静岡県公立高校入試の英語攻略は、単語を左から右へと順番に日本語へ置き換える「和訳依存(フィーリング読み)」ではない。もちろん、基礎知識(語彙や構文)は不可欠だが、用語や公式を覚えるだけでは不十分であり、前後の因果関係や対立構造を整理し、客観的に処理する手順(型)が必要である。
フィーリングや自己流で解こうとすると、いかに構造を見誤って失点するか。実際の入試データ(2025年大問4)を見てほしい。
“It was one of my favorite books when I was a child, so I wanted to read it to them. However, [ A ] when I was reading the book to them. …(中略)… That made me sad.”
この空所 [ A ] に入る内容を選ぶ際、単語の印象だけで読むと「自分が子どもの頃に好きだった本を読んだのだから、子どもたちも興味を示すだろう」という予想に引きずられ、Aに they looked interested を選んでしまう可能性が高まる。
しかし、直前の However(しかしながら)と、直後の That made me sad. を照合すれば、実際の反応は事前の期待と反対であったことが明確になり、Aには they looked bored が入ると判断できる。文脈の構造をデータに基づき淡々と処理できなければ、入試問題のトラップにはまる。得点の安定に直結する処理手順を解剖していく。
分析データ:静岡県公立入試 重要語彙・構文統合リスト
2024年および2025年の静岡県公立入試において、文意把握および解答の根拠となった重要語彙・構文を抽出・統合した。学習目的を明確にするため、2つの層に分けて提示する。
表1:前後関係を決める論理マーカー
| 英単語/熟語 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(機能・文脈) |
| because | 接続詞 | なぜなら〜だから | 理由・原因と帰結の提示 |
| so | 接続詞 | だから、それで | 結果の導出 |
| however | 副詞 | しかしながら | 期待や予想に反する展開・逆接 |
| on the other hand | 副詞句 | 一方で | 二つの立場・内容の対比 |
| instead / instead of | 副詞/前置詞句 | その代わりに | 行動・方針の代替 |
| after | 接続詞 | 〜の後で | 出来事の時間的な前後関係を示す |
| finally | 副詞 | ついに、最後に | 一連の過程の終着点 |
| not only A but also B | 構文 | AだけでなくBも | 情報追加を示す構文 |
表2:本文理解・解答変換に必要な語彙と構文
| 英単語/熟語/構文 | 品詞 | 日本語の意味 | 備考(出典・文脈) |
| I wish S would V | 構文 | Sが〜してくれればいいのに | 相手や状況が今後変化してほしいという願望 |
| I wish S could V | 構文 | 〜できたらいいのに | 能力・可能性がなく、実現できればよいという願望 |
| be used to do | 構文 | 〜するために使われる | 手段や目的の提示 |
| It is … for A to V | 構文 | Aにとって〜することは…だ | 状況に対する客観的な評価 |
| ask O to V | 構文 | Oに〜するように頼む | 他者への要求や依頼 |
| how to V | 構文 | 〜のやり方 | 方法や手段の指示(teach A how to V等) |
| without -ing | 前置詞句 | 〜することなく | 動作の欠如や条件の不在 |
| don’t have to V | 構文 | 〜する必要はない | 義務の不在 |
| be helpful to V | 構文 | 〜するのに役立つ | 手段や有用性の提示 |
| be good at -ing | 熟語 | 〜するのが得意だ | スキルや能力の表現 |
| as ~ as … | 構文 | …と同じくらい〜だ | 同等比較 |
| decide to V | 熟語 | 〜することに決める | 意志決定のプロセス |
| improve | 動詞 | 向上する、改善する | 状況や技術の好転 |
静岡県公立高校 英語 長文読解・条件英作文の構造分析
【長文読解】論理マーカーが示す前後関係を分類する手順
長文読解の設問は、単に英語を日本語にするテストではない。マーカーを起点として前後の関係を整理し、設問の要求に合わせて処理する以下の4ステップの手順が必要である。
- マーカーを囲む
- 原因・結果・逆接・対比・代替・時間順序・追加のどれかを判定する
- 前後の内容を短い日本語で整理する
- 選択肢や空所の内容と照合する
【決定ルール:代替マーカーの処理】
2024年の大問4において、「テニスがうまくできずに落ち込む」という場面で以下の文が登場する。
“I’m sorry. You couldn’t practice tennis enough today because…”
“Don’t worry about that. Everyone is a beginner at first. Instead, enjoy trying something new!”
ここで Instead(その代わりに)を読み飛ばしてはいけない。このマーカーは、時間的な過去や未来を示すものではない。「できなかったことを気にして謝る」という行動を否定し、「新しい挑戦自体を楽しむ」という別の考え方・行動方針の代替を提示している。長文を読む際は、こうしたマーカーを必ず視覚化し、「選ばない考え方・行動」と「代わりに選ぶ考え方・行動」を左右に整理する手順を厳守すること。
【条件英作文】与えられた条件を客観的な構文(パーツ)へ統合する型
静岡県入試の大問3などでは、与えられた日本語のシチュエーションに沿って英文を完成させる問題が出題される。ここでの失点パターンは、日本語のレトリックを逐語訳しようとして文法が破綻することである。
【決定ルール:日本語の解体と定型パーツの適用】
2025年大問3の条件英作文では、「君は野球のやり方を教えてくれた」「僕たちと野球をやりに静岡に戻ってきてくれたらなあ」という情報を英語にする必要があった。自己流の単語の並べ替えではなく、事前に抽出した「型」を適用する。
- 「やり方を教えてくれた」= teach A how to V というパーツへ変換する。→ You taught me how to play baseball.
- 「〜してくれたらなあ」= 「実現していない願望」を表す場合は、I wish S would/could V が候補になる。相手の行動変化を望むため、I wish you would come back to Shizuoka to play baseball with us. (解答例の一つ)といった構文パーツを適用できる。ただし、実現可能な将来への希望として捉えるなら、I hope you will come back… も自然に使用できる。
英作文とは、日本語の直訳ではなく、手持ちの「確実な構文パーツ」の枠組みに、問題文の状況を正しく選択して流し込む組み立て作業である。
結論:正答への道筋は「正しい手順」の徹底にあり
静岡県公立高校入試の英語では、語彙と文法の知識に加え、原因・結果・逆接・代替などの関係を整理し、設問条件に合う英文へ変換する力が、得点の安定に直結する。
自己流の学習(単語帳の丸暗記や、逐語訳だけに依存した過去問演習)だけでは、出題の真の構造や、自身に不足している情報処理の手順になかなか気づきにくい。今日から以下の手順を過去問演習に組み込むこと。
- 論理マーカーの可視化と整理: 長文を読む際は because, however, instead, finally などのマーカーに必ず印をつけ、状況がどう変化したかを整理する。
- 直訳への依存排除と構文への落とし込み: 英作文の際は、日本語の字面を追うのではなく、how to V や I wish ~ / I hope ~ などの「構文パーツ」を先に設定し、そこに情報を当てはめる。
- 失点原因の客観的記録: 間違えた問題に対し「単語を知らなかった」で終わらせず、「どの論理マーカーを見落としたか」「どの構文パーツを引き出せなかったか」を冷静に記録し、弱点の構造を把握する。

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