2025年度 岡山県公立高校入試 国語 大問3 真田純子『風景をつくるごはん 都市と農村の真に幸せな関係とは』解説と解法分析――「人本位」と「環境本位」の二項対立から両立の論理を導く読解手順

目次

風景の美しさをめぐる「人本位」と「環境本位」の二つの評価軸と、その両立を捉える

論説文・説明的文章において、「自然や景観を守るべきだ」という主張を扱う際、多くの学習者は「人間が自然を破壊せず、美しい環境を大切に保護しよう」という一般的な環境保護論に思考を委ねてしまいがちである。しかし、高校入試の国語で真に問われるのは、そうした紋切り型の教訓ではなく、「そもそも何をもって『美しい風景』と定義するのか」という根本的な基準の差異を客観的に捉え、対立する二つの評価軸を筆者がどのように調停・統合しようとしているのか、その思考の道筋を論理的に追跡する力である。

2025年度の岡山県公立高校入試・国語の大問3で出題された真田純子の『風景をつくるごはん 都市と農村の真に幸せな関係とは』は、風景の評価基準をめぐる多角的な検討を通じて、持続可能な社会における人間と環境の望ましい関係性を追究した論説文である。各自治体と住民の合意に基づく制度設計を行う「景観法」と、土地固有の風土や農業に適応した景観を重視する「美の里プラン21」を比較し、前者を「人本位」、後者を「環境本位」と類型化した上で、景観工学の知見を手がかりに人間の風景評価には変わりにくい部分と、時代や社会によって変化しうる部分があることを整理していく。

文章の趣旨を漠然と捉えるだけでは、入試本番で設問の要求を満たす解答を作成することはできない。本問を確実に解き切るためには、文法規則(上一段活用)の判定、行政施策の背景にある論理の抽出、対比マトリクスに基づく空欄補充、字数指定(7字抜き出し、40字以内記述)を満たす情報処理、そして文章全体の構成・展開を俯瞰する視点が不可欠である。本稿では、各設問の解法手順に基づき、2025年度岡山県大問3の全問について、その思考プロセスを分解・明示する。

『風景をつくるごはん』(真田純子)の要約と論理構造

本文は、美しさを定義する二つの政策の比較から出発し、環境本位と人本位の対立、景観工学に基づく人間の風景認知の分析を経て、人本位の評価軸を環境本位へ近づけるという統合の道筋を提示する構造を持つ。

  • 論理の全体構造
    • 第1段落〜第2段落(景観法における「手続き」の規定)景観法では、国が一律に良好な景観の内容を定めるのではなく、各自治体が公聴会などで住民の意見を聞きながら地域ごとに目指す景観を決める仕組みを採用している。景観の美しさには主観が関わるため、国が一つの絶対的な基準を決めるのが困難であり、法律上は「地域ごとに美しさを考える手続き」のみが定められた。
    • 第3段落〜第4段落(美の里プラン21と二つの評価軸)農林水産省の「美の里プラン21」では、自然の造形を背景とし、気候風土に適した農業が編み出す景観を美しい風景と捉えている。筆者は、景観法のように現在住む人々の合意を美しさのベースとする立場を「人本位」、美の里プランのように自然の造形や気候風土をベースとする立場を「環境本位」と名づけて対比する。
    • 第5段落〜第6段落(二項対立の限界と景観工学の導入)持続可能な環境のためには「環境本位」が望ましいが、農村経済を活性化するためには人々が「良い」「美しい」と評価する観光的魅力(人本位)も欠かせない。この課題を解決するため、筆者は景観工学を手がかりに、人間が風景を評価する要因(生存本能、身体構造、価値観・倫理観、美意識、環境意識)を検討する。
    • 第7段落〜第8段落(人本位の評価の可変部分と両立への展望)生存本能や身体構造に根ざす評価は不変であるが、社会の価値観や倫理観から生じる評価は時代とともに変化する。したがって、環境意識の向上を通じて「人本位」の評価軸を「環境本位」の評価軸へと近づけることが可能であり、環境にとって望ましい風景と人間が経済面も含めて良いと思う風景を両立させることが持続可能な社会づくりの目標となる。

