2026年度 熊本大学(前期)英語 大問Ⅲ 解答・解説・分析|「子どものオンライン活動の監視」80〜100語自由英作文の論理構成と英文構築手順

目次

導入:2026年度 熊本大学(前期)大問Ⅲの分析軸

2026年度の熊本大学(前期)英語・大問Ⅲは、与えられた1文の問いに対して自身の見解を80〜100語の英語で論述する自由英作文(意見論述問題)である。

出題された問いは、Should parents monitor their children's online activity?(親は子どものオンライン活動を監視すべきか?)という、家庭教育とインターネット利用をめぐる身近かつ現代的なテーマである。また、答案作成にあたっては「語数を数えて所定の枠内に記入すること」「ピリオドやカンマなどの句読点は語数に含めないこと」という明確な実務的条件が付されている。

このような80〜100語規模の自由英作文において、思いついた日本語を場当たり的に英訳していく方法では、途中で書くべき内容が尽きて語数不足に陥ったり、逆に具体例を広げすぎて100語を超過したりしやすい。また、日本語の表現をそのまま直訳しようとすることで、不自然な語法や文法の破綻を招くことも少なくない。

本番で安定して基準を満たす答案を作成するためには、自分の本心にとらわれず「標準的な英語表現で書ききれる立場」を選択したうえで、80〜100語に収まる文数配分と論理展開の型に沿って英文を組み立てる客観的な思考手順が必要である。

【大問Ⅲ】「子どものオンライン活動の監視」の設問条件とエッセイの全体構造

設問の要求条件と、80〜100語という指定語数を過不足なく満たすための全体構造を整理する。

設問条件の整理

項目指定内容・条件答案作成上の注意点
設問の問いShould parents monitor their children's online activity?「ネットの危険性」一般ではなく、「親が監視(monitor)すべきか否か」に直接答える。
指定語数80〜100語(in 80-100 words)79語以下や101語以上にならないよう、文数と1文あたりの語数を調整する。
語数の記入所定のボックスに語数を記入書き終えた後に正確に数え、記入漏れがないか確認する。
カウント規則句読点(. や , など)は語数に含めない単語単位で数える(ハイフンやダッシュ等の記号単体も語数に含めない)。

80〜100語で論理的に書くための推奨構成

100語前後のショート・エッセイでは、日本語の「起承転結」のように結論を後回しにするのではなく、以下の3部構成(主張 $\rightarrow$ 論拠 $\rightarrow$ 再主張・まとめ)を基本の型とすることで、採点者にとって論理の道筋が明確な英文になる。

  1. 主張(Topic Sentence:第1文/約10〜15語) 冒頭の1文目で、設問の問いに対する「賛成(監視すべき)」または「反対(監視すべきではない)」の立場を明確に宣言する。
  2. 論拠(Support:第2〜5文または第2〜6文/約60〜75語) 主張を支える理由を2つ提示する(First, ... Second, ...)。さらに、各理由の後ろに「なぜそう言えるのか(背景・因果関係)」を1文ずつ添えるか、反対意見への配慮(「確かに〜だが」という譲歩と打ち消し)や代替案を組み合わせることで、内容の薄さや語数不足を防ぐことができる。
  3. 再主張・まとめ(Conclusion:最終文/約5〜15語) Therefore, や For these reasons, などの接続表現を用い、冒頭の主張を別の表現(パラフレーズ)で言い換えて締めくくる。

【大問Ⅲ】全問解答一覧(賛成・反対の解答例)

立場解答例語数
賛成(Yes)
監視すべき
I agree with the opinion that parents should monitor their children’s online activity. First, the internet is full of harmful content and online dangers such as cyberbullying and fraud. Young children do not have enough experience to judge what is safe and what is dangerous. Second, by checking what their children do online, parents can protect them from serious trouble before it happens. Of course, parents should respect their children’s privacy and discuss rules together, but ensuring safety must come first. Therefore, parental monitoring is necessary.86語
反対(No)
監視すべきではない
I believe parents should not monitor their children’s online activity. First, monitoring can damage the trust between parents and children. If children feel that they are always watched, they may feel stressed and try to hide their online actions. Second, children need opportunities to develop their own judgment and digital literacy. If parents rely too much on monitoring, children may not learn how to use the internet responsibly by themselves. Instead of monitoring their children, parents should talk openly about online risks and build mutual trust. For these reasons, monitoring is not a good solution.95語

