【2025・2026年】北海道大学前期英語 大問1〜4:論理マーカーで読む長文・要約問題の解法

北海道大学の前期英語では、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の功罪、インバウンド観光とオーバーツーリズムの相克、電気自動車普及に伴うエネルギー構造の転換、さらには世代間ギャップやラップ音楽の歴史的変遷など、現代社会が抱える構造的な課題が正面から問われる。これらは単なる語学の試験にとどまらず、現代社会の構造的課題を題材にしながら、受験生が英文中の主張・対立・因果関係をどこまで正確に処理できるかを問う、知的負荷の高い出題枠組みとして機能している。

しかし、テーマや背景知識を知っているだけでは、実際の入試問題で正答を導き出すことはできない。本番の限られた時間内で正確に設問を処理し、得点可能性を最大限に高めるためには、論理マーカー(接続表現)を道標とした客観的な「思考手順(型)」の言語化が不可欠である。当研究所が2025年および2026年の過去問データから抽出した以下の精密な分析リストを証拠として提示する。

【統合版】2025・2026年 北海道大学 前期英語 語彙・構文分析リスト

英単語/熟語/構文品詞日本語の意味備考(出典・文脈・テーマなど)
However副詞しかしながら【論理マーカー】予想・前提に反する事実
While / Although接続詞~だけれども、~の一方で【論理マーカー】譲歩条件と主節の対立
Despite前置詞~にもかかわらず【論理マーカー】予想される結果に反する事実
On the other hand熟語他方では、その一方で【論理マーカー】別視点・対照軸の提示
In other words熟語換言すれば、つまり【論理マーカー】直前の具体例や主張の抽象化・要約
Furthermore / Moreover副詞その上、さらに【論理マーカー】追加・情報の補強
Were it not for ~構文もし~がなければ【論理マーカー】仮定法・反実仮想
unconditionally副詞無条件に2025年大問1:UBIの定義
no strings attached熟語条件なしで2025年大問1:UBI批判の中心表現
anticipated problems名詞予想される問題2025年大問1:冒頭の主題
get replaced by ~熟語~に置き換えられる2025年大問1:自動化による雇用喪失
remedy名詞解決策、治療法2025年大問1:AIによる失業問題への対策
steady income名詞安定した収入2025年大問1:UBIの利点
not seen since before the Great Depression熟語大恐慌以前以来見られない2025年大問1:下線部③の重要部分
undermine動詞~を損なう、弱体化させる2025年大問1:UBIが労働の重要性を損なうという批判
assumption名詞思い込み、仮定2025年大問1:UBI批判への反論
lack of character / lack of cash名詞人格の欠如/現金の欠如2025年大問1:最終文の対比
shape A into B熟語AをBへ形づくる2025年大問2:下線部①の中心
source of affection and care名詞愛情と世話の源2025年大問2:空所アの根拠
my rock名詞私の支え2025年大問2:下線部②の比喩
rise above misfortune熟語不運を乗り越える2025年大問2:resilience の具体化
resilience名詞回復力、立ち直る力2025年大問2:bounce backの抽象化
civic-mindedness名詞公民意識、公共心2025年大問2:祖父母の地域貢献
contend with ~熟語~に対処する2025年大問2:下線部⑤の重要表現
compassion名詞思いやり、深い同情2025年大問2:高齢者に対する理解
explosive growth名詞爆発的な成長2025年大問3:冒頭の主題
inbound tourism名詞訪日観光2025年大問3:本文主題
revitalize動詞~を再活性化する、復興させる2025年大問3:国家経済の回復
capacity and infrastructure名詞受け入れ能力とインフラ2025年大問3:Question Bの根拠
overtourism名詞オーバーツーリズム、観光公害2025年大問3:インバウンド増加の負の側面
strike a balance between A and B熟語AとBのバランスをとる2025年大問3:結論の核
compromise動詞~を損なう、犠牲にする、危うくする2025年大問3:社会・文化・環境面を損なわない
discouraged形容詞落ち込んでいる2025年大問4:空所1の候補
relate to ~熟語~と関係を築く、共感する2025年大問4:空所4の正答候補