「人本位」と「環境本位」の対比マトリクス

比較項目人本位の評価軸(文章前半)環境本位の評価軸(文章前半)
代表的な施策景観法(国土交通省管轄)美の里プラン21(農林水産省策定)
美しさのベース現在、その地域に住む人びとの合意自然の造形や気候風土、適応した農業
決定のあり方各自治体・住民が手続きを経て個別・相対的に決定。自然の造形や気候風土、それに適した農業が生み出す風景を評価。
重視される要素現在その地域に住む人々が「良い」「美しい」と判断すること。持続可能な環境。
筆者の統合案社会の価値観や倫理観の変化を通じて、人本位の評価軸を環境本位の評価軸へと近づけ、両者を両立させる。

全問解答一覧

問正答・答案選択肢・答案内容形式・条件
(1) d複雑(「フクザツ」の漢字書き取り)漢字書き取り
(1) eか(「刈り込んだ」の「刈」の読み)読み(印刷された送りがなを除く)
(2)イ・オイ:着ていく/オ:借りる文法・活用の種類(すべて選択)
(3)ア景観法では、景観を主観的な美しさと捉えており、目指すべき景観を法で一律に決めるのは難しいと考えているため。理由選択(最も適切なものを1つ)
(4)ウⅠ:景観法、Ⅳ:自然の造形や気候風土表の組み合わせ選択(最も適切なものを1つ)
(5) X価値観や倫理観(時代や社会によって変化する評価要因)抜き出し(本文から7字)
(5) Y環境をベースとした美しい風景と、経済のためにも人が良いと思う風景を両立させる(評価軸を近づけることで可能になること)記述(指定形式接続・40字以内・38字)
(6)ウ景観工学における風景の考え方と具体例を紹介することで、どのような風景を「美しい風景」とするかの判断材料を示している。構成・内容の特徴(最も適切なものを1つ)

【大問3】各設問の解答解説と思考手順

(1) 漢字・読み

d 「フクザツ」

  • 手順1(設問要求):本文中の傍線部d「フクザツ」を漢字に直して楷書で書く。
  • 手順2(文脈と字形判定):
    • 文脈:「実際には、風景の評価はもう少しフクザツである。」
    • 意味:多数の要素が入り組んでおり、単純に割り切れない状態。
    • 漢字:「複(衣偏+復の右側)」および「雑(九+木+隹)」。
  • 結論:複雑

e 「刈り込んだ」

  • 手順1(設問要求):本文中の傍線部e「刈り込んだ」の「刈」の読みをひらがなで書く。
  • 手順2(注意点:問題用紙のレイアウト):
    • 問題用紙の解答欄には「ⓔ( )り込んだ」と送りがなが既に印刷されている。
    • したがって、「かりこんだ」と全て書くと重複による誤答となる。枠内には語幹の読みである「か」のみを記入する。
  • 結論:か

(2) 「み」と活用の種類が同じもの(文法)

  • 手順1(設問要求と条件):
    • 本文中の傍線部b「美の里プラン21をみてみよう」の「み」と、活用の種類が同じ動詞をア〜オの中からすべて選ぶ。
  • 手順2(基準動詞「みる」の活用判定):
    • 「みて」の基本形(終止形)は「見る」である。
    • 否定の助動詞「ない」を接続させると、「見(み)-ない」となり、直前の音がイ段(み)になるため、上一段活用(マ行上一段活用)である。
  • 手順3(選択肢の各動詞の活用判定):
    • ア「出席する」:基本形「出席する」。サ変動詞「する」であり、サ行変格活用。
    • イ「着ていく」:基本形「着る」。「着(き)-ない」となり、直前の音がイ段(き)となるため、上一段活用(カ行上一段活用)。合致する。
    • ウ「買おう」:基本形「買う」。「買(わ)-ない」となり、直前の音がア段(わ)となるため、五段活用(ワ行五段活用)。
    • エ「考えている」:基本形「考える」。「考(え)-ない」となり、直前の音がエ段(え)となるため、下一段活用(ア行下一段活用)。
    • オ「借りる」:基本形「借りる」。「借(り)-ない」となり、直前の音がイ段(り)となるため、上一段活用(ラ行上一段活用)。合致する。
  • 結論:イ・オ

