2025年度 和歌山県公立高校入試 国語 大問2 更科功『禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか』解説と解法分析――霊長類の果実食と脳の大型化における「相関と因果」の検証・条件付き記述読解手順

目次

進化のプロセスを解き明かす科学的論説文における「仮説検証」の論理を捉える

自然科学分野を扱った論説文・説明的文章において、筆者が提示する科学的考察の枠組みは、一見すると直感的な常識や単純な原因・結果の関係と乖離することがある。多くの学習者は、「脳が大きい動物ほど知能が高い」「果実を食べて知能が必要になったから脳が大きくなった」といった直線的な図式で現象を捉えがちである。しかし、高校入試の国語において求められるのは、そうした思い込みを排し、「二つの事象の間に統計的な関連が見られること(相関関係)」と「一方が他方を引き起こしたこと(因果関係)」を厳密に区別し、筆者がどのような証拠(エネルギーの収支や化石記録)に基づいて仮説の妥当性を検討しているのかを、本文の記述から客観的にたどる力である。

2025年度の和歌山県公立高校入試・国語の大問2で出題された更科功の『禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか』は、霊長類における「果実食への移行」と「脳の大型化」の関係性を多角的に考察した文章である。植物の葉と果実が持つ生態学的な意味の違いから始まり、果実を見つけるための高度な情報処理(記憶と予測)、脳の大きさを評価する複数の尺度(絶対重量・体重比・脳化指数)、そして相関関係から因果関係の可能性を検討するための二つの根拠(エネルギー面と化石記録)へと論理が緻密に展開されている。

科学的な背景知識を持っているだけでは、入試本番で合格ラインを超える答案を作成することはできない。本問を確実に解き切るためには、傍線部直前にある因果の接続詞を手がかりにした目的記述、多義語の文脈的識別、複数条件を満たす正確な抜き出し、表の測定尺度の固定、そして指定された書き出しに過不足なく接続する2つの条件付き記述(各60字以内)を処理する客観的な手順が不可欠である。本稿では、各設問の解法手順に基づき、2025年度和歌山県大問2の全問について、その思考プロセスを分解・明示する。

『禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか』(更科功)の要約と論理構造

本文は、植物器官の対比から霊長類の食性変化を導き、脳の測定基準の吟味を経て、果実食が脳の大型化の契機となった可能性を二方向から検証する構造を持つ。

  • 論理の全体構造
    • 第1段落〜第2段落(葉の防御と果実の誘引:植物器官の対比)植物にとって葉は光合成を行う重要な器官であるため、動物に食べられないよう硬さ(セルロース・リグニン)や消化の悪さ、毒などの防御工夫が凝らされている。葉食の霊長類は解毒と消化に多大なエネルギーを割く必要があり、脳に回す余力が乏しい。一方、果実は種子散布のために動物に食べてもらう必要があるため、エネルギー源となる糖を豊富に含み、基本的には毒など入っておらず、消化しやすい。
    • 第3段落〜第4段落(果実食に伴う情報処理の高度化)熱帯雨林の果実は空間的・時間的に散在しているため、果実食を行うには「どこに果実の木があるか(記憶)」と「いつ熟すか(予測)」という高度な時空間の情報処理が不可欠となる。この探索行動が、大量の情報を蓄積・処理する脳の発達を促した可能性が提示される。
    • 第5段落〜第6段落(脳の大きさを測る3つの尺度と脳化指数)単に「脳が大きいほど知能が高い」とはいえない。絶対的な重さ(マッコウクジラが最大)、体重に対する比率(トガリネズミなどの小型動物が過大評価される)、そして体の大きさによる偏りを統計的に補正した「脳化指数(EQ)」という3つの尺度を峻別する必要がある。本文で紹介される統計的研究では、葉食より果実食の霊長類の方が統計的に脳が大きい(EQが高い)ことが示されている。
    • 第7段落〜第8段落(相関から因果関係の可能性を検討する:二つの根拠)果実食と脳の大きさの間に「相関関係」があるからといって、直ちに「果実食が原因で脳が増大した」という因果関係は確定しない。筆者はこの因果の妥当性を二つの証拠から慎重に検討する。第一に、脳という大消費器官を大型化するには食物から大量のエネルギーを取り込む必要があり、果実の糖分がそれを可能にしたという「エネルギー面の理由」。第二に、初期霊長類のプルガトリウスの化石から、果実食に適した歯を持っていたにもかかわらず脳はまだ小さかったという「時間順序(化石記録)の理由」である。これらにより、果実食が脳の大型化の最初のステップであった可能性が高いと結論づけられる。