synonymous形容詞同義の2025年大問4:DIYと技術利用の関係
selectively副詞選択的に2025年大問4:プライバシー保護のための利用
language barrier名詞言語の壁2025年大問4:空所12の根拠
well-versed in ~熟語~に精通している2025年大問4:技術が苦手という評価
be traced back to ~熟語~にさかのぼる2026年大問1:空所アの正答根拠
draw on ~熟語~を利用する、取り入れる2026年大問1:複数ジャンルを取り込む説明
take hold熟語定着する、支配力を持つ2026年大問1:下線部①付近の重要表現
dissatisfaction with authority名詞権威への不満2026年大問1:下線部②の根拠
mainstream popular culture名詞主流の大衆文化2026年大問1:商業化の転換点
weaken the original message熟語本来のメッセージを弱める2026年大問1:下線部③の中心
non-offensive形容詞無難な、攻撃的でない2026年大問1:商業化後の歌詞の特徴
profit-driven形容詞利益主導の2026年大問1:レコード会社による支配
born out of poverty熟語貧困から生まれた2026年大問1:空所イの正答根拠
sub-genres名詞派生ジャンル2026年大問1:現在のラップの多様化
account for熟語~を占める2026年大問1:市場シェアを示す表現
lasting impression名詞長く残る印象2026年大問2:冒頭の主題
What struck me was ~構文私に強く印象に残ったのは~2026年大問2:下線部①の構文
regardless of ~熟語~に関係なく2026年大問2:僧侶の食べ方
cling to ~熟語~に執着する2026年大問2:detachment の具体化
contrast with ~熟語~と対照をなす2026年大問2:二つの食事経験の比較
communal celebration名詞共同体的な祝い2026年大問2:空所ア(joyful chaos)を判断する周辺根拠
common ground名詞共通点2026年大問2:結論部の中心
presence名詞今ここにいる感覚、現在性2026年大問2:本文の結論
be fully engaged in the moment熟語その瞬間に完全に関わる2026年大問2:本文の最終主張
detachment名詞分離(思考や感情に執着せず距離を置く)2026年大問2:思考や感情から距離を置く実践
accessible形容詞取り組みやすい2026年大問2:瞑想が一般人に開かれている状況
interfere with ~熟語~を妨げる、干渉する2026年大問2:集中を妨げること
originate in ~熟語~に由来する2026年大問3:用語の発生
be picked up by ~熟語~に取り上げられる2026年大問3:メディア拡散
be considered bad manners熟語行儀が悪いと見なされる2026年大問3:西洋側の見方
be equivalent to ~熟語~に相当する2026年大問3:harassment との接続
cultural significance名詞文化的意義2026年大問3:第2段落の主張
practical benefits名詞実用的な利点2026年大問3:第3段落の主題
flavor perception名詞風味の知覚2026年大問3:実用的利点
manage temperature熟語温度を調整する2026年大問3:実用的利点
engagement in the meal名詞食事への没入・関与2026年大問3:Question B の根拠
be aware that ~熟語~に気づいている2026年大問4:空所1の正答候補
difficult to deny熟語否定しにくい2026年大問4:Sakura の譲歩
produce harmful emissions熟語有害な排出物を出す2026年大問4:空所3の根拠
rely heavily on ~熟語~に大きく依存する2026年大問4:空所4の根拠
renewable energy名詞再生可能エネルギー2026年大問4:解決策側
transition period名詞移行期2026年大問4:結論部
be exploited熟語搾取される2026年大問4:労働環境問題(非倫理的な扱い)
degrade動詞劣化する2026年大問4:バッテリーの経年劣化
ongoing innovation名詞継続的な技術革新2026年大問4:Yuki の結論
ethical responsibility名詞倫理的責任2026年大問4:Sakura の結論
whole picture名詞全体像2026年大問4:会話の到達点
目次