(3) なぜ「地域ごとに美しさを考える」という手続きだけを定めたのか

  • 手順1(設問要求):傍線部a「『地域ごとに美しさを考えるという「手続き」のみを定めた』とありますが、その理由を説明したものとして最も適切なもの」をア〜エから一つ選択する。
  • 手順2(根拠範囲の特定):第1段落末尾〜第2段落を精査する。
    • 「実際には、景観法では、各自治体が景観計画を策定するさいに、公聴会など住民の意見を聞きながら目指すべき景観を決めることとなっている。つまり、法で一律に良好な景観を決めるのではなく、各地域で決めるといった仕組みになっているといえる。」
    • 国交省へのインタビュー:「『景観というような主観的な美しさをだれが決めるのか、そもそも決めることができるのか、どのようにしてそれを担保していくのかなど国の法律でやろうとするといくつも解決しなければならない課題があったわけです』」
  • 手順3(論理整理):
    • 美しさは人々の「主観」に関わるため、国が法律によって全国一律の具体的な景観基準を定義することは困難である。
    • そのため、国が中身を一律に強制するのではなく、各自治体が住民参加のもとで地域ごとに考える「手続き」の枠組みのみを法律に規定した。
  • 手順4(選択肢の照合):
    • ア(適切):「景観法では、景観を主観的な美しさと捉えており、目指すべき景観を法で一律に決めるのは難しいと考えているため」は、本文の理由説明と完全に一致する。
    • イ(不適切):「良好な景観を地域ごとに決めることは不可能であると考えているため」は本文と正反対(地域ごとに決める仕組みを採用している)。
    • ウ(不適切):「最終的に国が良好な景観を保証するべきと考えているため」は本文の記述に反する。
    • エ(不適切):「景観について主観的な判断は不要と考えているため」は誤り。主観的な美しさを前提としている。
  • 結論:ア

(4) 「人本位」と「環境本位」の評価軸

  • 手順1(設問要求):傍線部c「前者の評価軸……『人本位』、後者の評価軸を『環境本位』」について、本文の内容をもとに整理された表の[Ⅰ]と[Ⅳ]に入る言葉の組み合わせとして最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
  • 手順2(表の構造と本文の照合):
    • 表の分類枠:
      • 「人本位」 $\to$ 関係する法律など[ Ⅰ ]/美しさのベース[ Ⅱ ]
      • 「環境本位」 $\to$ 関係する法律など[ Ⅲ ]/美しさのベース[ Ⅳ ]
    • 本文の記述(第3段落〜第4段落):
      • 「景観法で定められた手続きによる美しさの決め方は、人びと、しかも『現在、その地域』という限定された人びとの合意による美しさである。」 $\to$ 人本位:関係する法律=景観法[Ⅰ]、ベース=現在、その地域に住む人びとの合意[Ⅱ]。
      • 「美の里プランでは、気候風土に即した農業がつくる風景を美しいと定義しており、環境本位の評価軸である。」「自然の造形をベースに、気候風土に適した農業のかたちが生みだす風景」 $\to$ 環境本位:関係する法律など=美の里プラン[Ⅲ]、ベース=自然の造形や気候風土[Ⅳ]。
  • 手順3(問われている組み合わせの抽出):
    • 設問が要求しているのは[Ⅰ]と[Ⅳ]の組み合わせである。
    • [Ⅰ]=景観法、[Ⅳ]=自然の造形や気候風土。
    • 選択肢ウがこの組み合わせに完全に合致する。
  • 結論:ウ

(5) 「持続可能な社会をつくる」ための評価軸(抜き出し・記述)

X (抜き出し:本文から7字)

  • 手順1(設問要求と指定条件):
    • 説明文の空欄Xに入る言葉を、本文中から7字でそのまま抜き出す。
    • 説明文の文脈:「『美しい風景』を決める人本位の評価軸の中には、時代や社会における[ X ]による評価のように変化するものもあるから、……」
  • 手順2(根拠範囲の探索):第7段落を精査する。
    • 「生存本能や体の構造からくる評価は不変であるが、社会の価値観や倫理観からくる評価は、その時代には普遍的なように思えて、案外簡単に変わっていくのだ。」
  • 手順3(字数と文脈の確認):
    • 説明文の「時代や社会における[ X ]による評価」に適合する名詞句を照合する。
    • 該当文字列:「価値観や倫理観」
    • 文字数:7字(指定と完全に一致)。
  • 結論(X):価値観や倫理観