【大問Ⅲ】自由英作文の解答解説と客観的な構築手順

本番で再現できる思考手順として、手順1(設問要求の確認)から手順4(英文の構築と文法確認)までのプロセスを解説する。

手順1(設問要求の特定)

  • 問われている内容:親は子どものオンライン活動を監視すべきか(Should parents monitor their children's online activity?)に対する自分の考え(your view)の説明。
  • 形式・条件:80〜100語の英語。句読点を除いた語数をカウントし、解答欄のボックスに数字を記入する。

手順2(立場の選択と論点の整理)

賛成・反対のどちらを選んでもよいが、自分が使い慣れた標準的な英語表現に変換しやすい論点を2つ揃えられる立場を選ぶ。

立場論点(理由の柱)標準的な英語表現への変換パーツ
賛成(Yes)理由①:ネット上の危険と子どもの未熟さ
有害情報や犯罪が多く、子ども自身では安全か危険かを判断できない。
・be full of harmful content and online dangers(有害なコンテンツや危険に満ちている)
・do not have enough experience to judge ~(〜を判断する十分な経験がない)
賛成(Yes)理由②:トラブルの未然防止と保護責任
親が把握しておくことで、重大なトラブルに巻き込まれる前に守ることができる。
・by checking what their children do online(子どもがオンラインで何をしているか確認することで)
・protect them from serious trouble(重大なトラブルから彼らを守る)
反対(No)理由①:親子間の信頼関係の悪化
監視されていると感じるとストレスになり、かえって行動を隠すようになる。
・damage the trust between parents and children(親子間の信頼を損なう)
・hide their online actions(オンラインでの行動を隠す)
反対(No)理由②:子どもの自主性・判断力の育成阻害
親が監視に頼りすぎると、子どもが自分で責任を持ってネットを使う方法を学べない。
・develop their own judgment(自分自身の判断力を育てる)
・learn how to use the internet responsibly(責任を持ってネットを使う方法を学ぶ)

手順3(論理・構文・文法整理)

英文を書き始める前に、減点を防ぐための文法・語法のルールを確認する。

  1. 一般論における名詞の単複と代名詞の一致 特定の親子ではなく一般論として「親」「子ども」を主語や目的語に置くため、可算名詞は無冠詞の複数形(parents, children)を基本とする。また、それらを受ける代名詞も複数形(they, them, their)で一貫させる。
  2. 理由を導く接続表現の文法的正確さ Because は従属接続詞であるため、Because the internet is dangerous. のように主節を伴わない単独の文として書くと文法上の誤りになる。理由を2つ並べる場合は、副詞の First, ... と Second, ... を文頭に置いて完全な文を続ける形が安全である。
  3. 日本語の直訳を避け、基本的な動詞と自然な語法を使う 日本語の字面を単語単位で直訳しようとすると不自然な英語になりやすい。
    • 「スマホを見る(監視する)」を see their smartphone と直訳せず、設問文にある monitor their children's online activity や check what their children do online を使う。
    • 「プライバシーを守る」「安全でいる」「ストレスを感じる」なども、respect their children's privacy、stay safe、feel stressed のように、文法構造が明確で自然な動詞・形容詞のパーツを選択する。

手順4(設問形式に応じた処理:立場別の英文構築と語数確認)

