1. 序論:東京理科大学英語大問3攻略の真実
東京理科大学の英語大問3(空所補充・会話・語彙)の攻略は、語彙・熟語の知識が前提となる。しかし、それだけで終わる問題ではない。空所前後の文構造や語の結びつきから、入るべきパーツを逆算する処理手順が必要である。
もちろん、staple food(主食)や a far cry from(〜からほど遠い)などの基礎知識は不可欠である。しかし、単語帳の日本語訳を覚えるだけでは不十分であり、動名詞と受動態の複合ルールや、会話における代名詞の論理的選択といった、文法構造から選択肢を絞り込む「型」の適用が求められる。
語彙問題は「単語と熟語を覚えるだけ」と捉えられがちである。しかし、難関大学の英語では、知識を「語の結びつき(コロケーション)」や「文法規則」として実戦的に運用できるかが問われるのである。
2. 2025年度 大問3:設問ごとの構造と処理手順一覧
本年度の大問3(全21問)は、大きく「コロケーション・イディオム型」「文構造・語法型」「文脈・論理判断型」「会話・状況判断型」に分類できる。以下に、全設問の客観的な処理手順を整理した。
| 設問 | 分類 | 求められる知識・構造 | 安定して得点する処理手順 | 正答 |
| (1) | コロケーション | 主食を表す表現 | food と結びつく強固なコロケーションとして staple を選ぶ | 2 |
| (2) | イディオム | a far cry from | 「〜からほど遠い」というイディオムの知識 | 1 |
| (3) | 文脈・論理判断 | セミコロンの補足・具体化 | セミコロンより後ろの「他人の気持ちを考えろ」の反対として selfish を選ぶ | 4 |
| (4) | 文構造・語法 | 前置詞 at との呼応 | at と結びつき「〜の速度で」を作る名詞 rate を選ぶ | 3 |
| (5) | 文構造・語法 | 接続詞の識別 | looks as if / as though S V の非現実・様態の構文を見抜く | 4 |
| (6) | 文構造・語法 | recall O V-ing の語法 | 後続の O + V-ing をとれる動詞を文型から確定させる | 2 |
| (7) | コロケーション | the time is right | 「〜するのにちょうど良い時機だ」という表現 | 2 |
| (8) | イディオム | by means of | 「〜という手段を用いて」という群前置詞の知識 | 3 |
| (9) | 文構造・語法 | 時制の処理 | 過去完了形 had known に対し、when 節内の起点を過去形とする | 1 |
| (10) | 文構造・語法 | 動名詞の意味上の主語と受動態 | the wallet を意味上の主語とし、返却される受動態 being returned を選ぶ | 1 |
| (11) | イディオム | stem from | 「〜に由来する」という群動詞の知識 | 3 |
| (12) | コロケーション | enjoy a position | 名声ある地位を「享受する、持っている」という結びつき | 3 |
| (13) | イディオム | in response to | 「〜に応じて」という定型表現の知識 | 4 |
| (14) | 会話・状況判断 | weigh options | 選択肢を「天秤にかけて比較検討する」という結びつき | 2 |
| (15) | 会話・状況判断 | レストランの満席 | crowd などの品詞の誤りを排し、定型表現 we are full を選ぶ | 3 |
| (16) | 会話・状況判断 | 代名詞 the former | cold or hot の順序と、日向を歩いた状況から「前者」を選ぶ | 1 |
| (17) | 会話・状況判断 | take the cake | 「度を越している」という会話口語表現の知識 | 4 |
| (18) | 会話・状況判断 | ことわざの知識 | The early bird gets the worm(早起きは三文の徳)の知識 | 3 |
| (19) | 会話・状況判断 | 代名詞 Either と Both | 2択の問いに対し「どちらか一方でよい」と答える代名詞を選ぶ | 3 |
| (20) | 会話・状況判断 | How may I assist you? | 店員が客に声をかける際の決まり文句 | 4 |
| (21) | 会話・状況判断 | 副詞 literally の文脈判定 | 1分という計算上の事実を強調する「文字通り」を選ぶ | 2 |
3. 東京理科大学英語大問3「空所補充・語彙」の徹底分析
単なる丸暗記ではなく、「語の結びつき」や「構造処理」によって差がつく難所について、当研究所の型を提示する。
【文構造・語法型】動詞の語法と「動名詞の受動態」を見抜く型
設問(6)と(10)は、単語の意味ではなく「後ろの形」から逆算する問題である。
設問(6)では I ( ) the thunderclouds starting to clear up... とある。ここで適用すべきは原則30「動詞の意味は,後続の語句の用法から文型を判断することによって決まる」である。空所の後ろに O (the thunderclouds) + V-ing (starting) という構造をとれる動詞は、選択肢の中では「OがVするのを思い出す」を意味する recall のみである。
さらに設問(10)は、受験生の実力差が如実に出る構文である。
increases the chances of the wallet ( ) by 30% if it is lost.