Y (記述:40字以内)

  • 手順1(設問要求と指定条件):
    • 内容:傍線部f「持続可能な……社会をつくる」について、筆者が人本位の評価軸を環境本位の評価軸に近づけることで何が可能になると考えているのかを説明する。
    • 条件:40字以内で書く。
    • 指定形式への接続:設問文の末尾は「人本位の評価軸を環境本位の評価軸に近づけることで、[ Y ]ことができると考えているため。」となっているため、答案は末尾の「ことができる」に文法的に直接つながる形(動詞の終止形など)で結ぶ。
  • 手順2(根拠範囲の精査):第5段落および第8段落を精査する。
    • 課題の提示(第5段落):「持続可能な環境を目指すという観点からは、環境本位で評価される風景を重視するのが良いと考えられる。しかし一方で、農村の経済を活性化させるには観光という要素も重要で、これは人びとに良いと思ってもらえなければ成り立たない。」
    • 解決の方向性(第8段落):「それはすなわち、現在私たちが思う『美しい風景』をいかにしてつくるかという発想ではなく、持続可能な環境にとっての『環境本位』での『美しい風景』を目標にして、それが『人本位』でも美しいとされる社会をつくる――という考え方である。」
  • 手順3(論理整理と必須要素の抽出):
    • 筆者が達成しようとしている目標は、二者択一ではなく両者の統合である。
    • 要素①:環境にとって望ましい(環境をベースとした)美しい風景。
    • 要素②:農村経済(観光)のためにも人々が良いと思う風景。
    • 要素③:この二つを「両立させる」こと。
  • 手順4(答案の合成・指定形式接続・字数計算):
    • 答案:環境をベースとした美しい風景と、経済のためにも人が良いと思う風景を両立させる
    • 指定形式への接続確認:「人本位の評価軸を環境本位の評価軸に近づけることで、[環境をベースとした美しい風景と、経済のためにも人が良いと思う風景を両立させる]ことができると考えているため。」となり、文法・意味ともに過不足なく接続する。
    • 文字数:句読点を含めて38字(40字以内の指定を過不足なく充足)。
  • 結論(Y):環境をベースとした美しい風景と、経済のためにも人が良いと思う風景を両立させる

(6) 本文の構成と内容の特徴

  • 手順1(設問要求):文章全体の「構成と内容の特徴」について説明したものとして最も適切なものをア〜エから一つ選択する。
  • 手順2(論理構成の俯瞰):
    • 前半:法律・施策(景観法と美の里プラン)を取り上げ、「人本位」と「環境本位」という二つの評価軸を提示。
    • 中盤〜後半:なぜ人が風景を良いと思うのかについて「景観工学」の知見を引き、生存本能、身体構造、価値観・倫理観、美意識などの多面的な理由と具体例(西洋庭園と日本庭園、復興期の工場煙突など)を挙げて説明。
    • 結び:評価軸の可変性に基づき、持続可能な社会づくりのための判断材料を提示。
  • 手順3(選択肢の照合):
    • ア(不適切):「国交省へのインタビューや農水省のプランの内容を引用することで、『美しい風景』を維持することが難しい根拠としている」は誤り。インタビュー等は維持の難しさの根拠ではなく、美しさの定義基準の差異を説明するために用いられている。
    • イ(不適切):「国が示す定義を否定する理由を論の中で展開することで」は誤り。筆者は国の定義を否定していない(そもそも景観法が一律の定義をしていないことを紹介している)。
    • ウ(適切):「景観工学における風景の考え方と具体例を紹介することで、どのような風景を『美しい風景』とするかの判断材料を示している」は、第6段落以降の展開と文章全体の狙いを客観的に過不足なく要約している。
    • エ(不適切):「都市と農村の様子を対立的に書くことで、我々の生活を変える必要性を訴えている」は本文にない。
  • 結論:ウ

