 「なんとなく意味が通じた」レベルで満足する自己流を捨てること。文法や構文のルールに基づく的確な分析が提示された教材や指導を活用し、客観的な解答手順を確実に定着させること。

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