原則49「名詞+V-ing」の用法に従い、前置詞 of の目的語である動名詞句において、the wallet は意味上の主語として機能している。さらに、原則53「受動態の性質」に基づき、財布は自ら戻るのではなく「返却される」対象であるため、受動態の動名詞 being returned が要求される。 なお、the wallet being returned は chances of の中身であり、「財布が返却される可能性」を表す。後半の by 30% は increases the chances にかかり、「その可能性を30%高める」という意味になる構造を正確に見抜かなければならない。
【文脈・論理判断型】文脈の「補足・具体化」と代名詞の論理型
設問(3)や(15)、(19)は、日常会話や短文内の論理と品詞の正確な知識を問う。
設問(3)の Try not to be so ( ); think about the feelings of others, for once! においては、原則91「セミコロン(;)の論理関係」を用いる。セミコロンの後ろでは、「他人の気持ちを考えろ」と具体的に言い換えて補足している。したがって、前半の空所にはその反対の性質である selfish(利己的)が入る。
設問(15)の I'm sorry, but we are ( ) now. (レストランの満席)では、選択肢の比較が重要である。crowd は名詞・動詞として使う語であり we are crowd now とは言えない。occupied は「席・部屋などが占有されている」状態には使えるが、店側が客に伝える定型表現としては we are full が自然である。
設問(19)は、受験生が陥りやすい罠である。
A:
Do you prefer milk or cream in your coffee?B:
( ) is fine, thanks.
milk と cream の二択に対して「どちらか一方でよい(どちらでもよい)」と答えているため Either を選ぶ。ここで Both を選んでしまうと「両方でよい」という意味になり、コーヒーの好みを聞く日常会話の意図から外れてしまう。
【コロケーション・イディオム型】語の結びつきを固定する型
設問(12)や(14)は、名詞に対する特定の動詞の結びつき(コロケーション)を知らなければ得点できない。
設問(12)の scientists ( ) an admired position は、名声ある地位を「享受する、持っている」という意味で、enjoy が特権や良い状態を目的語にとる性質を問うている。
設問(14)の I am still ( ) my options. では、選択肢(options)を「天秤にかけて比較検討する」状態を表す weighing が固定のパーツとして要求される。
4. 結論と今日から徹底すべき3つのチェック
東京理科大学の英語で得点を安定させるために必要なのは、語感や勘だけではない。また、「空所補充は単語帳を暗記すればよい」という思い込みも修正する必要がある。合否を分けるのは、英文が持つ普遍的な文法構造や語法を客観的に見抜き、毎回同じ「正しい型(手順)」を徹底できるかという再現性である。
自己流の学習、すなわち「用語の丸暗記や漫然とした過去問演習」だけでは、出題の真の構造や自分自身の要素不足に気づくことは難しい。知識を実戦で使える武器に変え、確実な得点源に近づくための最も再現性の高い手順として、今日から以下のステップを実践されたい。
- 空所の前後の前置詞や動詞を確認し、「どのような品詞・文型が要求されているか」を先に確定させること。
- 動詞と名詞のセット(コロケーション)に出会ったら、単独の日本語訳ではなく「塊」として語法ごとインプットすること。
- 会話表現においては、代名詞(Either / Both など)が指し示す論理的な状況や、セミコロン等の記号の役割を正確に読み解くこと。

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