授業ではここまで扱う:二つの評価軸を両立させる読解手順

実際の授業では、単に正答の記号や模範解答を確認するにとどまらず、政策論や景観論を扱った論説文において「対立する二つの評価軸がいかにして整理され、両立へと着地していくか」を客観的に図式化する手順を指導する。

二つの評価軸から両立への4段階プロセス

本問では、「人本位」と「環境本位」という二つの評価軸を示したうえで、どちらか一方を捨てるのではなく、両者を近づけていく方向へ論が進んでいる。

段階本文における論理の展開読解・解法上の着眼点
① 二つの評価軸の提示
(前半)
景観法(住民の合意に基づく「人本位」)と美の里プラン(風土と農業に基づく「環境本位」)を対比する。美しさのベースが「人の合意」なのか「自然の造形や気候風土」なのかを整理し、対比を固定する(問3・問4)。
② 二者択一の不可能性の確認
(中盤)
環境には環境本位が望ましいが、農村経済(観光)を成立させるには人本位の評価も不可欠である。「環境か経済か」という単純な二者択一に陥らず、双方が必要とされる理由を押さえる。
③ 認識要因の階層分析
(中盤〜後半)
景観工学を手がかりに、不変の要因(本能・体)と可変の要因(価値観・倫理観)を区別する。人間の評価軸は固定されたものではなく、「変化しうる余地」があることを見抜く(問5-X)。
④ 統合・両立の提示
(結末)
環境意識の醸成により人本位を環境本位へ近づけ、双方が美しいとされる社会を目指す。双方の価値を調停し「両立させる」という結論を正確に記述に落とし込む(問5-Y・問6)。

重要なのは、「筆者は自然を守れと主張している」という表層的な読みで満足することではない。「環境にとって良い風景」と「人間が経済面も含めて良いと思う風景」という一見相反する要求を、人間の風景評価には時代や社会によって変化しうる部分があることに着目してどのように橋渡ししたのか、その論理的な組み立てを文章から正確に復元することである。

【岡山県】国語・論説文の対策と復習手順

2025年度の本問では、現代の政策や景観工学に関わる骨太な論説文が出題され、語句・漢字・文法・理由選択・表の整理・抜き出し・40字以内記述・文章全体の構成把握まで、論理的読解に必要な全要素が極めて高い完成度で試された。対策においては、感覚的な読書を排し、以下の客観的な処理手順を定着させることが重要である。

  • 1. 文法問題における「活用を判別する手順」の徹底(2)のように活用の種類を問われた場合、感覚に頼らず「ない」をつけたときの直前音で機械的に分類する。「見(み)ない」「着(き)ない」「借(り)ない」のように、イ段音になる上一段活用を一定の手順で迷わず判別できるようにしておく。
  • 2. 対立概念の表整理と「設問のピンポイント要求」への着地(4)のように対比構造を表に整理する問題では、まず本文の記述に基づいて表全体の4つの空欄(Ⅰ〜Ⅳ)を完全に復元する。その上で、「問題文が実際に求めているのはどの記号の組み合わせか(本問ではⅠとⅣ)」という設問条件に立ち戻り、転記ミスや勘違いによる失点を防ぐ。
  • 3. 条件付き記述における「二つの要件の統合と指定語尾への接続」(5)Yのように筆者の主張をまとめる記述では、本文の対立軸である「環境」と「経済(人間の判断)」の双方を盛り込み、「両立させる」という核心の述語を導く。さらに、設問文の枠組み(「〜ことができると考えているため」)に文法的・意味的にそのままつながる文末処理(「〜を両立させる」)を厳密に点検する習慣をつける。

過去問演習の復習においては、「単に正解を選べたか」で終わらせず、「(3)でなぜ国が手続きしか定められなかったのかを本文から説明できるか」「(5)Yで環境と経済の二大要素を過不足なく入れられたか」「(6)でなぜウ以外の選択肢が明確な誤りなのかを根拠づけられるか」を徹底的に検証することが、初見の論説文でも本文根拠に基づいて安定して高得点を獲得するための確かな土台となる。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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