「葉」と「果実」の生態学的対比マトリクス

比較項目植物の「葉」植物の「果実」
植物側の生存戦略光合成を行う重要器官であり、動物に食べられたくない種子を散布してもらうため、動物に進んで食べてほしい
含まれる成分・性質セルロース・リグニン(硬い)、毒を含む、糖が少ない毒は基本的には含まれず、消化しやすく、糖が豊富
動物側の消化負担解毒と消化に多大なエネルギーを消費し、太鼓腹になる。消化が容易で、効率的に多くのエネルギーを獲得できる。
獲得に必要な能力どこにでもあるため、果実ほど、場所や時期を記憶・予測する必要がない空間的・時間的に散在するため、「記憶」と「予測」が必要
脳への影響消化器官にエネルギーを取られ、脳に回す余力がない。豊富な糖によるエネルギー供給や、記憶・予測を要する探索が、脳の大型化に関係した可能性が考えられる

全問解答一覧

正答・答案選択肢・答案内容形式・条件
問1動物に好きなように食べられないようにするため。(葉にさまざまな工夫がされている目的)記述(文中の言葉を用いて25字以内・23字)
問2「余った時間を睡眠に回す。」語句の意味(最も適切なものを1つ)
問3a=したがって / b=しかし接続語の組み合わせ(最も適切なものを1つ)
問4最初:どこに果実
最後:のかを予測
全文:どこに果実を実らせる木があるかを記憶して、いつ果実が熟すのかを予測抜き出し(35字以内・最初と最後の5字を記述・33字)
問5 Xマッコウクジラ表の空欄補充(体重に対する脳の重さの比率:小)
問5 Yヒト表の空欄補充(体重に対する脳の重さの比率:中)
問5 Zトガリネズミ表の空欄補充(体重に対する脳の重さの比率:大)
問6 Ⅰ脳を大きくするためには、食物から多くのエネルギーを取り込む必要があり、果実にはエネルギー源となる糖が多く含まれるから。(エネルギー面からの理由説明)記述(書き出し「脳は多くのエネルギーを消費する器官であるので、」に続けて60字以内・59字)
問6 Ⅱ初期の霊長類であるプルガトリウスは、果実を食べていたと考えられるが、その脳は、のちの霊長類よりも小さかったから。(化石記録からの理由説明)記述(書き出し「化石記録から、」に続けて60字以内・56字)

【大問2】各設問の解答解説と思考手順

問1 葉にいくつもの工夫がされている理由

  • 手順1(設問要求):傍線部A「葉にはいくつもの工夫がされている」とあるが、それは何のためか。文中の言葉を用いて25字以内で記述する。
  • 手順2(根拠範囲):傍線部Aの直前文および直後文を精査する。
    • 直前:「つまり、葉は、植物にとって大切な器官なのだ。動物に好きなように食べられてしまっては困るのである。そのため、A 葉にはいくつもの工夫がされている。」
    • 直後:「セルロースやリグニンを含んでいるせいで、堅くて噛みづらいし、食べても消化しにくい。また、アルカロイドなどの毒を含んでいることもある。」
  • 手順3(論理整理)
    • 直後の内容は「工夫の具体例(硬さ・難消化性・毒)」である。
    • 設問は「何のため(目的)」を問うているため、直前の指示接続語「そのため」が受けている理由部分「動物に好きなように食べられてしまっては困る」を目的の形に言い換えて抽出する。
  • 手順4(答案作成と字数調整)
    • 文中の言葉「動物に好きなように食べられ……」を活かし、目的を示す文末表現「〜ため。」で結ぶ。
    • 答案:動物に好きなように食べられないようにするため。
    • 字数計算:句読点を含めて23字(25字以内の条件を充足)。
  • 結論動物に好きなように食べられないようにするため。

