【2024・2025年】福井県公立高校入試英語・大問1・3:単語拾いを防ぐ「論理マーカー」処理手順

英語の読解問題を攻略するためには、単語や文法といった基礎知識が不可欠である。しかし、単語の日本語訳を断片的につなぎ、前後の論理関係を確認しないまま「なんとなく」内容を推測する読み方では、上位校の入試問題で安定して得点することは難しい。

求められるのは、文脈の展開を示す標識を見逃さず、客観的に状況の変化を追う「処理手順」である。単語を拾うだけの読み方をすると、具体的にどのように構造を見誤るのか。

例えば、2024年の大問3において、翻訳アプリばかり使う主人公に対し、留学生が “Actually, I felt a little sad because I wanted to listen to your own words…” と本音を打ち明ける場面がある。その後、主人公がアプリを使うのをやめると、”Instead of that, he ( smiled ) and looked happier.” と続く。

「instead of(〜の代わりに)」は、直前まで使っていた手段(アプリの使用)から別の行動への切り替えを示している。さらに、続く smiled and looked happier から、相手の反応が好転したことを客観的に読み取ることができる。単語の訳だけを追い、こうした関係性を無視して推測で読むと、登場人物の行動や心情変化を取り違える可能性がある。

当研究所が抽出した過去2年分のデータに基づき、福井県公立入試の読解問題を攻略するための型を提示する。

福井県公立入試英語・大問1・3 必須語彙・構文データ(2024-2025年統合版)

以下は、過去2年分の大問1および3において、単なる直訳ではなく、文脈の把握や解答の根拠として機能した語彙および構文の抽出リストである。分析の明確化のため、「一般語彙」と「論理マーカー」の2層に分けて提示する。

【表1】本文理解に必要な語彙・構文

英単語/熟語/構文品詞本文中での意味備考(文脈・テーマなど)
look forward to ~ing熟語/構文〜するのを楽しみに待つ発表やイベントに対する期待の表明
be worth ~ing熟語/構文〜する価値がある体験や対象物に対する高い評価
be impressed with ~熟語〜に感銘を受ける他者の行動や出来事に対する強い心理的影響
relate to ~熟語〜に関連する事象同士の関連・つながり
cause trouble to ~熟語〜に迷惑をかける他者へのネガティブな影響の発生
respect動詞尊重する、大切にする他者や場所に対する敬意(行動の動機)
share A with B熟語/構文AをBと共有する経験や情報の伝達と共感
be good at ~ing熟語/構文〜するのが得意である人物の特性や能力の提示
accept動詞受け入れる不本意な役割や状況への同意(行動への移行)
feel sorry for ~熟語〜を気の毒に思う他者の不遇な状況に対する同情
feel like ~ing熟語/構文〜したい気がする特定の行動への心理的欲求(否定形で使用)
remind A of B熟語/構文AにBを思い出させるある事象がトリガーとなり、教訓が喚起される
depend on ~熟語〜に頼る、依存する他者や外部環境への依存状態
hold動詞開催するコンテストやイベントが催される状況
attractive形容詞魅力的な都市やプランが持つポジティブな価値
opinion名詞意見他者の考えを収集し、反映させるプロセス
sightseeing名詞観光外国人旅行者の目的の一つ
traditional形容詞伝統的な文化体験に関する記述
local形容詞地元の道の駅や食材など、地域特有の要素
effectively副詞効果的に地元の場所をどう活用するかの方法論
protect動詞保護する環境を守るという社会課題に対する行動
nervous形容詞緊張して留学生を受け入れる前の心理状態
communicate動詞コミュニケーションをとる言語の壁を越えた意思疎通
in one’s own words熟語自分自身の言葉で機械に頼らない直接的な表現方法
useful / convenient形容詞役に立つ / 便利な手段(アプリ等)の有効性に対する評価