① 賛成(Yes)で構築する場合の思考手順

  • 第1文【主張】:設問の助動詞 Should を平叙文の語順に戻し、I agree with the opinion that SV. の型に当てはめる。 I agree with the opinion that parents should monitor their children's online activity.(13語)
  • 第2〜3文【理由①+補足】:ネットの危険性を提示し、具体例(such as cyberbullying and fraud)を添える。続けて、子どもには危険を判断する経験が足りないことを述べる。 First, the internet is full of harmful content and online dangers such as cyberbullying and fraud.(16語) Young children do not have enough experience to judge what is safe and what is dangerous.(16語)
  • 第4文【理由②】:手段を表す by -ing を用い、トラブルが起きる前に子どもを守れる(protect A from B)という利点を述べる。Second, by checking what their children do online, parents can protect them from serious trouble before it happens.(18語)
  • 第5文【譲歩と打ち消し】:反対派が懸念する「プライバシーや対話」に配慮(Of course, ...)しつつ、「安全の確保が最優先である(ensuring safety must come first)」と打ち消すことで議論に厚みを持たせる。 Of course, parents should respect their children's privacy and discuss rules together, but ensuring safety must come first.(18語)
  • 第6文【結論】:動詞 monitor を動名詞・名詞化した parental monitoring に言い換えて簡潔に結ぶ。 Therefore, parental monitoring is necessary.(5語)
  • 語数確認:13 + 16 + 16 + 18 + 18 + 5 = 計86語(80〜100語の条件に適合)。

② 反対(No)で構築する場合の思考手順

  • 第1文【主張】:設問の問いに対して should not monitor と明確に否定の立場を示す。 I believe parents should not monitor their children's online activity.(10語)
  • 第2〜3文【理由①+補足】:監視が親子の信頼を損なう可能性(can damage the trust)を挙げ、続く If 節で「常に見張られていると感じると行動を隠そうとする」という具体的な悪影響を示す。 First, monitoring can damage the trust between parents and children.(10語) If children feel that they are always watched, they may feel stressed and try to hide their online actions.(19語)
  • 第4〜5文【理由②+補足】:子どもには判断力やリテラシーを育てる機会が必要であることを述べ、親が監視に頼りすぎると自立的な利用方法を学べないという因果関係を示す。 Second, children need opportunities to develop their own judgment and digital literacy.(12語) If parents rely too much on monitoring, children may not learn how to use the internet responsibly by themselves.(19語)
  • 第6文【対案の提示】:ただ否定するだけでなく、Instead of -ing(監視する代わりに)を用いて「率直に話し合い、相互の信頼を築くべきだ」という建設的な解決策を示す。 Instead of monitoring their children, parents should talk openly about online risks and build mutual trust.(16語)
  • 第7文【結論】:For these reasons, で受け、監視は良い解決策ではないと結ぶ。 For these reasons, monitoring is not a good solution.(9語)
  • 語数確認:10 + 10 + 19 + 12 + 19 + 16 + 9 = 計95語(80〜100語の条件に適合)。

授業ではここまで扱う:80〜100語の自由英作文を過不足なく組み立てる「4段階の設計手順」

80〜100語の自由英作文では、「書き始める前の設計」で勝負の大部分が決まる。とりあえず第1文を書き始めてから次の文を考える方法では、60語程度で書くことがなくなって同じ内容を繰り返したり、逆に100語を超えて大幅に消しゴムで消すことになったりしやすい。

実際の授業では、別のテーマが出題されても安定して80〜100語に収められるよう、次の4段階に分けて下書きの骨格を設計する手順を指導している。

80〜100語エッセイの4段階設計手順

  1. 【段階1】設問の疑問文を利用した「第1文(主張)」の固定(約10〜15語) ゼロから凝った導入文を作らず、設問の疑問文(Should S V ...?)の語順を平叙文(S should (not) V ...)に戻し、I agree with the opinion that ~ または I believe (that) ~ に接続して第1文を確定させる。
  2. 【段階2】2つの理由の「核(短文)」の設定(各10〜18語 × 2文) First, と Second, に続く理由の核を、まずはシンプルな1文ずつで作る。
  3. 【段階3】各理由への「肉付けパーツ」の選択(各15〜20語を目安に2〜3文) 段階1と段階2だけでは合計40語前後にとどまるため、80〜100語に届かせるための「肉付け(具体化・補足)」を2〜3文追加する。肉付けには以下の3つの型のいずれかを用いる。
    • 型A(因果・条件の展開):If S V ..., S may/will V ...(もし〜すれば、…になるだろう)
    • 型B(具体例の追加):such as A and B や For example, ... で具体的な場面を補う
    • 型C(譲歩・打ち消し、または対案):Of course, A, but B.(もちろんAだが、Bだ)または Instead of A, S should B.(Aの代わりに、Bすべきだ)
  4. 【段階4】結論(最終文)による語数の微調整(約5〜15語) ここまでの合計語数(約75〜85語)を確認したうえで、結論の1文の長さを調整して80〜100語の範囲に着地させる。
    • 語数を抑えたい場合:Therefore, ~ is necessary.(5語程度)
    • 語数を足したい場合:For these reasons, I strongly believe that S should (not) V ...(10〜15語程度)