北海道大学 前期英語 長文読解・要約:対比・換言の構造分析

【長文読解・要約】論理マーカーを起点とした「文脈の反転と要約」の型

北大レベルの長文読解において、論理マーカーは単なる日本語訳のための接続語ではない。それは、筆者の主張の骨格を浮かび上がらせ、設問の正答根拠を特定するための「客観的な標識」である。

【決定ルール】逆接・譲歩マーカーが現れたら、直前の前提・通念と、直後に示される反転後の主張をセットで照合する。

However や Despite は、単に「しかし」「にもかかわらず」と訳すための語ではない。直前に置かれた一般的な通念、批判、期待をいったん受け止めたうえで、その後に示される筆者の評価・反論・結論へ読者を移動させる標識である。したがって、設問処理では「逆接の後だけ」を見るのではなく、「何が前提として置かれ、それがどのように反転したのか」を一組で確認する必要がある。

過去問の具体例を見てみよう。2025年大問1(UBIに関する文章)では、以下のような一文が登場する。

“…giving people free money would lead to irresponsibility and undermine the importance of work in society. However, recent studies have not supported this assumption.”

(無償でお金を与えることは無責任さにつながり、社会における労働の重要性を損なうだろう。しかし、近年の研究はこの仮定を支持していない。)

ここで受験生が取るべき手順は、前半の「労働の重要性を損なう(undermine)」という批判側の思い込み(assumption)を前提として認識した上で、However を起点として筆者がその通念をデータに基づき客観的に退けている構造を見抜くことである。設問では、まさにこの「批判の否定と反論への移行」という状況の変化が問われることが多い。

同様に、要約問題で頻出する反実仮想の構文も、主張を決定づける強力なマーカーとして機能する。2025年大問4の要約では以下のような文脈が問われた。

Were it not for technology, his Japanese colleague points out, he could not be functional in a contemporary university…”

もしテクノロジーがなければ、彼が現代の大学で職務をこなすことはできないだろうと、彼の日本人の同僚は指摘する…)

Were it not for ~ を見つけた瞬間に、「テクノロジーの存在が、現代の大学で職務をこなすための必要条件として示されている」と変換する必要がある。この日本人同僚による指摘(要約)の構造を正しく処理することで、要約の空所で必要な語の方向性をかなり絞りやすくなる。

英語長文の読解は、正しい構造分析手順の徹底である

難関大の英語長文において、「圧倒的な単語の暗記量」や「幼少期からの読書量に基づく読解のセンス(フィーリング)」だけで乗り切ろうとするのは、世間が信じている誤った通念に過ぎない。合否を分けるのは、曖昧な感覚ではなく、データに基づき淡々と論理構造を解体する「正しい型(手順)」の徹底である。

論理マーカーを客観的に処理し、前提と反転のセットを浮かび上がらせる手順を身につけなければ、複雑な構文と膨大な語彙に処理が追いつかず、根拠の取り違えによる失点を重ねやすくなる。今日から直ちに取り組むべきアクションは以下の3点である。

  1. 論理マーカーの抽出と照合訓練:長文を読む際は必ず逆接、譲歩、換言のマーカーに印をつけ、「何が前提とされ、どのように反転・要約されたか」をセットで追跡すること。
  2. 正答根拠の言語化:過去問演習の際、答え合わせをして終わるのではなく、「本文のどのマーカーを起点とした表現が、設問の正答を決定づけたか」を他人に説明できるレベルまで言語化すること。
  3. 反実仮想や換言表現の即時処理Were it not forIn other words に遭遇した際、それを単なる和訳の対象とせず、「必要条件の提示」や「具体から抽象への移行」を示す構造のシグナルとして処理する手順を反復すること。

用語の丸暗記や、漫然と過去問演習を繰り返すだけの自己流の学習では、出題の背後にある真の構造や、自身に不足している処理手順へは決して気づきにくい。当研究所が提示したこの客観的な型を徹底し、確実な得点力へと昇華させることだ。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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