問2 「回す」の意味

  • 手順1(設問要求):本文中の傍線部B「回す」と同じ意味で使われているものをア〜エから一つ選択する。
  • 手順2(根拠範囲と文脈):第2段落末尾「消化に多くのエネルギーを取られるので、脳にB 回すエネルギーはあまりない。」
  • 手順3(語義の識別)
    • 本文の「回す」は、限られた資源(エネルギー)を特定の対象や用途へ「割り当てる、振り向ける」という意味で用いられている。
  • 手順4(選択肢の照合)
    • ア「一人で仕事を回すことは容易ではない。」:物事を滞りなく処理・運営する意であり不適切。
    • イ「余った時間を睡眠に回す。」:確保された資源(時間)を特定の用途(睡眠)に「振り向ける・割り当てる」という意味であり、本文の用法と合致する。
    • ウ「荷物にロープを二重に回す。」:周囲に巡らせて巻きつける物理的動作であり不適切。
    • エ「時刻合わせのために時計の針を回す。」:軸を中心に円運動させる物理的動作であり不適切。
  • 結論

問3 接続語a・b

  • 手順1(設問要求):本文中の空欄a・bにあてはまる最も適切な語の組み合わせをア〜エから一つ選択する。
  • 手順2(空欄aの前後関係の確認)
    • 直前文:「……果実には、エネルギー源となる糖がたっぷり含まれているし、基本的には毒など入っていないし、消化もしやすい。」(果実の利点)
    • 直後文:「[ a ]、葉を食べるより果実を食べるほうが、ずっとよさそうだ。」(導き出される結論)
    • 前提条件(果実の栄養的優位性)から順当に結論を導く関係であるため、順接の接続詞「したがって」が適合する。
  • 手順3(空欄bの前後関係の確認)
    • 直前文:「葉を食べるより果実を食べるほうが、ずっとよさそうだ。」
    • 直後文:「[ b ]、そのためには、ある問題を解決しなければならなかった。」
    • 一見完璧に思える果実食の選択に対し、重大な制約や障壁が存在することを示す転換であるため、逆接の接続詞「しかし」が適合する。
  • 手順4(選択肢の照合)
    • ア:a「また」/b「つまり」 $\to$ 並立・換言であり不適。
    • イ:a「たとえば」/b「しかも」 $\to$ 例示・累加であり不適。
    • ウ:a「したがって」/b「しかし」 $\to$ 順接・逆接の論理構造に適合する。
    • エ:a「だからといって」/b「ただし」 $\to$ aの論理関係が破綻する。
  • 結論

問4 食べるのに適した果実を見つけるために必要なこと

  • 手順1(設問要求):傍線部C「脳に大量に情報を蓄えるだけでなく、それを処理しなくてはならない」について、食べるのに適した果実を見つける場合に具体的にどのようにする必要があるか。文中から35字以内でそのまま抜き出し、最初と最後の五字を記述する。
  • 手順2(根拠範囲):傍線部Cの直前文(第4段落)を精査する。
    • 直前文:「果実を食べるためには、どこに果実を実らせる木があるかを記憶して、いつ果実が熟すのかを予測しなければならない。このような空間的かつ時間的な地図を頭のなかにつくるには、C 脳に大量に情報を蓄えるだけでなく、それを処理しなくてはならない。」
  • 手順3(該当箇所の特定と字数計算)
    • 食べるのに適した果実を見つける具体的な行動は、「空間的な把握(記憶)」と「時間的な把握(予測)」である。
    • 抜き出し範囲:「どこに果実を実らせる木があるかを記憶して、いつ果実が熟すのかを予測」
    • 文字数:句読点を含めて33字(35字以内の条件を充足)。
  • 手順4(最初と最後の5字の抽出)
    • 最初の五字:どこに果実
    • 最後の五字:のかを予測
  • 結論:最初:どこに果実 / 最後:のかを予測