この4段階手順を、今回の2つの解答例に当てはめると以下のようになる。

構成パート賛成(Yes)解答例での適用(計86語)反対(No)解答例での適用(計95語)役割と語数目安
【段階1】
主張の宣言
I agree with the opinion that parents should monitor their children's online activity.(13語)I believe parents should not monitor their children's online activity.(10語)設問文を平叙文化して立場を明示
(10〜15語)
【段階2】
理由①・②の核
・理由①:ネットには有害情報や危険が多い(16語 ※such as の具体例を含む)
・理由②:確認することでトラブル前に守れる(18語)
・理由①:監視は親子の信頼を損ないかねない(10語)
・理由②:判断力とリテラシーを育てる機会が必要(12語)
主張を支える2つの柱を提示
(計22〜35語)
【段階3】
肉付け(展開・譲歩・対案)
・理由①の補足:子どもには安全か危険か判断する経験がない(16語)
・型C(譲歩と打ち消し):プライバシー尊重も大切だが安全が最優先(18語)
・型A(条件):常に見張られていると感じると行動を隠す(19語)
・型A(条件):監視に頼りすぎると責任ある使い方を学べない(19語)
・型C(対案):監視の代わりに率直に対話し信頼を築くべき(16語)
理由の説得力を高め語数を確保
(計30〜55語)
【段階4】
結論と語数調整
Therefore, parental monitoring is necessary.(5語)For these reasons, monitoring is not a good solution.(9語)主張の再確認と最終語数調整
(5〜15語)

重要なのは、この4段階という名称自体を固定して覚えることではなく、「設問の疑問文を使って第1文を確実に作ること」「理由の核に対して条件節や譲歩・対案で肉付けを行うこと」「最終文の長さで指定語数内に収めること」という一連の判断を、別の初見テーマでも再現できるようにすることである。

【熊本大学】英語(自由英作文)の対策と復習手順

自由英作文の対策において最も注意すべきなのは、「模範解答を読んで意味が分かること」と、「試験会場で白紙の状態から80〜100語の英文を自力で組み立てられること」は全く別であるという点だ。

2026年度の大問Ⅲで確認した通り、本番で減点されない答案を作るためには以下の手順を日頃の演習から反復する必要がある。

  1. 設問の問いに対する直接的な立場表明 議論のテーマ(インターネットやスマートフォンなど)から連想される一般論を漫然と書くのではなく、設問が Should A do B? と問うていれば、第1文で必ず A should (not) do B という骨格を明示する。
  2. 「日本語から英語への変換(和文和訳)」の練習 頭の中に浮かんだ難しい日本語(「ネットリテラシーの欠如」「過干渉による弊害」など)をそのまま直訳しようとせず、中学生〜高校基礎レベルの確実な動詞・形容詞(do not have enough experience、rely too much on ~、talk openly about ~ など)に噛み砕いてから英語にする練習を重ねる。
  3. 文法・語数条件の最終点検 書き終えた後は、以下の項目を機械的に点検する習慣をつける。
    • 一般論の可算名詞(parents, children, rules, risks など)が無冠詞単数になっていないか。
    • 代名詞(they, them, their)の単複が先行する名詞と一致しているか。
    • Because だけで始まる不完全文が混ざっていないか。
    • 句読点を除いた語数が80〜100語に収まっているか、また語数記入欄に数字を書いたか。

復習の際は、一度書いた自分の答案を添削して終わりにするのではなく、「同じテーマで、最初とは逆の立場(賛成で書いたなら反対、反対で書いたなら賛成)でも80〜100語で書いてみる」トレーニングが有効である。双方の立場から理由と肉付けを組み立てる練習を行うことで、本番でどのようなテーマが出題されても柔軟に対応できる構成力が身につく。

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この記事を書いた人

千葉県・習志野市を拠点とする「習志野受験研究所」所長。10年以上の指導現場から得た知見をもとに、全国の入試問題を分析・発信しています。

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