【表2】前後関係を決める論理マーカー

英単語/熟語/構文品詞本文中での意味備考(機能・論理関係)
But接続詞しかし認識や文脈の逆接・転換
According to ~熟語(前置詞句)〜によればアンケートや公式ウェブサイト等、情報源の提示
Actually副詞実は、実際のところ予想や建前から、事実・真の感情への事実修正
Thanks to ~熟語(前置詞句)〜のおかげで特定の手段や要因による恩恵(因果関係)
On the other hand熟語一方で対比される二つの状況の明確な対立
instead of ~前置詞(句)〜の代わりにある手段ではなく、別の手段を選ぶ代替
目次

【福井県公立高校入試英語・大問1・3】論理マーカーによる前後関係の確定手順

論理マーカーが示す「機能」を判定する3ステップ

読解問題において最も警戒すべきは、知っている単語から前後関係を推測で補ってしまうことである。論理マーカーは、その解釈のブレを防ぎ、客観的な事実を確定させるための強力な標識として機能する。

2024年の大問3における以下の英文を確認する。

“She couldn’t speak English well, but she never used a translation app. She looked at Tim’s eyes and told him her ideas with her own words. On the other hand, when I was talking with him, I often looked at my tablet to use the app.”

ここで「On the other hand(一方で)」という熟語を見落とすと、登場人物である「姉(Nami)」と「主人公(I)」のアプローチの違いがぼやけてしまう。このマーカーを起点として、「アプリを使わず目を見る姉(状況A)」と、「タブレットばかり見る主人公(状況B)」という明確な対比構造として客観的に関係性を読み取らなければならない。

この処理を安定させるため、以下の手順をルール化する。

【処理手順】:論理マーカーを見つけたら、次の3段階で処理する。

  1. 機能の判定:逆接・対比・因果・代替・事実修正・情報源提示のどれに該当するかを判定する。
  2. 言語化:前後の関係を短い日本語で明確に言語化する。
  3. 照合:その関係が設問の選択肢や解答根拠と一致するか確認する。

役割の異なるマーカーを切り分ける客観的処理

2024・2025年の大問1・3では、登場人物の当初の認識と、その後に判明する事実や本音との違いが、読解上の重要なポイントになっている。

2025年の大問1では、次のように記述されている。

“Before we visited Japan, we thought Japanese people were interested in speed and technology… But our image of Japan has changed. … According to one survey, Japan is one of the most popular countries in the world.”

ここでは、まず But が「訪日前のイメージ」から「訪日後の認識」への転換を示している。そのうえで、According to one survey が、転換後の評価を支える客観的な情報源を提示している。二つのマーカーは、役割を分けて処理する必要がある。ここを曖昧にしたまま読み進めると、続く発表の内容や、外国人が日本に対して抱いた真の印象を見失う可能性が高い。

英語の読解は「センスだけ」で決まるものではない

英語の長文読解を、幼少期からの英語経験や言語感覚だけの問題として片付けるべきではない。語彙と文法を土台としたうえで、論理マーカーに基づいて前後関係を整理する手順を身につければ、読解の再現性を高めることができる。

得点を安定させるために重要なのは、英文をすべて完璧な日本語に置き換えることではなく、設問の根拠となる事実修正・対比・因果・代替などを正確に捉えることである。自己流の学習(単語帳の丸暗記や、採点して終わりの漫然とした過去問演習)だけでは、自身に不足している処理手順へ気づきにくい。今日から以下の実践を取り入れること。

  1. 一般語彙と論理マーカーを分けて覚える: 一般語彙は本文中での意味や使われる場面を確認する。一方、Actually や On the other hand などの論理マーカーは、日本語訳だけでなく、事実修正・対比・因果・代替といった機能まで分類して覚える。
  2. マーカーの視覚化と3ステップ処理: 問題演習時、But や instead of 等のマーカーを見つけたら必ず印をつけ、「機能の判定」「関係の言語化」「設問との照合」の3段階の手順を毎回実行する。
  3. 段落の要の精読: 拾い読みの癖を修正するため、論理マーカーが含まれる一文を中心に、前後関係がどう変化しているかを客観的に図式化するつもりで構造を読み解く。
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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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