問5 脳の大きさ・体重比・脳化指数の表

  • 手順1(設問要求):本文中の記述に基づき、表中のX〜Zにあてはまる動物(トガリネズミ、ヒト、マッコウクジラ)を記号(ア〜ウ)で答える。
    • 表の方向性:左が「値が小さい」、右が「値が大きい」。
    • 対象行:「体重に対する脳の重さの比率」
  • 手順2(本文中のデータの抽出)
    • 第5段落〜第6段落の記述を確認する。
    • マッコウクジラ:「マッコウクジラの体重は40〜50トンぐらいあるので、ヒトのだいたい800倍だ。体に対する比率で考えれば、マッコウクジラの脳はヒトよりずっと小さいことになる。」
    • ヒト:「たとえば、ヒトは約0.02だが、」
    • トガリネズミ:「トガリネズミは約0.1になる。トガリネズミのほうがヒトより大きいのだ。」
  • 手順3(大小関係の確定)
    • 体重に対する比率は、マッコウクジラ(小) $<$ ヒト(中:約0.02) $<$ トガリネズミ(大:約0.1) となる。
  • 手順4(表への配置と記号判定)
    • 最も値が小さい X = マッコウクジラ(
    • 中間の値 Y = ヒト(
    • 最も値が大きい Z = トガリネズミ(
  • 結論:X= Y= Z=

問6 脳が大きくなる最初のステップが果実食だったと考えられる理由(Ⅰ・Ⅱ)

設問要求:傍線部E「その最初のステップは果実食だったと考えられる」について、筆者が挙げる二つの理由を、指定された書き出しに続く形で文中の言葉を用いてそれぞれ60字以内で記述する。

問6 Ⅰ(エネルギー面からの理由)

  • 手順1(指定条件の確認)
    • 書き出し:「脳は多くのエネルギーを消費する器官であるので、」
    • 制限字数:書き出しに続けて60字以内。
  • 手順2(根拠範囲の特定):第7段落後半〜第8段落冒頭を精査する。
    • 「その理由の一つは、脳がエネルギーをたくさん使う器官だからだ。……脳はエネルギーを食う器官なので、脳を大きくするためには、食物から多くのエネルギーを取り込まなくてはいけない。しかし、葉には糖があまり含まれていないので、葉食で十分なエネルギーを取り込むことは難しいだろう。」
    • 「果実には、エネルギー源となる糖がたっぷり含まれている」
  • 手順3(因果関係の骨格抽出)
    • 条件:脳を大きくするには、食物から多くのエネルギーを取り込む必要がある。
    • 理由:果実にはエネルギー源となる糖が多く含まれている。
  • 手順4(答案の合成と文字数計算)
    • 書き出しへの接続:「[脳は多くのエネルギーを消費する器官であるので、]脳を大きくするためには、食物から多くのエネルギーを取り込む必要があり、果実にはエネルギー源となる糖が多く含まれるから。
    • 継続部分の文字数:句読点を含めて59字(60字以内の指定を過不足なく充足)。
  • 結論(Ⅰ)脳を大きくするためには、食物から多くのエネルギーを取り込む必要があり、果実にはエネルギー源となる糖が多く含まれるから。

問6 Ⅱ(化石記録からの理由)

  • 手順1(指定条件の確認)
    • 書き出し:「化石記録から、」
    • 制限字数:書き出しに続けて60字以内。
  • 手順2(根拠範囲の特定):第8段落前半を精査する。
    • 「また、化石記録を見ても、果実食が脳の増大に先行していることが支持される。初期の霊長類であるプルガトリウスの歯は、果物をすり潰すのに適していたし、……おそらく樹上で生活をしながら、果実を食べていたと考えられる。しかし、プルガトリウスの脳は、のちの霊長類よりも小さかったのだ。したがって、果実食が始まった後で、脳が増大した可能性が高いだろう。」
  • 手順3(時間の前後関係の骨格抽出)
    • 事実1:初期の霊長類プルガトリウスは果実を食べていたと考えられる。
    • 事実2:しかしその脳は、のちの霊長類よりも小さかった。
    • 帰結:果実食が先であり、脳の大型化はその後であることが裏付けられる。
  • 手順4(答案の合成と文字数計算)
    • 書き出しへの接続:「[化石記録から、]初期の霊長類であるプルガトリウスは、果実を食べていたと考えられるが、その脳は、のちの霊長類よりも小さかったから。
    • 継続部分の文字数:句読点を含めて56字(60字以内の指定を過不足なく充足)。
  • 結論(Ⅱ)初期の霊長類であるプルガトリウスは、果実を食べていたと考えられるが、その脳は、のちの霊長類よりも小さかったから。

授業ではここまで扱う:科学的説明文における「相関」と「因果」の検証手順

実際の授業では、単に設問の正答を照合するにとどまらず、自然科学系の論説文において筆者がどのような思考プロセスを経て仮説の妥当性を検討しているのか、その検証手順を体系化して指導する。

相関関係から因果関係の可能性を検討する4段階プロセス

科学的な説明を扱う文章では、こうした論理展開を読み分ける必要がある。「二つの事象の間に統計的な関連が見られること(相関)」を提示したうえで、安易な断定を避け、客観的な証拠によって「原因と結果(因果)」の可能性を慎重に吟味していく展開が典型である。

検証段階本文における科学的検証の内容読解・解法上の着眼点
① 相関関係の確認果実を多く食べる霊長類ほど、脳化指数(EQ)が大きい傾向が統計的に確認される。二つの要素(果実食と脳の大きさ)の間に関連性がある事実を押さえる。
② 作用機序の検討
(エネルギー面)
脳は莫大なエネルギーを消費するため、糖分に富む果実の摂取が、脳の大型化を支えた可能性がある。「なぜそれが可能なのか」というメカニズム(理由Ⅰ)を本文から抽出する。
③ 時間的順序の確認
(化石記録)
初期のプルガトリウスはすでに果実を食べていたが、脳はまだ大型化していなかった。「原因は結果よりも時間的に先行する」という原則(理由Ⅱ)を化石証拠から捉える。
④ 結論の限定的提示果実食が原因で脳が増大した「可能性が高い」と結論づける。筆者が断定を避け、証拠の射程に見合った慎重な表現を用いていることを確認する。

重要なのは、「相関」と「因果」という用語を単に暗記することではなく、筆者が「二つの事象の間に見られる関連」の背後にある「理由」や「時間的な前後関係」をどのような証拠に基づいて確かめているのか、その論理的な手続きを別の初見問題でも追跡できるようにすることである。

【2025年度和歌山県公立高校入試・大問2から整理する】国語・論説文の対策と復習手順

2025年度の本問では、科学的な探究プロセスを追う論理的文章が出題され、語句・接続詞・抜き出し・表の空欄補充・長文記述まで幅広い処理が求められている。対策においては、感覚的な読解を排し、以下の客観的な処理手順を反復して定着させることが重要である。

  • 1. 理由説明における「接続語を手がかりにした因果の遡行」問1のように傍線部の「目的や理由」を問われた場合、傍線部そのものを眺めるのではなく、直前にある「そのため」「したがって」「なぜなら」といった因果関係を示す接続詞に注目する。接続語が指し示す原因部分(「動物に好きなように食べられてしまっては困る」)を正確に特定し、設問が求める文末(「〜ため。」)に着地させる手順を徹底する。
  • 2. 抜き出し問題における「設問の抽象要求と本文の具体描写の照合」問4のように「具体的にどうする必要があるか」を問う抜き出しでは、設問文のキーワードを本文から漫然と探すのではなく、「高度な情報処理」という抽象概念が本文で「記憶」と「予測」という具体的な動作に言い換えられている構造を見抜く。さらに、指定文字数(35字以内)や「最初と最後の五字」といった形式条件を厳格に満たす照合力を養う。
  • 3. 複数条件を伴う記述における「論理の二大主幹の並列合成」問6のように、二つの理由を別々に説明させる記述問題では、それぞれの設問要求に応じた根拠段落を厳密に切り分ける。Ⅰでは「エネルギーの必要性」と「果実の糖分」、Ⅱでは「プルガトリウスの果実食」と「脳がまだ小さかった事実」というように、因果を成立させる2つの必須パーツを過不足なく抽出し、与えられた書き出しに文法的に接続させて60字以内に収める要約力を徹底的に鍛える。

過去問演習の復習においては、「単に〇×をつけた」だけで終わらせず、「なぜ問5でマッコウクジラが最小になるのかを本文の数値から説明できるか」「問6の2つの記述で必須となる要素の抜け落ちがなかったか」を論理的に検証することが、揺るぎない得点力へと直結する。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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